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7.マリオ
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翌日乗馬スタイルを着て、鍛錬に臨む。今日は最初からパンティを穿いている。武道の基本は、走ることにあると、かの有名な白沢監督が仰っていた。
なぜなら走れなくなった時は、死ぬ時だから。走ることさえできれば、追いかけることも逃げることもできる。また体幹を鍛えるという意味でも有効だから。
ひろみは走る気満々でいるのに、今日は乗馬だと言われ、
「馬に乗れるのか?」ですって。
バカにしないでよ。裸馬にだって乗れるし、以前時代劇の女将軍の役をしたときは馬に乗ったまま、遠くの的に弓を射ったことさえあるわよ。
その時はなかなか的に当たらなくて、悔しくて、流鏑馬の師匠のところまで教えを乞いに行ったものよ。それを何の努力もしていない女優がからバカにされて腹が立ち、ソイツヲイジメてやったことがあるわ。
その女優はいつの間にかいなくなったけど、あんな芝居もロクにできないような奴が出しゃばるなと言いたい。
こっちは陰ながら、必死に努力して掴んだ役なのよ。
スポンサーの社長と寝たぐらいで、その役を横取りされてたまるものですか!
楽していい役を貰いたいような仕事仲間に対して、キツく当たるのは当たり前のことだと思う。
それを意地悪だとか、根性悪だとか、わがままだと陰口をたたかれていることは重々承知している。
それでもひるまず注意して、何が悪いの?股を開かなければ取れない仕事なんて、長続きしないよ。若いうちだけだもの。
でも不思議とひろみが注意した役者やスタッフはいつの間にか姿を消している。事務所や映画会社が気を使って外してくれていることは薄々感じていた。
こっちは生きることに必死なの。お遊びでやっている仕事などひとつもない。
だからだから邪魔しないで。と言いたいだけなのだ。
ひろみには、白馬があてがわれた。
「こいつはおとなしい奴だから、大丈夫だと思う。」
「ありがとう存じます。名前は?」
「好きにつけてくれ。」
「じゃぁマリオにするわ。よろしくね。」
「マリオか。いい名前をもらったな。」
マリオは、殿下に撫でてもらい眼を細めて喜んでいる。
「では姫様、お手並み拝見と行きましょうか?」
そのまま殿下は走り出す。後を追い、ひろみも走る。顔に当たる風が心地いい。
時折殿下は、遠くの木を狙って弓を射かけている様子。内心、ひろみはそれをへたくそと思って見ている。
それを周りの兵士たちは、
「殿下にもようやく春が訪れたようだ。」
目を細めて、見守っている。
「ところで、あの令嬢は?ただ美しいだけではない。内に秘めた芯の強さのようなものを感じる。」
「お似合いのカップルだな。あのままご結婚されたらいいのだが。」
今までの殿下の婚約者がことごとく、不慮の死を遂げていることは、周知の事実である。
だからこそ、二人の愛の行方を心配している。
遠目から見ると、鍛錬と言うよりは、二人はデートを楽しんでいるようにしか見えない。
でも実際、そうなのだ。鍛錬と勢い込んできたものの、ただ馬を走らせ、笑い合っているだけのこと。もっと違うことがしたいと思っているのに、いっこうに殿下は温かく見守ってくださっているだけ。
こんなことでいいの?
「こうしてデートを装うには、訳がある。仲睦まじくキャシーといると必ず動きがあると思ってな。」
なんだ。やっぱり私は囮か。がっかりしているひろみに殿下は野花を花束にしてくれたので、それで花輪を作って、冠にして殿下の頭上にかぶせる。
絵に描いたように美しい二人の姿は、遠目から見て、ラブラブにしか見えない。
もうすぐ舞踏会がある。その舞踏会かその前に犯人は必ず動くはず。
しばしの逢瀬を演じるだけでいい。
なぜなら走れなくなった時は、死ぬ時だから。走ることさえできれば、追いかけることも逃げることもできる。また体幹を鍛えるという意味でも有効だから。
ひろみは走る気満々でいるのに、今日は乗馬だと言われ、
「馬に乗れるのか?」ですって。
バカにしないでよ。裸馬にだって乗れるし、以前時代劇の女将軍の役をしたときは馬に乗ったまま、遠くの的に弓を射ったことさえあるわよ。
その時はなかなか的に当たらなくて、悔しくて、流鏑馬の師匠のところまで教えを乞いに行ったものよ。それを何の努力もしていない女優がからバカにされて腹が立ち、ソイツヲイジメてやったことがあるわ。
その女優はいつの間にかいなくなったけど、あんな芝居もロクにできないような奴が出しゃばるなと言いたい。
こっちは陰ながら、必死に努力して掴んだ役なのよ。
スポンサーの社長と寝たぐらいで、その役を横取りされてたまるものですか!
楽していい役を貰いたいような仕事仲間に対して、キツく当たるのは当たり前のことだと思う。
それを意地悪だとか、根性悪だとか、わがままだと陰口をたたかれていることは重々承知している。
それでもひるまず注意して、何が悪いの?股を開かなければ取れない仕事なんて、長続きしないよ。若いうちだけだもの。
でも不思議とひろみが注意した役者やスタッフはいつの間にか姿を消している。事務所や映画会社が気を使って外してくれていることは薄々感じていた。
こっちは生きることに必死なの。お遊びでやっている仕事などひとつもない。
だからだから邪魔しないで。と言いたいだけなのだ。
ひろみには、白馬があてがわれた。
「こいつはおとなしい奴だから、大丈夫だと思う。」
「ありがとう存じます。名前は?」
「好きにつけてくれ。」
「じゃぁマリオにするわ。よろしくね。」
「マリオか。いい名前をもらったな。」
マリオは、殿下に撫でてもらい眼を細めて喜んでいる。
「では姫様、お手並み拝見と行きましょうか?」
そのまま殿下は走り出す。後を追い、ひろみも走る。顔に当たる風が心地いい。
時折殿下は、遠くの木を狙って弓を射かけている様子。内心、ひろみはそれをへたくそと思って見ている。
それを周りの兵士たちは、
「殿下にもようやく春が訪れたようだ。」
目を細めて、見守っている。
「ところで、あの令嬢は?ただ美しいだけではない。内に秘めた芯の強さのようなものを感じる。」
「お似合いのカップルだな。あのままご結婚されたらいいのだが。」
今までの殿下の婚約者がことごとく、不慮の死を遂げていることは、周知の事実である。
だからこそ、二人の愛の行方を心配している。
遠目から見ると、鍛錬と言うよりは、二人はデートを楽しんでいるようにしか見えない。
でも実際、そうなのだ。鍛錬と勢い込んできたものの、ただ馬を走らせ、笑い合っているだけのこと。もっと違うことがしたいと思っているのに、いっこうに殿下は温かく見守ってくださっているだけ。
こんなことでいいの?
「こうしてデートを装うには、訳がある。仲睦まじくキャシーといると必ず動きがあると思ってな。」
なんだ。やっぱり私は囮か。がっかりしているひろみに殿下は野花を花束にしてくれたので、それで花輪を作って、冠にして殿下の頭上にかぶせる。
絵に描いたように美しい二人の姿は、遠目から見て、ラブラブにしか見えない。
もうすぐ舞踏会がある。その舞踏会かその前に犯人は必ず動くはず。
しばしの逢瀬を演じるだけでいい。
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