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オフィスラブ
19.集中治療室
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再生医療というのだろうか、美織のやけどの治療は、救急搬送された直後から細胞を増殖させる形で医療に取り掛かってもらっている。
昔なら太ももの皮膚を移植するという方法がとられていた時代もあり、ずいぶん進歩したものだと思う。
集中治療室にずっと入院しているわけだが、ご家族の方を集めてくださいと、昨日、病院から言われ、京都から美織の両親と世田谷正彦の両親、正彦と5人が美織のベッドの周りにいる。
病院側の最後のお別れという意味なのだが、誰も諦めていない。
美織の顔を見ると穏やかな顔をして眠っているようにしか、見えない。
一瞬、美織のカラダから金色の光が発せられたような気がしたけど、気のせいか?と誰もが思っていると、
「んん……。」
奇跡的に美織の意識が戻ってきたみたいだった。
急いで、美織母がナースコールを押す。
ご臨終かと思ったのか、看護師と医者が何も聞かずに、慌てて飛んでくるように病室の中に入ってくる。
脈拍も血圧も徐々に回復傾向を見せている。
「……。」
「信じられない!奇跡だ!」
まさに、V字回復といったところ。
「多摩川さん!世田谷さん!……美織さん!聞こえますか?聞こえたら、頷いてください。」
美織は、うすぼんやりとした意識の中で、目を開けると白い天井が見える。
「ここ、どこ?」
その途端、周りにいた家族からは、ふぅーっという大きな安ど感が漂うような息が漏らされる。
正彦は、美織の枕元で、泣きながら
「よかった。よかった。美織、心配したよ。もう大丈夫だ。」
「?……あんた、誰?」
「え!……。」
一瞬にして、温かな穏やかなムードが凍り付いてしまう。正彦は、先生に食って掛かる。
「先生!これは、一体どういうことなのでしょうか?」
「おそらく一時的に混乱されているのではないでしょうか?奥様は、生死の境をさまよわれたわけで、これは医療の範疇を超えている現象だと思われます。」
「だとしてもです。」
「しばらくは、様子見されてはいかがでしょうか?脳波は、異常なしの結果しか出ていません。」
正彦は、頭を抱え、その場にうずくまる。
美織の両親は、命拾いしただけで、良しとしましょう。などというのんきなことを言っている。そういうところが京都人気質なのだが、東男に京女で、相性はいいと思うのだが……。
「なあ、親父、しばらく美織の養生を二人三脚でやっていきたいから、会社の方は、任せてもいいか?」
すると、美織の両親は、
「いやいや、退院したら、美織は京都で療養させます。京都には京大病院もありますから、そちらへ転院させてもろたら、よろしおすわ。美織かて、京都に帰ってきた方が、ゆっくりできるのと違いますやろか。正彦君は、安心してお仕事に専念してもらったら、ええのとちゃいますやろか。」
言い方は柔らかいけど、早い話が会社も辞めて、離婚して京都へ引き上げさせます。の意味がある。
「これからのことは、美織さんとゆっくり二人で話し合ったら、どうかな?今、ここで決める話でもない。」
正彦は、親父の言うとおりだと思い、頷く。それに毒花の裁判もまだこれから始まる。あれから、毒花の両親は、娘に前科が付くのを恐れ、示談で金を払って和解しようとしているが、ひょっとすれば、今日、このまま臨終になっていたかもわからない状態で、示談などできるわけがない。
公判の論点は、未必の故意があったかどうか、で殺人未遂か傷害かが論点になるだろう。
毒花は、勝手に正彦に恋をして、将来、正彦と結婚するのは自分だと思い込んでいて、邪魔になった美織を目の敵にしえ、排除しようとした。という趣旨の供述をしているらしい。
