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悪役令嬢アナスタシア
「公爵令嬢アナスタシア、あなたとの婚約は今日、卒業パーテイの場をもって解消することとしよう。」王太子殿下クリスチャンが高らかに宣言した。
王太子殿下は、本来の婚約者ではなく子爵令嬢のミラをエスコートしている。
「理由は、なんでございますか?」
「一つ目の理由は、ミラを虐めていたことだ。」
「その無礼な子爵令嬢に、貴族令嬢としてのふるまいを注意し、わたくしの婚約者を凋落し、わたくしから婚約者を奪おうとする行為を窘めていただけですよ。」
「貴様は、ミラを炎の魔法で焼き殺そうとしたではないか?私があと一歩、現場に着くことが遅かったら、今頃、ミラは…。」
「殿下がミラごときを庇われますからでしょう。貧乏子爵家ごときが殿下と釣り合いますか?国の重鎮がそれを認めますか?」
「すでに陛下と君の父上、宰相もご了承されておる。宰相は、君の行いを恥じていたよ。」
「うそ!父上が、そんな…。」
「2つ目の理由は、アナスタシア嬢が他の貴族令息と浮気をしていたことだ。ここであえて、家名は出さない。それも一人を相手にしていたのではなく、何人もの男たちに身を任せふしだらな関係を築いていた。これは王国諜報部隊が入念に調べ上げ、報告が届いている。不貞をしておきながら、私の婚約者の座に固執し、私の大切なミラを虐めぬいた。ミラは、私に何も言わないから、いじめに関しては不問としていたが、こうして諜報部隊から報告が上がってきている以上、看過することができない。」
「どうして!どうしてなのよ!小さい時から、お妃教育を頑張ってしてきたのに!その娘ミラは、何の苦労もせずにわたくしの大切な婚約者を奪い取ろうとした。それを虐めて何が悪いのよ!ええ、ええ。確かに殺そうとしましたわよ。でも、ロクな魔法も使えない子爵令嬢が殿下のお側で、殿下をお守りすることができますか?この子爵令嬢ミラの存在が邪魔だから、排除しようとしただけよ。」
「そもそもミラを子爵令嬢と決めつけていることに、問題があるのだが、これは極秘情報だから、一般の者は、知らされていないことだがね。」
「「「「「え?」」」」」
殿下が言い出されたことについて、アナスタシア嬢もミラ嬢も、学園にいる他の貴族令息令嬢、皆驚いて固まってしまった。
殿下は絶対に離さないと言わんばかりにミラ嬢の手を握り締めて
「ミラ・コンスタンスノーブル公爵令嬢、私と結婚していただけますか?」と跪き、ミラ嬢の手の甲にキスを落とした。
「「「「「コンスタンスノーブル嬢!幼きときに行方が分からなくなった公爵令嬢だ。」」」」」
「ミラ嬢、返事は?」
「は、はい。謹んで受け賜わります。」
「うむ。これでミラは俺のモノだ。」王太子殿下は満足そうに頬をゆるめ、ミラの唇にキスを落とした。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
時は、ミラが学園の魔術科に入学した頃に遡ります。
ミラは、家が貧乏だから学園に行くより働きたかったが、入学式直前になって、突然、学園に入学することになったのだ。生まれ持った魔力の資質があったらしい。
したがって、ミラは最初から王太子を狙っていたわけではなく、むしろなぜか王太子から付け狙われていたのだ。付き纏われていたのだ。
「聞いていますか?あなたはわたくしの婚約者クリスチャン殿下を篭絡しようとしています。それがどれだけの罪になるかということを理解していますか?」
アナスタシア嬢は、怒り心頭で睨みつけてくるが、ミラは自分が王太子に近づいているわけではなく、王太子がミラに近づいていることを、どう説明しようか困っている。
どうせ言っても誰も信じてくれないよね。
そんな時に学園の課外授業があり、王都近くの森に行ったとき、運悪く貴族令息令嬢を狙った強盗団に襲われたことがあった。それにいち早く捕まったミラを助け出してくれたのが殿下で、事件以降、さらに殿下から執着されて、拒否できなくなってしまった。
いつも殿下からの監視下(?)での行動が制限され、自由に学び、将来王国お抱えの魔術師になる夢も潰えかけた時、あの卒業パーティの騒ぎがあった。
殿下は、最初からミラが公爵令嬢と知っていて、近づかれたのだった。
ついでに言うなら、婚約者だった公爵令嬢があまりに残念だったから、気持ちが萎えてしまわれたのでしょう。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
