ポイ活聖女様~結婚に慎重になり過ぎて💦今世はやりたいように生きる

青の雀

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第1章

3.ランジェリー

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 これが異世界転生というものなのか?真理子は初めての経験に右往左往するが、こういう時は、冷静になり、周りに溶け込むようにすることが一番いいと知っている。

 なぜなら、麻里子の勤める広告代理店では、このテのラノベと言うのだろうか?とにかく、このテの作品は有り余るほどあったものだから、慣れているはず……。

 とはいうものの、やはり自分のこととなるとそう簡単な問題では済まされないのが現実だ。

 しばらくするとコンコンコンというノック音が聞こえてきた。

 振り返ると、愕然とした表情のメイド服を着た女性が勝手に扉を開け入ってきた。

「お、お、お嬢様!?今朝は、ずいぶん早いお目覚めですのね?」

「アナタ、誰?」

「あっ、今日から、お嬢様付きのメイドになりましたカトレアにございます。以後、お見知りおきを」

 今日から、ということは前任者がいて、やめたか休んだということだろうか?それにしても、なんでそこまで驚くのか?皆目、見当がつかない。

 なんせ、今、転生してきたばかりなのだから、誰か説明してよ。と言いたいところをグッと我慢している。

 真理子は、とにかく、一度、ベッドの方へ戻ると、カトレアが着替えを手伝ってくれるらしい。

 やけにスースーすると思っていたら、この世界では下着を着けないらしく、すっぽんぽんのままに服を着る習慣があるようだ。

 これでは落ち着かない。後で布と糸などの裁縫道具を持ってきてもらって、自分用のパンツだけでも作りたいところ。

 食事の後、再訪道具を手に、適当に布を切って、縫い合わせていく。ゴムがあれば、いいけど、ゴムはまだこの世界には存在しないものらしく、お腹の部分はゆるゆるのままが、気持ち悪い。それでリボンで、お腹部分を縛り下へ落ちないように工夫をしてみる。

 思ったよりも、可愛くできて、満足していたら、カトレア以外のメイドも来て、興味深そうに見学しに来る。

 何枚かの試作品が完成する頃には、もう屋敷中のメイドがワイワイガヤガヤ言いながら、麻里子の部屋に集まっている。

「お嬢様、それはひょっとしたらでございますが……、服の下に着けるような種類のものでございましょうか?」

「これ?パンツよ。スリップとか下着ともいうわ。少し高級な言い方をすれば、ランジェリーとも言うけどね」

「ランジェリーですって……!外国の貴婦人が、そういうものを見に着けるという本を読んだことがございましてよ?」

「お嬢様は、どこで、そのような知識を……?」

 転生者だからとは、言えない。

 メイドの話を聞きつけ、ついにお母様まで真理子の部屋に来られたのである。

「ルミアマリーゼちゃん、どうしちゃったのかしら?昨日まで、あんなにお転婆だったというのに、急に下着づくりに夢中になってしまって、そういうお仕事は、メイドのお仕事ですわ。誰か!ルミアマリーゼちゃんの代わりに、これを縫ってちょうだい!」

「……(し~ん)……」

「お母様、これはメイドのお仕事ではございませんことよ。これは貴婦人になるための立派な手芸ですわ。刺繍やレース編みと同じことですの」

「で、でも、ルミアマリーゼちゃんは、まだ3歳なのに!」

「えっ!3歳……?」

 知らなかった。まだ幼い感じが残るとは思っていたけれど……、3歳で自分で下着を縫うなんてこと、いくら何でも早すぎ!?

 仕方がない。スースーしているのが気持ち悪いから、つい裁縫道具を借りてしまったのよね。前世では、家庭科の成績が割とよく、趣味で手芸なんかもよくしていたから。学生カバンにくっつけるぬいぐるみも買わずにお手製していたぐらいなので……つい、やらかしてしまった!?

 それにしてもルミアマリーゼなんて、みょうちくりんな名前が私の名前なの!?なんて、趣味が悪い!もっと、言いやすい名前とか、書きやすい名前、短い名前でないと受験の時に損をするわよ!

 って、ここでも受験戦争があるかどうか、わからない。

 お祖父ちゃんもなんて世界に私を転生させたのよ!ここで、文句の一つも言わないと気が済まないけど、あれっきり、出てこないから仕方ないか。

 こんな未開の世界で幸せになれって言う方が、どうかしているとしか思えない!

 あーあ。早く、日本へ帰りたいわ。健彦、今頃どうしているかなぁ。お祖父ちゃんは健彦のことをボロクソに言っていたけど、あれで、社内ではけっこう人気があるのよ。マメで優しくて、よく見たらイケメンで。営業成績もよかったし。

 でも、なんでボロクソに言ったのか、今でもわからない。健彦では幸せになれない?理由なんて、わかるわけない!あ!あれか、将来、浮気するとか……?その可能性なら、なんとなくわかるような気がする。

「ねえ、ルミアマリーゼちゃん。このランジェリー、お母様の分も作ってくれないかしら?メイドにさせようと思ったけど、みんな、できそうにないって言うのよ」

「わたくし、まだ3歳でございますから、お母様の分など、とてもとても無理でございますわ!」

 お母様は、ガックリと肩を落とされ、黙って部屋を出ていかれた。
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