18 / 150
許せない
しおりを挟む
また、今回も試行錯誤しています。
結末を悩みました。
ご意見、ご感想お待ちしております。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「公爵令嬢キャサリン、貴様との婚約は本日をもって破棄する。」
第1王子のウィリアムから高らかに宣言される。ウィリアムの横には庇護欲をそそられる子爵令嬢のリーゼがもたれかかっていて、勝ち誇ったような微笑みを浮かべている。
キャサリンは、5歳の時、高熱を出し、3日間寝込んだ後、前世の記憶を思い出した。
学園に通うようになり、2年生の時にヒロインが転校し、王子と仲良くするのに腹を立て、虐めて、断罪され、処刑される。という記憶を思い出したのだ。
それからなるべく王子とかかわりを持ちたくないのに、親同士の話で5歳の時、婚約する。
5歳の時からだから、今まででちょうど10年、お妃教育は辛過ぎる。
ウィリアム王子は、優しくしてくれるけど、前世の記憶があるから別に好き、というほどでもない。政略結婚だから仕方ないのかもしれない。
学園に入学してから1年が過ぎ2年生になった頃、某子爵の隠し子として育てられてきたリーゼ嬢が編入してきた。
リーゼ嬢は、天真爛漫な性格と庇護欲をそそる可愛い容姿、騎士団長の息子や神官長の息子と仲良くしていく。そのリーゼ嬢の取り巻きの中にウィリアム王子の姿を見つけることができるまで時間は要しない。
「ああ、やっぱり。」キャサリンは、絶望する。
なるべくリーゼ嬢と近寄らないようにしよう。それを心掛ける。
前世の記憶と違って、わたくしとウィリアム王子の仲は悪くなかった。学園の外でも中でもウィリアムと一緒にいた。殿下はいつもわたくしに優しい。
それなのに、いつの間にかキャサリンがリーゼを虐めていて、ウィリアムと仲が悪いとのうわさが独り歩きして。
極力リーゼを避けてきたのに、やはりあとはギロチンが待つのみか…。
辛い空気の中で迎えた卒業パーティがとうとう来る。
一人さみしく会場に向かったわたくしを待っていたのは、リーゼ嬢と殿下をはじめとする取り巻き連中だ。
「この中にウソをついていたものがいる!」と殿下が口火を切る。
(うそ!何もしていない)心の中でキャサリンは叫んだ。
「これから、その者の罪を明らかにし、処罰する。」
殿下の声が響き渡る。
(やっぱり、ギロチンか…。何もしていないのに…。)
辛くて、苦しくて、その時、わたくしの肩に何かが触れた。
ウィリアム王子に抱きしめられたのだ。
「リーゼ・エスシャン!売春及び犯罪ほう助の罪で、お前を捕らえる。」
「で、殿下、な、何をおっしゃっておられますのでしょうか?わたしには、身に覚えがございません。」
動揺するリーゼは騎士団長の息子に後ろ手を縛り上げられている。
「貴様はこの学園内で、売春組織を作り、貴族どもの相手をさせ、抵抗した令嬢を貴様の父が他国に売り渡していたではないか?」
どうやらリーゼの父親が以前から、いろいろ犯罪に手を染めていたが、証拠がなかなかつかめない。そこへリーゼが編入してきて、おだて挙げて証拠をつかみ子爵の犯罪が明らかになる。
「キャサリン、すまなかった君を巻き込むつもりはなかったが、苦しめてしまった。犯罪を暴くためとは言いながら、愛するキャサリンを苦しめることは辛かった。許してほしい。」
「許しません。触らないで。」
殿下の手を振りほどく。
「キャサリン!」
「わたくし、隠し事をされることと、こういう人を傷つけ騙す、ということが大嫌いですの。殿下、今までありがとうございました。わたくしとの婚約はなかったことにしてくださいませ。」
百年の恋も一瞬で冷めたわ。
キャサリンは、くるりと身をひるがえし走って馬車に飛び乗った。
家へ帰り、家族に泣きながら卒業パーティでのことを話す。
家族は皆、キャサリンの言い分を理解して慰めてくれる。家族とはいいものね。
父もパーティでの出来事を知って、慌てて帰ってきてくれた。
わたくしは、泣きながら殿下と婚約解消したいことを伝える。
最終的に、父は折れてくれた。
殿下は、その後、何度も手紙をくれたり贈り物をしたり、直接訪ねてきてくれたが、どれも取り合わず、帰ってもらう。
キャサリンは、領地へいったん戻った。ウィリアムはそれでも諦めずにキャサリンの領地まで追いかけてきたが、取り合わないのは、言うに及ばないこと。
キャサリンは、その後、隣国の皇太子と見合い結婚した。
結末を悩みました。
