死者からのロミオメール

青の雀

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 リチャードとクリストファーの遺体は、首とともに、王家の墓に丁寧に埋葬されることになった。その遺体には、何十ともいえる刺し傷や切り傷が無数についていて、民の怨念がこもった遺体であることが分かったのだ。

 王家は、第1発見者を不問とし、あくまでリチャードとクリストファーは野盗に追剥に遭った挙句に殺害されたものとして処理される見通しである。

 殺害犯は、お尋ね者とならず、このことは口外秘とされる。今は、王家の信用を取り戻すことが先決で、この事件は先送りとなったのだ。

 とはいえ、王太子を失った王家は、もはや倒壊寸前に変わりがない。老親ともいえる国王夫妻とまだ幼き2人の王子だけでは、今、諸外国から攻められでもしたら、あっという間に滅亡への道をたどることになりかねない。

 ピューリッツ王国の重鎮は心を一つとし、まだ目に見えない外的に備える。

 しかし、ロアンヌは隠し玉を持っていた。それがホワイト。王家の庶子に当たるが、まぎれもなく神の子を宿したロアンヌには、それが当然のごとく思える。

 ロアンヌの脇の下から胎内に入った命は、わずか1か月で産み月を迎え、やはり脇の下を通って、出産した我が子、ホワイトは通常人とは全く違った成長を遂げたのだ。

 フランシスコがようやく1歳の誕生日を迎え、兄のウイリアムが2歳の誕生日を迎えるころには、ホワイトは15歳の成人した男性の肉体を持つまでに成長していたのだ。

 ロアンヌは、ホワイトの存在を王家に言うべきかどうか悩む。別に浮気してできた子供ではないにせよ。どの道、不義の子として、処罰を受けるのはロアンヌとホワイトもなるのか?

 父は「任せろ」と言って、王都に旅立っていくが、いまだに返事がない。

 不幸な出来事は続くと、昔から言われているが、さらに不幸な?出来事がロアンヌを襲う。やきもきしているロアンヌを襲ったのは、実の子であるはずのホワイトで、なんと……!ホワイトと近親相姦の関係を持ってしまう。

 コトが済んだ後、ホワイトはケロリとした顔で

「神の国から見ていた通り母上は、極上の女だった。これからは、たっぷりと楽しませてもらうことにするよ。そのためにも、俺は通常ルートを通らず生まれてきたのだから」

 え!?それでは、わざと脇の下から生まれてきたというの?

「そうさ。将来、抱く女のその部分を敢えて、お預けにしたのだ。俺の子種を受け入れることができる女は、母上しかいないということも申し添えておこう」

 ロアンヌは、今しがた経験した情事を思い返してみて、赤面することばかり。ホワイトは、太くて硬く長い。今までは、リチャードしか知らなかったが、こんなイイ体験ができるとは、夢にも思っていなかったのだ。

 でも、このことが後になって知られたら、父も生きて帰ってこないだろう。王家に対して、どう申し開きをするか、きちんと考えておかなければならないというのに……。ホワイトの裸体を見ただけで、ドキドキと心臓は高鳴り、請われるままにカラダを開いてしまう。まるで、催眠術にかかってしまったかのように、抵抗することができない。

 一突きされただけで、子宮の奥にぶち当たるような感覚、悶えて、喘いで、つい淫らな声を出してしまう。

 気が付けば、「もっと、もっと」欲しくて堪らなくなって、腰を振りながら泣いて、我が子にしがみついている母。醜い。みっともないでは形容しがたい恥辱に現実を受け入れがたい。精神的にどんどん追い詰められ、壊れていくロアンヌをしり目に、ホワイトの愛撫という折檻は止まらない。

 毎日毎日、朝から晩までホワイトとの情事は続く。その頻度は、リチャードとの差ではない。激しすぎる情事に、明け暮れる毎日は、ロアンヌをいつも全裸のままにさせる。

 食事の時も、排せつの時も。

 父が王家に掛け合ってくれて、2か月が過ぎた頃、ようやくホワイトの上洛が認められ、王位継承権者第3位として、国王陛下に謁見することになった。

 そして、謁見の間でまたしても

「我は神なり。ロアンヌの母胎を借りて、この世に生を受けた。天上天下、唯我独尊!」

 その言葉とともに、ホワイトのカラダは光り輝き、国王までも跪かせる威圧感を解放した。

「ハハー!儂はもう歳で病であるから、すぐさまこの玉座にお座りください。儂はもう隠居を致しとう存じます」

「うむ。それが良かろう。大儀である」

 その日のうちに戴冠式を終え、正式な国王に就任したホワイトは、重鎮を解雇せず、部下にルビコン川の川底を徹底して浚うことを命じる。

 その結果、一人の男性の遺体と思われるものが出てきた。男性が帯刀していた剣から、その男性はロバート・クレメンタインであることが判明する。

 クレメンタイン家の墓地に埋葬されたロバートと体面を果たすロアンヌの姿がある。

 ロアンヌが抱きしめているのは、遺品となった帯刀の剣。

「ロバート様、やっとお会いすることができましたわ。長らく、お待たせしてしまって、申し訳ございません」
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