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第3章
33.恋人
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真理子と太郎は、山吹の両親にも挨拶を済ませ、事務所社長に婚約することになったと報告する。
「よっしゃ、それでは我々の夫婦が媒酌人を使用ではないか?ん?若松さんも山吹さんも俺の親友なのだからな。いやあ、それにしてもめでたい。マスコミには、いつ発表するのだ?」
「婚約と言っても、これからお付き合いを始めさせていただくということの承諾を得ただけですし、まだ、始まってもいない段階なので、もし、結婚できることが決まったら、一番にご報告させていただきます」
「ほう。山吹のボンは、プレイボーイだと聞いていたのだが、あれは噂だけか?あっはは。噂もアテにならないようだな」
「いいえ。真理子さんとは、真剣交際をしたいので」
「ほう。ということは今までは、遊びだったということか……」
「いや、それは若気の至りというかなんというか……でして」
「なに、言っているんだ。今でも十分、若いではないか!」
とにかく太郎さんの真剣さがわかって、ホッとしたような気がする。
それからというものは、前にも増して二人でいる時間が増えた。だが仕事とプライベートのON、OFFの切り替えはすさまじく、仕事中は二人きりでいるときでもタレントと代理店担当者の関係は崩さない。
ある時、博報堂担当者から、痛烈な嫌味を言われたことがあった。太郎が言い返せないことを知っての上での悪質な嫌味であったことから、
「山吹さんのところの御曹司まで出してきて、色仕掛けでタレントを起用なさるおつもりか?逆枕営業をされているとしか、思えませんな」
真理子が言い返す前に、事務所社長が一喝してくれて、その日は事なきを得たものの、その日のことを社長が白鳳堂の社長に伝えたことで、担当者が更迭されてしまった。
「失敬な!所属タレントと言えば、娘同然、若松の親父さんとは大学の同期だ。それをよくも侮辱してくれたな!」
「いや、社長いらしていたのですか?いえ、……若松さんのことを申したのではございません。平に、お許しを」
「ならん!儂のところの全タレントを引き揚げさせる!」
いや、そこまで話を大事にしなくても……、ふと隣に立つ太郎の顔を見ると唇を真一文字に結んでいる。よほど、悔しかったのか、白鳳堂や他の関係者から見えないように、そっと真理子は、太郎の手を握った。
太郎は、今まで手を握ったことさえもない堅物純情ぶりで、でも、今の話を聞いていたら、相当、昔は遊んでいたと思わせるような話で……、それだけに、腹が立ち、悔しそうな顔をしている。
「いや、社長!それだけは、勘弁してくださいよぉ、ねえ、社長、待ってくださいよぉ」
白鳳堂の営業マンは、事務所の社長を追いかけて、どこかに行ってしまう。後に、残された真理子と太郎は、気まずい。
「気にしないでください」
「でも……」
「大丈夫です。それよりまだ収録まで時間がありそうですから、お弁当もらってきますね。真理子さんは、楽屋でお待ちを」
「ええ……ありがとう」
「俺のこと、がっかりしましたか?でも、学生時代の俺は言われたとおりの人間だったのです。だから、逆枕営業だなんて……でも、親父の会社へ入ってからは、一度もハメを外すことなく真面目にやってきたつもりです。それをあんな風に言われると、やっぱりキツイですね。俺のことはもう……ふられても仕方がないと思いました」
「いいえ、却って、好感が持てましたわ。誰だって、学生時代、ハメを外したくなります。それまで一生懸命勉強して、やっと大学に入って、ある程度の自由を手に入れてしまうと、ハメの一つや二つは誰でも外したくなります」
「ありがとう。真理子さん愛しています。これからもよろしくお願いしますね。何ならこれから逆枕営業でも?」
「ぷっ!」
思わず吹き出して、その後二人で大笑いした後、真剣に見つめあって、本当にその後、結ばれることになるとは、男と女って、どう転ぶかわからないもの。
初めて手を繋いだのもその日、初めてキスをしたのもその日。何もかも初めて尽くしだったけど、白鳳堂の担当者に感謝しなくてはならないと思ったのは、真理子だけではなく太郎も同じ思いだったと後で知ったのだ。
たとえどうあれ、そのきっかけを作ってくれたのだから。
また少し、二人の関係性が進んだことは良かった。あのままでは、いつまで経っても恋人同士になれず、タレントと付き人兼CM営業担当者としての関係しかなかったのだもの。
晴れて、恋人同士になれた二人は、お仕事の時はいつものように公私混同することなくドライな関係でいたので、二人が恋人同士だと気づくものは誰もいない。
仕事が跳ねてからは、ラブラブの恋人同士に変身する。そのギャップが面白くて、楽しくて、真理子は太郎といると、こんなにも笑えるものかと思うほど笑って、それでいて楽しい毎日を過ごしている。
