ポイ活聖女様~結婚に慎重になり過ぎて💦今世はやりたいように生きる

青の雀

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第3章

26.転校生

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 目が覚めると、懐かしいイグサの匂いがしてくる。

 白い部屋を経ずに、やっと日本へもどってくることができた。と考え深いため息を一つつく。

 その部屋には見覚えがあり、確か小学校6年生の時、父の仕事の関係で、京都に引っ越してきたときに住んでいた家だった。窓を開けると懐かしい京都大学の時計台が見える。

 真理子の父は大学で教鞭をとっていて、この春から京都大学に招聘されて、客員教授として転勤することになったばかりだった。

 窓の空気から想像すると、昨日、引っ越してきたばかりで、まだ春休みの最中なのか、風が冷たく肌寒い。

 トントントントン!と、二階へ上がってくる足音が聞こえてくると、

「真理子ちゃんおはよう。昨夜はよく眠れた?京都は、冬が寒くて、夏は暑いから、まだ今頃は寒いわね。ここは山手だから、窓を開けていたら小鳥がたくさん遊びに来るわよ」

 母は、根っからの京都人で、お正月に里帰りした時は、京都弁丸出しで喋るくせに、今はイントネーションだけが京都弁で、後は……標準語で喋るから、変な感じがする。

「ほら、顔を洗っていらっしゃい。朝ごはんの用意ができているわよ」

 言われたとおり、2階の洗面所に向かう。2階にもトイレと洗面所はある。そこで洗面所の鏡を何気なく見た真理子は、ビックリして、しばし鏡の中の真理子を見つめる。

 そこには、ニッポンでの前世、見知った真理子ではなく全くの別人が鏡に映っているのだ?真理子は、鏡の中の自分に対して

「アナタ誰?真理子はどこへ行ったの?」

 自問自答するかのように、呟くと、ハッとして、もう一度真理子の容姿をチェックしていく。

 小顔で白い肌に真っ黒の大きな瞳、鼻はスラリとして高く、髪は黒くサラサラヘアで肩までまっすぐ伸びて、ライトが鏡に反射してか天使の輪っかが綺麗に見える。まだ6年生だものキューティクルが揃っている。当たり前だけど。

 それに手足が細くて長い。

 真理子は自分の右の耳をつまむと、鏡の中の真理子?も左側の耳をつまんでいる。起き抜けのパジャマ姿のままでも、十分すぎるほどかわいい美少女の姿がそこにあった。

 これは、ひょっとして……異世界での美女改造効果がまだ生きている?

 全身、美容整形をしたようなものだけど、このままにしておくことにする。だって、元の真理子の戻し方を知らないし、それにこれから始まる暗黒の4年間をこの容姿で挑みたいという気もある。

 暗黒の4年間というのは、小学校6年から中学を卒業するまで転校した先で、同級生となった3人の女子生徒から執拗にイジメを受けることになる。転生してもなお覚えているぐらいの陰険なイジメで、当時の真理子は悲しくて毎日、泣かされて帰ってきたものだった。

 いわゆる京都の「いけず」という文化をその時初めて体験した瞬間でもある。

 3人の女子生徒は近所に住むアンキンというあだ名を持つ深尾明子、小学校の近所に住む田代妙子、木津祐子の3人で、今でも名前を思い出すだけで、震えが止まらなくなる。

 この容姿で、アイツらに会ったら、どんな反応をするか見てみたい。ひょっとすると、男子や他の同級生女子が庇ってくれるかもしれない。

 その期待を胸に春から転校生として、新しい公立小学校に通うことになったのである。

 クラス替えは希数年しか行われなく、6年生のクラスに入った真理子は、真理子だけが初見で、他の生徒たちは1年前から顔見知りということもあり、和気あいあいのところに一人、放り出されたような形になる。それに聞きなれない京都弁で話しかけられただけで、緊張してしまう。泣きそうになりながらも初日、無事帰ることになったのだが、近所に住むアンキンが「一緒に帰ろう」と言ってきたので、また緊張が走る。

 アンキンは、普通のサラリーマン家庭で、アンキンの住む家は宝くじで1等を当てた賞金で買ったものだということは、本人の口からすぐに露見した。

 宝くじに当たる人も本当にいたのか、と衝撃を受けたことを覚えている。

 帰り道、京都大学の正門前を通りながら、アンキンは話を続ける。自分が買ったわけでもないのに、宝くじに当たったことを自慢するアンキン。

 吉田神社の鳥居の前を通る時には、

「なぁ、真理子ちゃんと親友になりたいな」と言われ、ギョっとする。

 な、なに、これ?前世では、初見から嫌味を言ってきて、マウントを取ろうとしてきたくせに……。

 容姿がカワイコちゃんになっただけで、何が親友よ!アンタなんか、くそくらえってものよ。

 前世、25歳で死んで、それから異世界で、81歳まで生きていたから、精神年齢はもはや大人。酸いも甘いもかみ分けた立派な大人なので、

「いつまで、京都にいるかわからへんけど、それでもいいのならぜひ……」と一応、言っておく。

 いわゆる社交辞令としての返事を真に受けたようで、アンキンは大喜びをしている。

 それからは、近所に住むモミちゃんという女の子を紹介されて、この子のことはよく覚えている。前世の記憶の中で、真理子に優しく接してくれた数少ないお友達の一人で、何年生の時か……、ある時、引っ越していってしまい、会えなくなった。

 翌日、学校に行けば、田代妙子も木津祐子も、まるで掌を返したように、真理子に積極的に接してくるようになった。その度に真理子は、恐怖におののいているというのに、でも幸いなことに、アンキンが出しゃばってくれて、助かったところもある。

「真理子ちゃんは、私の親友になったんやで。せやから、私を通してからでないと、仲良うせんといて!」
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