王配狙いで悪役令嬢にされ婚約破棄~社会勉強のため伯爵家へ養女に行った王女殿下が立派な女王陛下となるまで

青の雀

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学園

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 学園の卒業式が終わり、本格的に隣国のローランド国立大学に入学することになり、サニーバード家の名前を使い、大学近くの一軒家を借りることになったのであるが、どうも狭い。

 1人暮らしするのなら、ちょっと広いけど、王城の使用人がみんな来たがるから、どうしたものかと考え込む。大学からは、遠くても通学は、転移魔法で行くことになるのだから、別に構わないのだけど。

 せめて、お城ぐらいの広さが欲しいわね。

 でも伯爵令嬢にそんな広い屋敷は必要ないと疑われるかも?いやいや箱入り娘なので、とごまかせるか?

 先見の宰相閣下に、貴族街で空き家がないか探してもらうことにしたら、ちょうど貴族街と平民街の境目ぐらいのところに、だだっ広い土地が見つかる。でも、家はない。

 ファインのお父様に大急ぎで建ててもらおうかしら?それともコーネリアルの空き家を買い取って、移築する?そんなことできるかしら?

 ダメ元で、異空間収納の中に、別宮を入れてみたら、入った。別宮は先々代の王太后が住まわれていて、今は誰も使っていない。

 ちょっと、いいんじゃない?別宮を持っていくことにしよう。門扉ごと持っていけば、そこが貴族の屋敷だとわかるだろう。

 ローランド国へは、入試の時に一度行っているから、転移魔法で難なく行き、そこに別宮を出し、門扉もそれらしいものを設置する。

 案内してくれた宰相閣下は、驚きながら別宮の中を入ったり出たり。

 「王女殿下は、このような芸当がお出来になられるなど、夢にも思っておりませんでした。」

 すばらしい!できですわ。それから、すぐコーネリアに戻り、皆を別宮へ案内しよう、と思っていると、別宮の中から出入りができるような通路があればいいのでは?と思いつく。

 それぞれ引っ越しの準備が大変だから。

 別宮の中に入り、宰相閣下に、どこかいい通路ございませんかしら?

 「へ?何の通路でございますか?」

 「この別宮とコーネリアルを繋ぐのでございますよ?」

 「そんなことまで、お出来になられるのでございますか?いやはや、王女殿下が聖女様であらせるということは、真のことであったようでございますな。」

 うーん、それはどうかはわからないけど?ただ、趣味であったらいいな?の発想で魔法の勉強をしていただけだからね。

 「では、とりあえず私の部屋はいかがでしょうか?」

 宰相は、もう自分の部屋を決めている。呆れたものだわ。ジャッキーでもまだ自分の部屋を考えていないというのに。というかすべての部屋を見ていないから。

 とりあえず、宰相の部屋と王城の宰相の執務室を結ぶことにしたのだ。

 よく考えてみれば、お城の宰相閣下の執務室に行ったことがない。行ったことがない場所をイメージできないから、困っていると、だからといって、不特定多数の者が出入りするようなところへはつなげられない。

