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愛しのグリンダ
1.愛しのグリンダ
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アタラント王国に仕える庭師の娘グリンダは、王国の第2王子マーカスに密かに恋をしていた。
今日も庭の陰から、マーカス殿下の様子を覗き見ている。
仕事人間な第1王子トーマスとは正反対のプレイボーイである彼は、大貴族の公爵令嬢シャルロットとイチャイチャすることに夢中でグリンダのことは眼中になかった。
「シャルロット嬢、君は、薔薇より美しい。」
「あら、薔薇にはトゲがありますのよ」
トーマスは、シャルロットの豊満な胸を揉みしだいた。別にシャルロットを愛しているわけではない。ただ、カラダを堪能しているだけ。
シャルロットも、そのことはよく知っていて、高級娼婦のようなものだと理解していた。
グリンダは、父からも身分違いの恋を咎められ、以前から決まっていた隣国留学の為にアタラント王国を離れる日が目前に迫る。叶わない恋を悲しんだグリンダは、自殺を図る。
何気なく庭に近づいたトーマスは、異変に気付き、助けられ、グリンダは隣国へと旅立った。
隣国での留学期間は、2年間。調理師学校へ入学した。留学生は、全寮制だった。
調理師学校では、ほとんどが男子生徒で、女性はグリンダ一人で、しょっちゅうデートのお誘いがかかった。
でもグリンダは、第2王子のマーカスのことが忘れられなかった。
その日のデートの相手は、隣国の伯爵家の令息でバルマンという見目麗しいイケメンだった。バルマンは、入学当初からグリンダにくぎ付けだった。身分が低いので、妻は無理でもいつか愛妾にしてやろうと目論んでいた。
高級レストランで舌鼓を打った後、バルマンは、ホテルへ誘った。お茶を飲むためではない。
バルマンからのいやらしい視線に、身の危険を感じたグリンダは、ホテルから逃げ出した。
ホテルから逃げ出したグリンダは、通りすがりの初老の紳士とぶつかった。謝罪するグリンダの様子に、察するところがあったのか、紳士は、グリンダを家へ連れ帰り、妻に紹介した。
初老の紳士の正体は、隣国の大公だった。ルセンブルク大公と言われる。
「殿下ありがとうございました。」グリンダは、恐縮しきって頭を下げる。
「わはは。よいのだ。よいのだ。殿下など言わないでくれ、ただのおじいちゃんだよ。グリンダ、そなたを孫のように思えてな、こうして、ばあさんのところへ連れてきたんだよ。」
グリンダは、寮へ帰らず、大公のお屋敷に寝泊まりすることになった。
調理師学校のほうへは、屋敷から連絡が行き、昼間は勉強をするが、講義が終わると屋敷から馬車が迎えにきて、そのまま連れ帰られる。
おかげでバルマン伯爵令息からの嫌味や懸想から逃れられた。
屋敷でのグリンダの扱いは、行儀見習いだった。洗練された貴族のマナーをとことん教え込まれた。作法、ダンス、語学、所作、礼儀など学校が休みの日は、朝から晩まで続いた。
心身ともに、疲れ切ったが、いつか綺麗なカラダのままマーカスと結ばれることを夢見て頑張った。
今日も庭の陰から、マーカス殿下の様子を覗き見ている。
仕事人間な第1王子トーマスとは正反対のプレイボーイである彼は、大貴族の公爵令嬢シャルロットとイチャイチャすることに夢中でグリンダのことは眼中になかった。
「シャルロット嬢、君は、薔薇より美しい。」
「あら、薔薇にはトゲがありますのよ」
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何気なく庭に近づいたトーマスは、異変に気付き、助けられ、グリンダは隣国へと旅立った。
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高級レストランで舌鼓を打った後、バルマンは、ホテルへ誘った。お茶を飲むためではない。
バルマンからのいやらしい視線に、身の危険を感じたグリンダは、ホテルから逃げ出した。
ホテルから逃げ出したグリンダは、通りすがりの初老の紳士とぶつかった。謝罪するグリンダの様子に、察するところがあったのか、紳士は、グリンダを家へ連れ帰り、妻に紹介した。
初老の紳士の正体は、隣国の大公だった。ルセンブルク大公と言われる。
「殿下ありがとうございました。」グリンダは、恐縮しきって頭を下げる。
「わはは。よいのだ。よいのだ。殿下など言わないでくれ、ただのおじいちゃんだよ。グリンダ、そなたを孫のように思えてな、こうして、ばあさんのところへ連れてきたんだよ。」
グリンダは、寮へ帰らず、大公のお屋敷に寝泊まりすることになった。
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おかげでバルマン伯爵令息からの嫌味や懸想から逃れられた。
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