急に、経理部長に抜擢したのも、美織が枕営業で勝ち取った成果と思い込んで、たまたまデズニーに行ったとき、正彦と美織が手をつないでホテルから出てきたところを目撃し、でたらめの噂話にも動じない美織に立腹し、今回の犯行に及んだということが事件の概要にある。
昔なら太ももの皮膚を移植するという方法がとられていた時代もあり、ずいぶん進歩したものだと思う。
集中治療室にずっと入院しているわけだが、ご家族の方を集めてくださいと、昨日、病院から言われ、京都から美織の両親と世田谷正彦の両親、正彦と5人が美織のベッドの周りにいる。
病院側の最後のお別れという意味なのだが、誰も諦めていない。
美織の顔を見ると穏やかな顔をして眠っているようにしか、見えない。
一瞬、美織のカラダから金色の光が発せられたような気がしたけど、気のせいか?と誰もが思っていると、
「んん……。」
奇跡的に美織の意識が戻ってきたみたいだった。
急いで、美織母がナースコールを押す。
ご臨終かと思ったのか、看護師と医者が何も聞かずに、慌てて飛んでくるように病室の中に入ってくる。
脈拍も血圧も徐々に回復傾向を見せている。
「……。」
「信じられない!奇跡だ!」
まさに、V字回復といったところ。
「多摩川さん!世田谷さん!……美織さん!聞こえますか?聞こえたら、頷いてください。」
美織は、うすぼんやりとした意識の中で、目を開けると白い天井が見える。
「ここ、どこ?」
その途端、周りにいた家族からは、ふぅーっという大きな安ど感が漂うような息が漏らされる。
正彦は、美織の枕元で、泣きながら
「よかった。よかった。美織、心配したよ。もう大丈夫だ。」
「?……あんた、誰?」
「え!……。」
一瞬にして、温かな穏やかなムードが凍り付いてしまう。正彦は、先生に食って掛かる。
「先生!これは、一体どういうことなのでしょうか?」
「おそらく一時的に混乱されているのではないでしょうか?奥様は、生死の境をさまよわれたわけで、これは医療の範疇を超えている現象だと思われます。」
「だとしてもです。」
「しばらくは、様子見されてはいかがでしょうか?脳波は、異常なしの結果しか出ていません。」
正彦は、頭を抱え、その場にうずくまる。
美織の両親は、命拾いしただけで、良しとしましょう。などというのんきなことを言っている。そういうところが京都人気質なのだが、東男に京女で、相性はいいと思うのだが……。
「なあ、親父、しばらく美織の養生を二人三脚でやっていきたいから、会社の方は、任せてもいいか?」
すると、美織の両親は、
「いやいや、退院したら、美織は京都で療養させます。京都には京大病院もありますから、そちらへ転院させてもろたら、よろしおすわ。美織かて、京都に帰ってきた方が、ゆっくりできるのと違いますやろか。正彦君は、安心してお仕事に専念してもらったら、ええのとちゃいますやろか。」
言い方は柔らかいけど、早い話が会社も辞めて、離婚して京都へ引き上げさせます。の意味がある。
「これからのことは、美織さんとゆっくり二人で話し合ったら、どうかな?今、ここで決める話でもない。」
正彦は、親父の言うとおりだと思い、頷く。それに毒花の裁判もまだこれから始まる。あれから、毒花の両親は、娘に前科が付くのを恐れ、示談で金を払って和解しようとしているが、ひょっとすれば、今日、このまま臨終になっていたかもわからない状態で、示談などできるわけがない。
公判の論点は、未必の故意があったかどうか、で殺人未遂か傷害かが論点になるだろう。
毒花は、勝手に正彦に恋をして、将来、正彦と結婚するのは自分だと思い込んでいて、邪魔になった美織を目の敵にしえ、排除しようとした。という趣旨の供述をしているらしい。
急に、経理部長に抜擢したのも、美織が枕営業で勝ち取った成果と思い込んで、たまたまデズニーに行ったとき、正彦と美織が手をつないでホテルから出てきたところを目撃し、でたらめの噂話にも動じない美織に立腹し、今回の犯行に及んだということが事件の概要にある。
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