 ちょっと、気持ち悪いけど、ジャッキーはお城の勉強部屋のクローゼットと別宮の宰相閣下のクローゼットを繋げてみた。

 勉強部屋の前の廊下に出た途端、他の使用人から声がかかる。

 「王女殿下に宰相閣下まで、もうローランド国からお帰りで?」

 「ちょっとした実験ですわ。」

 「はぁ。」

 そのまま、お母様のお部屋とお父様の執務室に行く。

 一応、ローランドと繋がったことへの報告である。

 お母様は面白がって、何度もローランドへ行ったり来たりしている。

 「本当、景色が違うわ。ローランドって、山国なのね。山が近くに見えて、目が良くなりそうですわ。」

 「うむ。これならいつでも行き来ができるので安心だ。」

 そして、宰相閣下は、もうご自分の部屋を決めていらっしゃるのよ。という話をしたら、執務の手を止め、お父様も早速、お部屋選びに夢中です。

 別宮と言っても、お城と変わりがないぐらいの広さがあるから、部屋数も半端なく多い。みんな一人一部屋のお部屋を決めて、満足気である。


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-


 その頃、ローランド国のお城では、ちょっとした騒ぎになっている。

 平民街と貴族街の境目に、突如としてできたお城に騒然となっている。

 外見は良く言えば、ロマンティックなおとぎ話に出てくるようなお城なのだが、立地が平民街との境目にあることから、悪く言えばラブホテルのようにも見えなくもないから。

 もともと大奥のような、女性ばかりを住まわせていたお城なので、もちろんアレ(子作り目的)のためのお城だから、Hな装飾品がある。

 そんな別宮を持ってくるあたり、ジャッキーも相当、天然なのである。住めたらいいって問題ではないと思う。

 ローランド国王が新しい側妃を囲うためのお城を建てたのでは?と噂になっているのである。

 「いやいや、儂は知らないってば、濡れ衣だ。」

 「だったら、どなたがお住まいになるのですか?あんな立派なお城、普通の貴族では(建てることさえ)無理ですわ。」

 「いやいや、本当に知らないんだよぉ。」

 「もう、王子がそろそろ新しい婚約者を探さなければならないというのに、いつまで女狂いをなさっているのですか?っはっはーん。一人ではないということですね?あのお城に何人もの女性を囲うおつもりなのでしょう?もう!腹が立つ!わたくし、しばらく実家へ帰らせていただきますわ。」

 国王夫妻の夫婦げんかに発展し、弱り切っている国王様。

 でも確かに一夜にして建った城に興味がないわけではない。いったい誰が建てたものだろう。

 翌日、城の者に臨検に行かせたところ、中から出てきた者は、風格のある立派な貴族の男性で隣国から、来たという。

 それならば治外法権で、ローランド国としては、手出しができない。中を見せてくれと言っても、断わられるのがオチだから。そのまま、スゴスゴ帰る。

 国王陛下にそのことを報告すると

 「バカ者!隣国の誰がお住まいになるかを聞いて来いと言ったのだ。外交上の問題になるやもしれないから、粗相なきようにいたせ。」

 仕方なく、次の日に行くと門扉はそのままあったが、城は跡形もなく消えていたのだ。

 まるで狐につままれたような話で、結局、隣国の誰が住むのかわからずじまいであったのだ。

 城が消えてなくなったことで、王妃様の機嫌も直り、無事お城へ戻られたらしい。

 ローランド国からの使いの者が来たという話で、ジャッキーはヤバイ?と思って、別宮に隠蔽魔法をかけ、ぱっと見、城を消したように見せかけたのである。

 そして、いよいよ大学の入学式です。大学では制服がないので、好きなものを着ていけます。

 ジャッキーは何を着ていこうかと悩んだ挙句、やはり式と言うからには、セレモニーなのだから、正装用のドレスを着ていくことにします。

 同級生の女性の中には、パーティと勘違いしているのでは?と思われるような華やかなドレスで来場している者もいる。

 そうかと思えば、普段着?掃除用の服?かと思えるぐらい質素な汚い服を着て、参加している者までいるから、千差万別である。

 大学は、多種多様のそれぞれの価値観がある者が集まるところだから、何が正しくて、何が間違っているということは一概に言えない。

 1年生の必須の履修科目があり、経営学概論と語学である。一般教養として、哲学、法学、社会学、文学からそれぞれ一科目ずつ履修する必要がある。

 あとは、自由で2年生、3年生の講義を受けに行ってもいい。

 ジャッキーは、履修科目以外は、財務理論の講義と会計学の講義を選択することにしたのである。

 大学の図書館は、コーネリアルのお城の図書館と異なり、専門書が多数見受けられる。また、ここでも夢中になって本の虫と化する。

 そして、忘れていた数学への熱意がふつふつと湧いてくる。

 それから趣味の魔法学も。

 勉強することがたくさんありすぎる。これでは、恋愛どころではないかもしれないけど、別宮では、お父様が毎晩、様子を見に来られるから、そうそう男を引っ張り込むわけにもいかない。

