ワンナイトラブから玉の輿婚へ 結婚してから始まる恋愛

青の雀

文字の大きさ
6 / 41
オフィスラブ

6.正彦視点2

しおりを挟む
 翌朝、目が覚めたら美織の姿はどこにもなかった。

 くっそー!ヤリ捨てられた。こんな屈辱は初めての経験で、どうにもはらわたが煮えくり返る思いがする。

 午後の定例会議で、どういうわけか美織が総務の女子社員に混じって、お茶出しを手伝っている。

 俺は昨夜、美織のカラダを乱れまくらせたのに、それなのに、俺のことを完全に無視している!

 お茶出しが済み、出ていくのかと思いきや、涼しい顔で経理部長の横に鎮座した。

 え?一介の女子社員風情が役員会に出席だとぉ?

 その答えはすぐに分かった。経理部長はわが社の財務状況を把握していないと追うことが。美織が発表している間、完全に上の空で聞いている。

 だから美織が帰る時、わざと声を荒げたのに、美織の奴、経理部長をかばうような発言をしやがって。お前は、俺のモノだということをわからせてやる機会を得たのだから。

 まあ、結果的には、それがよかったのかもしれない。美織は自分の仕事に忠実だということがわかり、経理部長と経理課長をそれぞれ更迭できたのだから。

 実質、実務は平社員に押し付け、ロクに仕事もしないで、残業もせず、経営職や、管理職の甘い汁を享受している輩がどの組織にでもいる。それでは組織改革や働き方改革など絵に描いた餅同然なのだ。

 これからは、そういった部署の管理職、経営職はことごとく排除していくつもりでいる。実際に会社を動かしている者が安いサラリーであってはいけない。年齢がいっているだけ、在職年数が多いだけの社員はいらないと思っている。

 そのおかげで、美織と結婚でき、やっと自分のモノにできたが、美織はマジで結婚願望がない女だということがわかって、俺はつい契約結婚だと嘘をついてしまう。

 それがわかると、美織はセフレでいい、通い婚が良いと言われ、返事に窮した。そんなに俺のことが嫌いなのかよ?

 ベッドの上では、あんなに乱れていたくせに。

 過去のこととはいえ、俺以外の男にあんな乱れた姿を見せていたのかと思うと、無性に腹が立つ。

 だからめちゃくちゃ強引に抱きたくなってしまう。

 美織の両親に結婚の御挨拶に行く前日もそうだった。

 前日には、お土産も買い、準備万端調って、新幹線のグリーン車も用意したのに、美織の奴、原価計算の納期がぎりぎりで、自分が最終チェックしたいと言い出しやがって、つい、明日、挨拶に行くというのに、社長室で、鍵をかけ、美織を犯すように抱いてしまったのだ。

 それでも、最終的には、美織自らが腰を振り、俺の上に跨って、善がっていたおいうのに、

 「社長はいつも強引なんですね。」

 「ベッドの中まで、社長と言うな。不倫している気分になる。」

 「ふ、不倫なんて、許さないわよ!社長が不倫したら、私もする。これでこそ、契約結婚が成り立つというものよ。」

 「わかったよ。だが、ベッドの中では社長と言ってくれるな。」

 「では、なんと?世田谷さん?」

 「バカ。結婚したから、美織も世田谷さんではないか。」

 「あ、そうか。え……と。社長の舌の名前って、なんでしたっけ?」

 「は?……。……正彦だ。」

 俺は、この時は、マジでショックを受けた。名前も憶えていてもらえていなかったということ。

 だから、正彦呼びするまで、アイツを何度も寸止めして、焦らしてやった。

 「あ、あーん。正彦、お願いだから早く硬いの、グイグイって、頂戴。」

 「よく言えました。」

 いつの間にか正彦さんのさんが取れてしまっているが、これだけでも大進歩で、気にしない。

 「イイ。マサヒコ、イイ!」

 でも、それは、かろうじて、ベッドの中ということを翌日の新幹線の中で思い知らされることになった。

 「だから、美織のご両親の前では、俺を正彦と呼ぶこと。いいな?」

 「はい。社長。」

 冷凍ミカンを食べながら、何度も修正させている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ズボラ上司の甘い罠

