ポイ活聖女様~結婚に慎重になり過ぎて💦今世はやりたいように生きる

青の雀

文字の大きさ
4 / 37
第1章

4.手芸

しおりを挟む
 真理子ことルミアマリーゼは、この世界に転生してから、気になっていることがあった。それは、どこからともなく聞こえてくる電子音らしきチャリン音。前世、メールや何か珍しいニュースが入った時によくなっていたものと同じ音。その正体をいくら探してもどこにもないから、余計に気持ちが悪い。

 でも、その音が聞こえているのは、どうもルミアマリーゼだけのようで、メイドに聞けないでいる。

 こういう時こそ、お祖父ちゃんがいてくれたら便利なのに……、でも、あれ以来何度お祖父ちゃんを呼び戻そうとしても失敗ばかりでいい加減、心が折れてしまいそう。

 まあ、いいや。そのうちわかるだろう。

 それから何日か経過してから、お母様が暗い顔でまた訪ねてこられた。どうも、麻里子は、このお母様のことに関して、変に気を遣ってしまいがちで、苦手なタイプの一人であった。それというのも、おそらく全盛の真理子と同い年ぐらいではなかろうか?という年齢から来るものだということらしい。

 前世は、社畜と呼ばれるようなOLだった真理子に対して、このお母様は偉そうに指図はするが、自分おひとりでは何一つできない。できることはお父様の夜伽ぐらいなもので、それが前世、処女のまま逝った真理子の癪に障るところでもあるのだ。

「あのね。ルミアマリーゼちゃん、お父様にルミアマリーゼちゃんが、この前作っていらしたランジェリーのことを言ったらね。ウチの娘は天才か!って話になってね。それでね……」

 この辛気臭いところが嫌いなのよ。さっさと言えって!

「それでね……、やっぱりお母様とおそろいのランジェリーを作っていただけないかしら、と思ってね……」

「あら、そんなこと。でも、お母様なら大人なんだから、ご自分の下着ぐらい3歳の娘に作らせなくても、レースでパッパッと作っちゃえばいいことではございませんか?」

「……。この前も、思ったのだけど……その……レースって、いったい何の競争かしら?」

「へっ?」

 これには、麻里子も驚いてしまって、ここまでの天然ボケは、前世でも見たことがないレベル。

 いや、ひょっとしたら、この世界にはレース編みすら存在していない未開の世界なのかもしれない。

 いや、待てよ?ひょっとすれば、これはビジネスチャンスになるのではないかな?パンツもなければ、レース編みも知らないとなると、女性に下着とレース編みを普及させたら、一大産業に発展するではないか!

 その時、またあの妙な電子音、チャリンが聞こえたような気がしたけど、今はそれどころではない!

 神様やお祖父ちゃんは、聖女様として、幸せに何でも思うとおりに生きればいいと言ってくれたことを思い出す。

 でも、肝心のルミアマリーゼは、若干3歳児、この小さなお手手で、レース編みをしたところで、たかが知れているというもの。

 もっと大人の手に近づいてからでも遅くはないはず。子供なんて、あっという間に大きくなったような記憶があったから、のんきに考えるが、このことだけはお父様に一度、相談した方が無難かもしれない。

 お母様みたいな天然ボケには、とても相談できないもの。でも、その前にゴムの木を栽培しなければ……やることが、たくさんあり過ぎて、何から手を付ければいいかわからない。

 軽いめまいを感じたからと、お母様を退室させて、その後、公爵邸にある図書室に入る。図書室の存在は、転生した初日に、新しいメイドに一通り案内させたので、場所は知っていた。

 天井には天窓があり、そこが唯一の灯かりでもある。高さは3階建てぐらいあり、吹き抜け構造になっている。普段は鍵がかかっているものの、執事のセバスチャンに言えば、すぐ鍵を渡してくれ、ろうそくに火を点けて、案内までしてくれたのだ。

 左右に壁伝いにらせん状の階段がそれぞれあり、それが右回りのものと、左回りの者がそれぞれにある。梯子を上って、本を取るにすると、あまりにも危険なので、本を取りやすいような仕様が施されているというわけ。

 もう少し、ルミアマリーゼが大きくなれば、その階段を使って、本の近くまで行くことができるかもしれないけど、今はあまりにも幼く小さいので、階段を使うことは難しい。

「どういった御本をお探しなのでしょうか?」

「ゴムの木の本を探しているのよ」

「ごむ?でございますか……?」

「栽培方法とか、種をどこで入手できるのか、などが載っている本をあれば、いいなと思って」

「はぁ?」

「たぶん、南方の温かいところで育つ植物だと、思うのだけど……?」

「ああ、それでしたら2階の右端に合った書架にその関連の本が確かにございましたはずで、どれ、見て参りましょうか」

 セバスチャンは、らせん状の階段を器用に上がっていき、その後をルミアマリーゼはついて行くことになった。

「お嬢様は、下でお待ちを……」

 と言われても、素直に下で待っているわけにはいかない。もし、セバスチャンが頓珍漢な書物を手に取ろうものなら、諫めなくては、何度も書架と机を往復させては申し訳ないから。

 恐縮しているセバスチャンをしり目に机のところまで本を運んでもらうことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

処理中です...