赤薔薇の友人たちから、最近、綺麗になったとよく言われる。
「前から、美人だったけどさ、ここのところ、なんだか角が取れて、ますますイイ女に磨きがかかったって感じがするわ」
「よっしゃ、それでは我々の夫婦が媒酌人を使用ではないか?ん?若松さんも山吹さんも俺の親友なのだからな。いやあ、それにしてもめでたい。マスコミには、いつ発表するのだ?」
「婚約と言っても、これからお付き合いを始めさせていただくということの承諾を得ただけですし、まだ、始まってもいない段階なので、もし、結婚できることが決まったら、一番にご報告させていただきます」
「ほう。山吹のボンは、プレイボーイだと聞いていたのだが、あれは噂だけか?あっはは。噂もアテにならないようだな」
「いいえ。真理子さんとは、真剣交際をしたいので」
「ほう。ということは今までは、遊びだったということか……」
「いや、それは若気の至りというかなんというか……でして」
「なに、言っているんだ。今でも十分、若いではないか!」
とにかく太郎さんの真剣さがわかって、ホッとしたような気がする。
それからというものは、前にも増して二人でいる時間が増えた。だが仕事とプライベートのON、OFFの切り替えはすさまじく、仕事中は二人きりでいるときでもタレントと代理店担当者の関係は崩さない。
ある時、博報堂担当者から、痛烈な嫌味を言われたことがあった。太郎が言い返せないことを知っての上での悪質な嫌味であったことから、
「山吹さんのところの御曹司まで出してきて、色仕掛けでタレントを起用なさるおつもりか?逆枕営業をされているとしか、思えませんな」
真理子が言い返す前に、事務所社長が一喝してくれて、その日は事なきを得たものの、その日のことを社長が白鳳堂の社長に伝えたことで、担当者が更迭されてしまった。
「失敬な!所属タレントと言えば、娘同然、若松の親父さんとは大学の同期だ。それをよくも侮辱してくれたな!」
「いや、社長いらしていたのですか?いえ、……若松さんのことを申したのではございません。平に、お許しを」
「ならん!儂のところの全タレントを引き揚げさせる!」
いや、そこまで話を大事にしなくても……、ふと隣に立つ太郎の顔を見ると唇を真一文字に結んでいる。よほど、悔しかったのか、白鳳堂や他の関係者から見えないように、そっと真理子は、太郎の手を握った。
太郎は、今まで手を握ったことさえもない堅物純情ぶりで、でも、今の話を聞いていたら、相当、昔は遊んでいたと思わせるような話で……、それだけに、腹が立ち、悔しそうな顔をしている。
「いや、社長!それだけは、勘弁してくださいよぉ、ねえ、社長、待ってくださいよぉ」
白鳳堂の営業マンは、事務所の社長を追いかけて、どこかに行ってしまう。後に、残された真理子と太郎は、気まずい。
「気にしないでください」
「でも……」
「大丈夫です。それよりまだ収録まで時間がありそうですから、お弁当もらってきますね。真理子さんは、楽屋でお待ちを」
「ええ……ありがとう」
「俺のこと、がっかりしましたか?でも、学生時代の俺は言われたとおりの人間だったのです。だから、逆枕営業だなんて……でも、親父の会社へ入ってからは、一度もハメを外すことなく真面目にやってきたつもりです。それをあんな風に言われると、やっぱりキツイですね。俺のことはもう……ふられても仕方がないと思いました」
「いいえ、却って、好感が持てましたわ。誰だって、学生時代、ハメを外したくなります。それまで一生懸命勉強して、やっと大学に入って、ある程度の自由を手に入れてしまうと、ハメの一つや二つは誰でも外したくなります」
「ありがとう。真理子さん愛しています。これからもよろしくお願いしますね。何ならこれから逆枕営業でも?」
「ぷっ!」
思わず吹き出して、その後二人で大笑いした後、真剣に見つめあって、本当にその後、結ばれることになるとは、男と女って、どう転ぶかわからないもの。
初めて手を繋いだのもその日、初めてキスをしたのもその日。何もかも初めて尽くしだったけど、白鳳堂の担当者に感謝しなくてはならないと思ったのは、真理子だけではなく太郎も同じ思いだったと後で知ったのだ。
たとえどうあれ、そのきっかけを作ってくれたのだから。
また少し、二人の関係性が進んだことは良かった。あのままでは、いつまで経っても恋人同士になれず、タレントと付き人兼CM営業担当者としての関係しかなかったのだもの。
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仕事が跳ねてからは、ラブラブの恋人同士に変身する。そのギャップが面白くて、楽しくて、真理子は太郎といると、こんなにも笑えるものかと思うほど笑って、それでいて楽しい毎日を過ごしている。
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