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オフィスラブ
20.退院
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美織は、退院してもよいという日の前日に荷物をまとめて、さっさと退院したのだ。
それも、正彦の住むマンションに帰らず、もともと独身時代から暮らしていたマンションに戻ったのだ。
だって、女神さまの約束?で記憶がないから、まったく覚えていない男性と一緒に暮らしてはいけない。
世田谷さんと言えば、覚えていることは美織の就職先の会社の社長ということしかない。
どうして、私がそんな社長と結婚することになったのか?さっぱり記憶がない。両親が言うように、京都へ帰ろうかとも思ったけど、なれそめなどを聞き出してみたいと思うようになったからで、でないと前に進めないような気がする。
京都へは、いつでも帰れる。新幹線で2時間ちょっとの距離だもの。
美織は、ほんとうにあんなイケメンと結婚していたのか疑心暗鬼になっている。だって、あんなかっこいい人、いくらでも他に縁談がありそう。なんでわざわざ社内調達などしようとしたのか、わからない。仕事に接点もないのに。
それに、本当に好きで結婚したのなら、このマンションを処分したはずなのに、まだこのマンションが残っているということは、本気ではなかったのかもしれない。いずれ離婚を前提としていたから、このマンションをそのままにしていたのではないかと考えられる。
だから、このマンションを拠点にして、会社にも行くつもり。公認会計士2次試験は学生時代に合格して、それからその資格をぶら下げて、クリスタル化粧品に就職したことまでは、覚えている。同期に村上君がいたから、出社したら、村上君に聞いてみよう。
たぶん、仕事は経理、しかも会計士でなければできることが困難な原価計算の仕事をしていたのだろうと思う。
会社の社員証も鞄の中に入れ、通勤定期もあれ?期限が……切れている!なんで?
ま、いいや、しばらくは回数券で繋いで、お給料で定期券を買えばいいから。
考えたら、銀行口座も多摩川美織のままになっている。結婚していたのに、おかしいわよね?
本当に、結婚していたのか?やっぱり、その疑問はついて回る。
翌日、出社したら、更衣室のロッカーの場所が変わっていた。もしかして、休んでいる間に退職扱いになったってこと?うっそー!明日から、どうやって食べていくの?でも、社員証が手元にあるということは、今日、出社したから、今すぐ返しなさいと言われるのだろうか?いやいや、それはないな。
理由はどうであれ、会社内でけがをして休職していたので、労災にならなくても、解雇予告は1か月前になされるべきだし、これだけの大手企業であれば、見舞金も取れるはず。それに予告手当も合わせれば、しばらく東京で活動できると思う。
つくづく、マンションを解約していなくて、よかったと胸をなでおろす。
思っていたところに、経理部はあった。ああ、よかったと思う。職場の場所まで忘れていたかと思って、ヒヤヒヤしていたのだ。
「おはようございます。」
経理部に入る前に、大きな声で挨拶をする。部員は驚いた様子で、ワラワラと集まってくる。
「もう、大丈夫ですか?」
「心配していたんですよ。」
「お見舞いに行こうかと、みんなで話し合っていて。」
「大変でしたね。まだ痛みはありますか?」
なに?なに?ここの人たちって、そんなに私に興味があった?それに、多摩川部長って、なによ?まさか、私が部長ってことないよね?
うそ!うそ?部長席が私の机になっているじゃない!
ということは……。本当に部長になっているの?うっそー!前の部長は、どこへ行かれたのかしら?でも、うかつには聞かれない。
こういう時は、同期に聞くのが一番のはずなのに、同期の村上君の姿もない。なんで?
とりあえず、PCに電源を入れ、メールを開くと2000通も着信があった!こんなお、読み切れるわけがない!
それも、正彦の住むマンションに帰らず、もともと独身時代から暮らしていたマンションに戻ったのだ。
だって、女神さまの約束?で記憶がないから、まったく覚えていない男性と一緒に暮らしてはいけない。
世田谷さんと言えば、覚えていることは美織の就職先の会社の社長ということしかない。
どうして、私がそんな社長と結婚することになったのか?さっぱり記憶がない。両親が言うように、京都へ帰ろうかとも思ったけど、なれそめなどを聞き出してみたいと思うようになったからで、でないと前に進めないような気がする。
京都へは、いつでも帰れる。新幹線で2時間ちょっとの距離だもの。
美織は、ほんとうにあんなイケメンと結婚していたのか疑心暗鬼になっている。だって、あんなかっこいい人、いくらでも他に縁談がありそう。なんでわざわざ社内調達などしようとしたのか、わからない。仕事に接点もないのに。
それに、本当に好きで結婚したのなら、このマンションを処分したはずなのに、まだこのマンションが残っているということは、本気ではなかったのかもしれない。いずれ離婚を前提としていたから、このマンションをそのままにしていたのではないかと考えられる。
だから、このマンションを拠点にして、会社にも行くつもり。公認会計士2次試験は学生時代に合格して、それからその資格をぶら下げて、クリスタル化粧品に就職したことまでは、覚えている。同期に村上君がいたから、出社したら、村上君に聞いてみよう。
たぶん、仕事は経理、しかも会計士でなければできることが困難な原価計算の仕事をしていたのだろうと思う。
会社の社員証も鞄の中に入れ、通勤定期もあれ?期限が……切れている!なんで?
ま、いいや、しばらくは回数券で繋いで、お給料で定期券を買えばいいから。
考えたら、銀行口座も多摩川美織のままになっている。結婚していたのに、おかしいわよね?
本当に、結婚していたのか?やっぱり、その疑問はついて回る。
翌日、出社したら、更衣室のロッカーの場所が変わっていた。もしかして、休んでいる間に退職扱いになったってこと?うっそー!明日から、どうやって食べていくの?でも、社員証が手元にあるということは、今日、出社したから、今すぐ返しなさいと言われるのだろうか?いやいや、それはないな。
理由はどうであれ、会社内でけがをして休職していたので、労災にならなくても、解雇予告は1か月前になされるべきだし、これだけの大手企業であれば、見舞金も取れるはず。それに予告手当も合わせれば、しばらく東京で活動できると思う。
つくづく、マンションを解約していなくて、よかったと胸をなでおろす。
思っていたところに、経理部はあった。ああ、よかったと思う。職場の場所まで忘れていたかと思って、ヒヤヒヤしていたのだ。
「おはようございます。」
経理部に入る前に、大きな声で挨拶をする。部員は驚いた様子で、ワラワラと集まってくる。
「もう、大丈夫ですか?」
「心配していたんですよ。」
「お見舞いに行こうかと、みんなで話し合っていて。」
「大変でしたね。まだ痛みはありますか?」
なに?なに?ここの人たちって、そんなに私に興味があった?それに、多摩川部長って、なによ?まさか、私が部長ってことないよね?
うそ!うそ?部長席が私の机になっているじゃない!
ということは……。本当に部長になっているの?うっそー!前の部長は、どこへ行かれたのかしら?でも、うかつには聞かれない。
こういう時は、同期に聞くのが一番のはずなのに、同期の村上君の姿もない。なんで?
とりあえず、PCに電源を入れ、メールを開くと2000通も着信があった!こんなお、読み切れるわけがない!
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