松丹子
恋愛
小松春菜の上司、小野田は、無精髭に瓶底眼鏡、乱れた髪にゆるいネクタイ。 仕事はできる人なのに、あまりにももったいない! かと思えば、イメチェンして来た課長はタイプど真ん中。 やばい。見惚れる。一体これで仕事になるのか? 上司の魅力から逃れようとしながら逃れきれず溺愛される、自分に自信のないフツーの女子の話。になる予定。

氷の上司に、好きがバレたら終わりや

naomikoryo
恋愛
──地方から本社に異動してきた29歳独身OL・舞子。 お調子者で明るく、ちょっとおせっかいな彼女の前に現れたのは、 “氷のように冷たい”と社内で噂される40歳のイケメン上司・本庄誠。 最初は「怖い」としか思えなかったはずのその人が、 実は誰よりもまっすぐで、優しくて、不器用な人だと知ったとき―― 舞子の中で、恋が芽生えはじめる。 でも、彼には誰も知らない過去があった。 そして舞子は、自分の恋心を隠しながら、ゆっくりとその心の氷を溶かしていく。 ◆恋って、“バレたら終わり”なんやろか? ◆それとも、“言わな、始まらへん”んやろか? そんな揺れる想いを抱えながら、仕事も恋も全力投球。 笑って、泣いて、つまずいて――それでも、前を向く彼女の姿に、きっとあなたも自分を重ねたくなる。 関西出身のヒロイン×無口な年上上司の、20話で完結するライト文芸ラブストーリー。 仕事に恋に揺れるすべてのOLさんたちへ。 「この恋、うちのことかも」と思わず呟きたくなる、等身大の恋を、ぜひ読んでみてください。

なし崩しの夜

春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。 さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。 彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。 信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。 つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。

契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない

ラヴ KAZU
恋愛
橘花ミクは誕生日に恋人、海城真人に別れを告げられた。 バーでお酒を飲んでいると、ある男性に声をかけられる。 ミクはその男性と一夜を共にしてしまう。 その男性はミクの働いている辰巳グループ御曹司だった。 なんてことやらかしてしまったのよと落ち込んでしまう。 辰巳省吾はミクに一目惚れをしたのだった。 セキュリティーないアパートに住んでいるミクに省吾は 契約結婚を申し出る。 愛のない結婚と思い込んでいるミク。 しかし、一途な愛を捧げる省吾に翻弄される。 そして、別れを告げられた元彼の出現に戸惑うミク。 省吾とミクはすれ違う気持ちを乗り越えていけるのだろうか。

龍の腕に咲く華

沙夜
恋愛
どうして私ばかり、いつも変な人に絡まれるんだろう。 そんな毎日から抜け出したくて貼った、たった一枚のタトゥーシール。それが、本物の獣を呼び寄せてしまった。 彼の名前は、檜山湊。極道の若頭。 恐怖から始まったのは、200万円の借金のカタとして課せられた「添い寝」という奇妙な契約。 支配的なのに、時折見せる不器用な優しさ。恐怖と安らぎの間で揺れ動く心。これはただの気まぐれか、それとも――。 一度は逃げ出したはずの豪華な鳥籠へ、なぜ私は再び戻ろうとするのか。 偽りの強さを捨てた少女が、自らの意志で愛に生きる覚悟を決めるまでの、危険で甘いラブストーリー。

俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る

ラヴ KAZU
恋愛
ある日、まゆは父親からお見合いを進められる。 義兄を慕ってきたまゆはお見合いを阻止すべく、車に引かれそうになったところを助けてくれた、祐志に恋人の振りを頼む。 そこではじめてを経験する。 まゆは三十六年間、男性経験がなかった。 実は祐志は父親から許嫁の存在を伝えられていた。 深海まゆ、一夜を共にした女性だった。 それからまゆの身が危険にさらされる。 「まゆ、お前は俺が守る」 偽りの恋人のはずが、まゆは祐志に惹かれていく。 祐志はまゆを守り切れるのか。 そして、まゆの目の前に現れた工藤飛鳥。 借金の取り立てをする工藤組若頭。 「俺の女になれ」 工藤の言葉に首を縦に振るも、過去のトラウマから身体を重ねることが出来ない。 そんなまゆに一目惚れをした工藤飛鳥。 そして、まゆも徐々に工藤の優しさに惹かれ始める。 果たして、この恋のトライアングルはどうなるのか。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

処理中です...