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第2章
25.余生
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それからアレキサンダー陛下は、ふぬけの様になり、そのまま退位されてしまう。ルミアマリーゼに横恋慕し、息子を殺した愚王としての、汚名を着たままの退位となった。
ついで、即位したのが、王子の母であるルミアマリーゼがコペンハーゲン国の女王として即位することになった。ただし、王子が成人するまでの間のリリーフとしての女王。
普段の公務は、実父であるロマノフ公爵に、その任を頼む。ガサブランカ家が没落した後、ロマノフ家が事実上の筆頭公爵となっているので、特段、問題は起きなかった。
ルミアマリーゼは、学業と聖女としての祈り時間があるため、公務には一切口出しはしない。父に全幅の信頼を寄せているので、父のやりたいような政をしてもらうつもりでいる。
そして長男が18歳になり学園を卒業するころには、退位してもらい長男が王位に就く予定がある。
父は、38歳になるので、後7年頑張ってもらうしかない。一応、先王のアレキサンダーが残した後宮の中に手つかずの側室もいるようだから、時折、母に内緒でそこで日ごろのストレスのうっぷん晴らしをしているみたいだけど、ルミアマリーゼは、あえて見て見ぬふりをしている。
後宮にいる側室ならば、避妊管理も十分できているはずだから、父にはいいストレス発散になるのかもしれない。
英雄は色を好む。の通り、常人では計り知れないストレスがあると聞く。
ルミアマリーゼの代わりに、そのストレスが肩代わりしてくれている父に対して、そこまで酷なことは言えない。ルミアマリーゼは、というと時折、一夜限りのオトコを作っても、その都度、記憶と痕跡を消すようにしているだけで、もはやオトコ日照りと言ってもいいぐらいご無沙汰になっているのである。
残り二人の聖騎士とも、どちらともヤったが、アシュレイ程のめり込むような価値ではなかったことから、ほんの味見程度の経験しかしていない。
もちろん、二人の記憶を操作して、完全に消し去ってしまったことは確かなこと。
男妾を探したいけど、公にはできない聖女様の身分と女王の身分が邪魔をして、なかなか適当なオトコを探せないでいる。
ニッポン通販でオモチャを買うことも考えたが、虚しいだけ。富も権力も美貌もあるのに、男性の心は買えない。
夜中に城をこっそり抜け出して、街の女としてふるまおうとも思ったけど、それこそバレたら、「淫乱聖女」と言われかねない失態になる。だから、辛抱している。
でも独り寝は寂しい。前世のローランドの様に、手だけでもいいから握ってもらい、眠りにつきたい。欲求不満は募るばかり。
悶々とした日々を送るルミアマリーゼだが、学園も無事、卒業でき、聖女の仕事の傍ら父の手伝いをするようになった。
父に何かあった時のため、秘書官の仕事ぐらいはできるようにならないと、長男に仕事の引継ぎができないと困るので、必死になって勉強していくうちに、ルミアマリーゼの欲求不満は消えていく。
仕事が忙しく、面白く、欲求不満なんて、言っていられないほど楽しい毎日になってくる。今までは、令嬢として、結婚してからは聖女様の仕事とオトコと遊ぶことぐらいしかしてこなかったルミアマリーゼは新しい生きがいを仕事に見つけたのだ。
それに前々世でポイ活をすると決めた時に、美味しい食事を他人に食べてもらえるようなスキルを身に着けたいと願っていたことなど、すっかり忘れていたことを思い出す。
女王の仕事をしながら、王城の一部を聖女レストランとして、前々世作ったことがあるレシピを一生懸命思い出しては、作り提供することに情熱を傾けていくことにした。
レストランは、大繁盛し、そこで食事をすると何らかの効果があるみたいな附属サービスをつけることに成功したのだ。
たまたま王城へ来た王都民の口コミで、お昼ごはん時には、列を成すほどの人気店になりあがっていく。
料理スキルは、一度でも食べたことがある場合、使った料理のレシピを材料がなくても思い浮かべるだけで、同じものができてしまうという便利なスキルで、素材が手元になくても同じものがすぐにできてしまうことから、大量生産も自在にこなせるようになった。
夜中に小腹が空いたとき、昔、京都の南座のところにあった松葉のにしんそばが食べたいと願ったところ、急に目の前に熱々ホクホクのにしんそばが出現した時、それもご丁寧に割り箸まで添えているのを見た時、ああ、このスキルを買ってよかったと心から思ったものだ。
このスキル、来世も持っていけたら最高なのに……。
前世から今世は引き継がれたのだから、来世もきっと……。
そうこうしている間に、瞬く間に7年の月日があっという間に過ぎ、いよいよ長男のウイリアム王子が王太子にならず、王位に就くことになった。
そばには、学園の同級生だった可憐な令嬢ダイアナが寄り添うようにウイリアムに従っている。
「おめでとう。今日からあなたがコペンハーゲン国の王様になったのよ。お父様の名に恥じぬように、務めなさい」