ともあれ、クリスチャン王太子殿下とミラ公爵令嬢の結婚式は滞りなく終わり、二人は幸せになりました。とさ。
王太子殿下は、本来の婚約者ではなく子爵令嬢のミラをエスコートしている。
「理由は、なんでございますか?」
「一つ目の理由は、ミラを虐めていたことだ。」
「その無礼な子爵令嬢に、貴族令嬢としてのふるまいを注意し、わたくしの婚約者を凋落し、わたくしから婚約者を奪おうとする行為を窘めていただけですよ。」
「貴様は、ミラを炎の魔法で焼き殺そうとしたではないか?私があと一歩、現場に着くことが遅かったら、今頃、ミラは…。」
「殿下がミラごときを庇われますからでしょう。貧乏子爵家ごときが殿下と釣り合いますか?国の重鎮がそれを認めますか?」
「すでに陛下と君の父上、宰相もご了承されておる。宰相は、君の行いを恥じていたよ。」
「うそ!父上が、そんな…。」
「2つ目の理由は、アナスタシア嬢が他の貴族令息と浮気をしていたことだ。ここであえて、家名は出さない。それも一人を相手にしていたのではなく、何人もの男たちに身を任せふしだらな関係を築いていた。これは王国諜報部隊が入念に調べ上げ、報告が届いている。不貞をしておきながら、私の婚約者の座に固執し、私の大切なミラを虐めぬいた。ミラは、私に何も言わないから、いじめに関しては不問としていたが、こうして諜報部隊から報告が上がってきている以上、看過することができない。」
「どうして!どうしてなのよ!小さい時から、お妃教育を頑張ってしてきたのに!その娘ミラは、何の苦労もせずにわたくしの大切な婚約者を奪い取ろうとした。それを虐めて何が悪いのよ!ええ、ええ。確かに殺そうとしましたわよ。でも、ロクな魔法も使えない子爵令嬢が殿下のお側で、殿下をお守りすることができますか?この子爵令嬢ミラの存在が邪魔だから、排除しようとしただけよ。」
「そもそもミラを子爵令嬢と決めつけていることに、問題があるのだが、これは極秘情報だから、一般の者は、知らされていないことだがね。」
「「「「「え?」」」」」
殿下が言い出されたことについて、アナスタシア嬢もミラ嬢も、学園にいる他の貴族令息令嬢、皆驚いて固まってしまった。
殿下は絶対に離さないと言わんばかりにミラ嬢の手を握り締めて
「ミラ・コンスタンスノーブル公爵令嬢、私と結婚していただけますか?」と跪き、ミラ嬢の手の甲にキスを落とした。
「「「「「コンスタンスノーブル嬢!幼きときに行方が分からなくなった公爵令嬢だ。」」」」」
「ミラ嬢、返事は?」
「は、はい。謹んで受け賜わります。」
「うむ。これでミラは俺のモノだ。」王太子殿下は満足そうに頬をゆるめ、ミラの唇にキスを落とした。
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時は、ミラが学園の魔術科に入学した頃に遡ります。
ミラは、家が貧乏だから学園に行くより働きたかったが、入学式直前になって、突然、学園に入学することになったのだ。生まれ持った魔力の資質があったらしい。
したがって、ミラは最初から王太子を狙っていたわけではなく、むしろなぜか王太子から付け狙われていたのだ。付き纏われていたのだ。
「聞いていますか?あなたはわたくしの婚約者クリスチャン殿下を篭絡しようとしています。それがどれだけの罪になるかということを理解していますか?」
アナスタシア嬢は、怒り心頭で睨みつけてくるが、ミラは自分が王太子に近づいているわけではなく、王太子がミラに近づいていることを、どう説明しようか困っている。
どうせ言っても誰も信じてくれないよね。
そんな時に学園の課外授業があり、王都近くの森に行ったとき、運悪く貴族令息令嬢を狙った強盗団に襲われたことがあった。それにいち早く捕まったミラを助け出してくれたのが殿下で、事件以降、さらに殿下から執着されて、拒否できなくなってしまった。
いつも殿下からの監視下(?)での行動が制限され、自由に学び、将来王国お抱えの魔術師になる夢も潰えかけた時、あの卒業パーティの騒ぎがあった。
殿下は、最初からミラが公爵令嬢と知っていて、近づかれたのだった。
ついでに言うなら、婚約者だった公爵令嬢があまりに残念だったから、気持ちが萎えてしまわれたのでしょう。
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