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9.神との出会い

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「あっ、あっ、あっ、あん。いやん。ダメです。それ以上は、おかしくなってしまいます!」

「何がダメだ?ん?こうして欲しかったのだろ?お前は、長い間、女も抱けず男にも抱かれたいが、抱かれずにずっと欲求不満だったではないか?だから、あんな無謀な契約魔法を使って、軟弱男のキンタマを狩っていたのだろ?安心するがよい。お前が心底抱かれたいと思う男が現れるまでは、私がお前の性欲処理を手伝ってやろうではないか!しかし、私といくら交わっても、お前が処女を失うことはないので、聖女様の力は、そのまま持続する。いい話だろ?まあ、聖女様の魔法を使えば、処女膜など、いつでも再生できるというものだがな。ふぉっふぉっふぉ」

 俺は今まで知らなかった。ことセックスに関して、常に男性上位だと勘違いしていたのだが……、実は、……女の方がこんなにイイモノだったとは、夢にも思っていなかったのだ。

 男は基本的に挿入して出して終わりだが、女性は、ほんの少しのことで感じたり感じなかったり、変化が楽しめるばかりか、何度でもイケる。

 何度でもイケるから、1回の間に、エクスタシーが何度も訪れるということは、永遠とも思える快楽の海にいつまでも浸かっていられるということ、とめどなく押し寄せる快感がたまらなくイイ。このまま終わってしまうのが惜しいので、何度でも上り詰めたくなる。

 だから貪欲に相手の男をしゃぶりつくすまで、放さない性がある。

 今の俺は神に抱かれているので、妊娠の心配もないし、破瓜の痛みもない。ただ快楽を貪っている存在にすぎない。

 コトの発端は、魔物との戦闘中に聖女様に覚醒した時にさかのぼる。

 俺は、上が述べたとおり、少々欲求不満気味になっていた、だから騎士団入団試験も半ば押し切るような形で両親を説得し、一刻も早く誰でもいいからオトコに抱かれたかった。

 ところがキンタマ狩りという悪いうわさが原因で、誰も俺にちょっかいをかけなくなってしまい、俺は騎士団の寮で一人、自分を慰める夜を過ごしていたのだ。

 前世の経験から、女の性感帯がどこにあるのか熟知していたから自分を慰めるときも、そう困ることはなかったのだが……朝、起きてからいっそう虚しくなるのが辛くてたまらなかったのだ。

 こういう時、前世なら通販でいくらでも手助けをしてくれるオモチャが溢れていたというのに、この世界では、まだまだそれも未熟で無いに等しい。

 実際は、あるのかもしれないが、公爵令嬢として育った俺には、手の届かないもので。

 そんな時に、あの半身女神で半身男神に慰めている姿を見られてしまい、「上半身を慰めてくれるのなら、下半身でお前を貫いてやろう」という魅力的な申し出をされてしまう。

 断ろうかと思ったときには、もう手遅れで……冒頭のように、喘ぎまくらされている。女神のおっぱいを舐めているときは、レズビアンになったかのような錯覚をしたが、すぐに男神が手を出してきて、後は女役一辺倒になってしまっている。

 おかげで、ここのところの欲求不満がウソのように消え、実に健康的で快適な生活を送れている。

 フェリシアン殿下付きの護衛になったものの、周囲の反感は否めない。でも、実力半分でなれたと思われているから、本当は実力だけでなったのよと胸を張って自慢したいが、周囲は、わたくしのバストに釘付けになり、勝手に赤面し、その後は、咳ばらいをしてごまかすという行為に至っている。

 つくづく男という生き物は厄介だと、女になってから初めて実感したのだ。

 都合が悪くなると、上目遣いで甘えたような素振りを見せると、すぐ男は鼻の下を伸ばし、何でもシャルロットの思い通りになることもわかってきた。

 世の女は、こうして、男を操っていたのかと思い出すこともしばしばある。
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