退位したルミアマリーゼは、後宮に入ることなく実父と共にロマノフ領地へ戻ることにし、もう金輪際、政に関わらず幸せな余生を過ごしたという。
ついで、即位したのが、王子の母であるルミアマリーゼがコペンハーゲン国の女王として即位することになった。ただし、王子が成人するまでの間のリリーフとしての女王。
普段の公務は、実父であるロマノフ公爵に、その任を頼む。ガサブランカ家が没落した後、ロマノフ家が事実上の筆頭公爵となっているので、特段、問題は起きなかった。
ルミアマリーゼは、学業と聖女としての祈り時間があるため、公務には一切口出しはしない。父に全幅の信頼を寄せているので、父のやりたいような政をしてもらうつもりでいる。
そして長男が18歳になり学園を卒業するころには、退位してもらい長男が王位に就く予定がある。
父は、38歳になるので、後7年頑張ってもらうしかない。一応、先王のアレキサンダーが残した後宮の中に手つかずの側室もいるようだから、時折、母に内緒でそこで日ごろのストレスのうっぷん晴らしをしているみたいだけど、ルミアマリーゼは、あえて見て見ぬふりをしている。
後宮にいる側室ならば、避妊管理も十分できているはずだから、父にはいいストレス発散になるのかもしれない。
英雄は色を好む。の通り、常人では計り知れないストレスがあると聞く。
ルミアマリーゼの代わりに、そのストレスが肩代わりしてくれている父に対して、そこまで酷なことは言えない。ルミアマリーゼは、というと時折、一夜限りのオトコを作っても、その都度、記憶と痕跡を消すようにしているだけで、もはやオトコ日照りと言ってもいいぐらいご無沙汰になっているのである。
残り二人の聖騎士とも、どちらともヤったが、アシュレイ程のめり込むような価値ではなかったことから、ほんの味見程度の経験しかしていない。
もちろん、二人の記憶を操作して、完全に消し去ってしまったことは確かなこと。
男妾を探したいけど、公にはできない聖女様の身分と女王の身分が邪魔をして、なかなか適当なオトコを探せないでいる。
ニッポン通販でオモチャを買うことも考えたが、虚しいだけ。富も権力も美貌もあるのに、男性の心は買えない。
夜中に城をこっそり抜け出して、街の女としてふるまおうとも思ったけど、それこそバレたら、「淫乱聖女」と言われかねない失態になる。だから、辛抱している。
でも独り寝は寂しい。前世のローランドの様に、手だけでもいいから握ってもらい、眠りにつきたい。欲求不満は募るばかり。
悶々とした日々を送るルミアマリーゼだが、学園も無事、卒業でき、聖女の仕事の傍ら父の手伝いをするようになった。
父に何かあった時のため、秘書官の仕事ぐらいはできるようにならないと、長男に仕事の引継ぎができないと困るので、必死になって勉強していくうちに、ルミアマリーゼの欲求不満は消えていく。
仕事が忙しく、面白く、欲求不満なんて、言っていられないほど楽しい毎日になってくる。今までは、令嬢として、結婚してからは聖女様の仕事とオトコと遊ぶことぐらいしかしてこなかったルミアマリーゼは新しい生きがいを仕事に見つけたのだ。
それに前々世でポイ活をすると決めた時に、美味しい食事を他人に食べてもらえるようなスキルを身に着けたいと願っていたことなど、すっかり忘れていたことを思い出す。
女王の仕事をしながら、王城の一部を聖女レストランとして、前々世作ったことがあるレシピを一生懸命思い出しては、作り提供することに情熱を傾けていくことにした。
レストランは、大繁盛し、そこで食事をすると何らかの効果があるみたいな附属サービスをつけることに成功したのだ。
たまたま王城へ来た王都民の口コミで、お昼ごはん時には、列を成すほどの人気店になりあがっていく。
料理スキルは、一度でも食べたことがある場合、使った料理のレシピを材料がなくても思い浮かべるだけで、同じものができてしまうという便利なスキルで、素材が手元になくても同じものがすぐにできてしまうことから、大量生産も自在にこなせるようになった。
夜中に小腹が空いたとき、昔、京都の南座のところにあった松葉のにしんそばが食べたいと願ったところ、急に目の前に熱々ホクホクのにしんそばが出現した時、それもご丁寧に割り箸まで添えているのを見た時、ああ、このスキルを買ってよかったと心から思ったものだ。
このスキル、来世も持っていけたら最高なのに……。
前世から今世は引き継がれたのだから、来世もきっと……。
そうこうしている間に、瞬く間に7年の月日があっという間に過ぎ、いよいよ長男のウイリアム王子が王太子にならず、王位に就くことになった。
そばには、学園の同級生だった可憐な令嬢ダイアナが寄り添うようにウイリアムに従っている。
「おめでとう。今日からあなたがコペンハーゲン国の王様になったのよ。お父様の名に恥じぬように、務めなさい」
退位したルミアマリーゼは、後宮に入ることなく実父と共にロマノフ領地へ戻ることにし、もう金輪際、政に関わらず幸せな余生を過ごしたという。
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