ご意見、ご感想お待ちしております。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「公爵令嬢キャサリン、貴様との婚約は本日をもって破棄する。」
第1王子のウィリアムから高らかに宣言される。ウィリアムの横には庇護欲をそそられる子爵令嬢のリーゼがもたれかかっていて、勝ち誇ったような微笑みを浮かべている。
キャサリンは、5歳の時、高熱を出し、3日間寝込んだ後、前世の記憶を思い出した。
学園に通うようになり、2年生の時にヒロインが転校し、王子と仲良くするのに腹を立て、虐めて、断罪され、処刑される。という記憶を思い出したのだ。
それからなるべく王子とかかわりを持ちたくないのに、親同士の話で5歳の時、婚約する。
5歳の時からだから、今まででちょうど10年、お妃教育は辛過ぎる。
ウィリアム王子は、優しくしてくれるけど、前世の記憶があるから別に好き、というほどでもない。政略結婚だから仕方ないのかもしれない。
学園に入学してから1年が過ぎ2年生になった頃、某子爵の隠し子として育てられてきたリーゼ嬢が編入してきた。
リーゼ嬢は、天真爛漫な性格と庇護欲をそそる可愛い容姿、騎士団長の息子や神官長の息子と仲良くしていく。そのリーゼ嬢の取り巻きの中にウィリアム王子の姿を見つけることができるまで時間は要しない。
「ああ、やっぱり。」キャサリンは、絶望する。
なるべくリーゼ嬢と近寄らないようにしよう。それを心掛ける。
前世の記憶と違って、わたくしとウィリアム王子の仲は悪くなかった。学園の外でも中でもウィリアムと一緒にいた。殿下はいつもわたくしに優しい。
それなのに、いつの間にかキャサリンがリーゼを虐めていて、ウィリアムと仲が悪いとのうわさが独り歩きして。
極力リーゼを避けてきたのに、やはりあとはギロチンが待つのみか…。
辛い空気の中で迎えた卒業パーティがとうとう来る。
一人さみしく会場に向かったわたくしを待っていたのは、リーゼ嬢と殿下をはじめとする取り巻き連中だ。
「この中にウソをついていたものがいる!」と殿下が口火を切る。
(うそ!何もしていない)心の中でキャサリンは叫んだ。
「これから、その者の罪を明らかにし、処罰する。」
殿下の声が響き渡る。
(やっぱり、ギロチンか…。何もしていないのに…。)
辛くて、苦しくて、その時、わたくしの肩に何かが触れた。
ウィリアム王子に抱きしめられたのだ。
「リーゼ・エスシャン!売春及び犯罪ほう助の罪で、お前を捕らえる。」
「で、殿下、な、何をおっしゃっておられますのでしょうか?わたしには、身に覚えがございません。」
動揺するリーゼは騎士団長の息子に後ろ手を縛り上げられている。
「貴様はこの学園内で、売春組織を作り、貴族どもの相手をさせ、抵抗した令嬢を貴様の父が他国に売り渡していたではないか?」
どうやらリーゼの父親が以前から、いろいろ犯罪に手を染めていたが、証拠がなかなかつかめない。そこへリーゼが編入してきて、おだて挙げて証拠をつかみ子爵の犯罪が明らかになる。
「キャサリン、すまなかった君を巻き込むつもりはなかったが、苦しめてしまった。犯罪を暴くためとは言いながら、愛するキャサリンを苦しめることは辛かった。許してほしい。」
「許しません。触らないで。」
殿下の手を振りほどく。
「キャサリン!」
「わたくし、隠し事をされることと、こういう人を傷つけ騙す、ということが大嫌いですの。殿下、今までありがとうございました。わたくしとの婚約はなかったことにしてくださいませ。」
百年の恋も一瞬で冷めたわ。
キャサリンは、くるりと身をひるがえし走って馬車に飛び乗った。
家へ帰り、家族に泣きながら卒業パーティでのことを話す。
家族は皆、キャサリンの言い分を理解して慰めてくれる。家族とはいいものね。
父もパーティでの出来事を知って、慌てて帰ってきてくれた。
わたくしは、泣きながら殿下と婚約解消したいことを伝える。
最終的に、父は折れてくれた。
殿下は、その後、何度も手紙をくれたり贈り物をしたり、直接訪ねてきてくれたが、どれも取り合わず、帰ってもらう。
キャサリンは、領地へいったん戻った。ウィリアムはそれでも諦めずにキャサリンの領地まで追いかけてきたが、取り合わないのは、言うに及ばないこと。
キャサリンは、その後、隣国の皇太子と見合い結婚した。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2,390
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる