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第2章

19.ジェームズ・カサブランカと

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 陛下との情事から、教室に戻ると、もうお昼休みの時間が近づいていた。今、陛下から愛されて、お腹いっぱいなのに、もうお弁当の時間だなんて、早すぎるわ。でも、時間は時間なので、今日のお弁当を中庭で食べることにする。

 ルミアマリーゼは、まだ1年生なので教室は1階にある。本当は、もう王族の一員なので、ローランドと同じ特別室で授業を受けることもできるのだけど、同じ教室にローランドといると、授業どころか、ローランドが発情しないかが気になる。だから、学園長に頼み込んで、わざと特別室の授業をやめてもらっている。

 それで中庭の方へ向かって歩いていると、ふいにジェームズ様から声をかけられることになる。そういえば、前世では中野いいお友達だったけど、今世は一度もお話しすらしたことがなかった。ローランドと従兄弟の関係で、母親同士が姉妹なのだ。

 ジェームズは、中庭のある木の陰で、明らかにルミアマリーゼに対して、セクハラ行為をしたいような素振りを見せる。

 でも、もうルミアマリーゼは、先ほどアレキサンダー陛下と上皇を交わしたばかりで、今はその気はない。

 それに今世では、美味しそうともなんとも思わない。ジェームズと関係を持つぐらいなら、聖騎士の誰かと持ちたいと思っているので、その場をなんとかやり過ごそうとしているのだが、ジェームズはしつこくて、なかなか放してくれそうにない。

「こんなところへ呼び出して、何か御用かしら?」

「最近、ずいぶん色っぽくなってきたね」

「えっ!?最近も何も、ジェームズ様とは、今までお話したことがなかったように記憶しておりますが……?」

「ずいぶんな言いようだね?俺とローランドは従兄弟同士なのだから、王太子妃殿下になられたら、王族の親戚とは口もききたくないってことかな?」

「別に、そんなつもりはございませんが……」

「だったら、俺と仲良くしてくれるということで、いいんだね?」

「内容にもよりますが……」

 自分のもの言いようが、ルミアマリーゼを困らせていることに悦を感じているようで、前世では、あんなに優しかったジェームズ様が今世では別人のような変態になってしまっていて、困惑するばかりのルミアマリーゼ。

「ずいぶん、いい匂いがするね。朝から、ご盛んなことで」

 これには、正直言って、ドキリとする。だって、少し前にアレキサンダー陛下とお風呂場で、あんなことをしてきたばかりなものだから、朝ではないけど、この世界の時間線では瞬きする時間でも、異空間時間では、5~6時間は経過しているような感覚だから。

「なんのこと?」

 素知らぬ顔で答えるもジェームズには通用しない。

「あれ?図星だったようだね。だったら、こっちの方もお願いしたいのだけど?」

 木陰に連れ込まれ、いきなり胸を触られる。

「やめて!放して!」

「いいのかな?そんな声を出して……、騒ぎになって困るのは、聖女様の方だよ?知っている?王太子妃殿下は淫乱聖女様だって、社交界で噂になっているよ……だから、おとなしくしていた方が身のためってことさ。俺を満足させてくれたら、黙っていてやるよ」

 その噂の出どころは、ルミアマリーゼも心当たりがある、最近、やたら元気を取り戻してきたアレキサンダー陛下に嫉妬したジュリエット王妃陛下が流している噂であることを。

 恐るべし妻の勘というやつ。

 自分を求めることなく、最近、やたらに元気なのが怪しいのだと思うが、他に女がいる風ではない。元から後宮には、側室がいるが、側室も最近、というか昔からちっともお渡りがないことに、最初は不満を持っていたらしいが、お渡りがなくても、お給料がもらえるのだから、今ではお渡りを歓迎していない様子だからだ。

 3歳の時に、ローランドから押し倒された事実があるにも関わらず、あれもルミアマリーゼが生まれつき淫乱で、ローランドを唆したためだと信じている。

 息子を溺愛しているがゆえに、だとは思うけど、あの時はいくら何でもローランド様からあんなことされるとは思ってもいなかったから、ビックリしてギャン泣きをしたぐらいだというのに。

 いったい、3歳児がどうやって、男を誑かすことができるのか?そのことの方に興味があって、空いた口がふさがらないという状態で聞いていたのだ。

 制服のスカートの裾から手を突っ込まれて、下着をずりおろされてしまう。

 ルミアマリーゼが開発したランジェリー文化は、今では貴族だろうが平民だろうが、みんな身に着けている当たり前となったのだが、それを足首までずりおろされて、いきなり前戯もなしに、ズブっと突っ込まれた。先ほどまで、陛下のモノが入っていたので、まだ名残りがあり、すんなり挿り痛くはなかったが、物足りない。

 細く柔らかい。陛下の方が比べ物にならないぐらい立派だから、でも、ローランドに比べても差は歴然とある。これならまだ、ローランドの方がイイのだ。

 ジェームズは、ふんふんと鼻を鳴らし、あっという間に果ててしまった。

 この忌まわしい記憶は、ジェームズの中から消え去り、ジェームズのアソコも凍らせておく。恍惚とした表情を浮かべ、ジェームズは木の陰で立ったまま、気絶している。

 そして何食わぬ顔で、中庭のベンチに腰を下ろし、お弁当を食べることにしたのだ。

 きっと、カサブランカ公爵夫人も、ことセックスに関しては、淡白なのでしょうね?こんなものでは、満足する令嬢は一人たりとも見当たりませんわ。

 午後の授業になっても、ジェームズは戻ってこなかった。
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