 図書館で、最初は経営学の本を読み、その後、数学、そして魔法学の順に読んでいく。ちょうど数学の本を戻し、魔法学の本が並んでいる書架のほうへ行くと先客がいた。若い男性でなかなかの美形。

 「あれ、君、見慣れない子だね?1年生?魔法に興味があるの?実は俺、魔法サークルを作っているんだ。良かったら、ウチのサークルに来ない?」

 ジャッキーは勝手にしゃべってろ、とばかりに無視して、本を選んでいる。

 「冷たいね。」

 その男性は、おもむろにジャッキーの手を掴もうとしたため、ジャッキーはいつも護身術で使っている伸縮式の警棒?のようなものを異空間から、さっと取り出し、その男の手を打った。

 「痛っ!」

 すると男から影のようなものがわんさか出てきて、ジャッキーを捕らえようとするが、ジャッキーのほうにも影の護衛が付いている。狭い書架の通路でそれぞれにらみ合いが続く。

 「ここでは、ダメだ。場所を変えよう。」

 男は指をパチンとはじくと、影はすぅーっと消えていく。

 「君、何もの?ただの女学生ではないね?」

 「あなたこそ、誰?」

 「聞いて驚くなよ、俺はこの国の王太子ロバート・ローランドだ。」

 「そう。」

 「へ?それだけ?王太子と聞いて、それだけの反応?……いやぁ、実に新鮮な反応だ。初めてだよ。君みたいな反応をした娘は。君の名前を聞いてもいいかな?」

 「ジャッキー・サニーバードよ。隣国コーネリアルの伯爵令嬢。」

 「俺たち、案外合うと思わないか?」

 「思わない。」

 「相変わらず、冷たいね。そうだ、じゃぁさっきの続きでもしようか?外に護衛を待たせてあるのさ。」

 「何のために?」

 「君と、ジャッキーともう少し長くいたいから。」

 「わたくし、もう帰りますわ。家の者が心配しておりますから。」

 「あ!では、送っていくよ。」

 「けっこうですわ。失礼。」

 ジャッキーはその場で、自らと護衛たちに転移魔法をかけ、そのまま帰宅した。

 だんだん薄れていく、ジャッキーの姿を追いかけようにも、どこへ行ったかわからず、茫然と見送るロバート。そして口笛を吹いて。

 「転移魔法か、かっこいいね。」

 それから、ロバートは毎日、図書館に通うが、ついぞ、ジャッキーには会えずじまいとなる。

 ジャッキーは、ロバートに会うのがめんどくさくて、自らに隠蔽魔法をかけているのだ。


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 その頃、ローランドの王城では、王妃様から早く婚約者を見つけろとお小言を食らっているロバート殿下がいる。

 「大学でいい娘を見つけたんだが、俺が王太子と名乗っても反応が薄いのだ。」

 「誰よ、その娘は?」

 「え……と、確か隣国コーネリアルの伯爵令嬢だとか、言っていたな。」

 「隣国の娘?あの……平民街との境目にできたラブホテルみたいなお城も、確か隣国から来たとか言ってなかった?」

 王妃殿下は、その時の使いの者を呼び寄せる。

 「ええ、ええ。確かに隣国コーネリアルと申されましたが、今は何も建っておりません。」

 「そこへ案内してもらえないだろうか?ひょっとしたら、あの娘に会えるかもしれない。」

 ロバート王太子殿下には、幼い時からの婚約者がいたのだが、学園に在学中に婚約者が他の男と浮気をして子供を産んでしまったのだ。だから、当然、婚約は解消、その家はお取りつぶしの上、婚約者だった女性は国外追放となってしまう。生まれてきた子供は浮気相手の男の家が引き取ったらしい。

 そういういきさつで、今は婚約者がいない状態の王太子殿下なのである。

 まさに空き家状態で、優良物件である俺様を振るとは……だから、ジャッキーのことが気になって仕方がないのである。

 それにあの魔法力、どうしてもジャッキーともう一度会って、話がしたい。
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