姉の持ち物はすべて妹のもの。それなのに、玉の輿!? 旦那様を渡しなさいよ!

青の雀

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恋心

本日3度目の更新、がんばって書きました。
今回は長いです。

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 「今日この日をもって私、アーノルド・フォードと公爵令嬢アメリア・コスナーの婚約は破棄させてもらいたい!君は、我が愛するリリアーヌを虐めていただろう。将来の国母となるリリアーヌ嬢を虐めたのだから、死刑に処する。」

 10歳の時に高熱を出し、前世の記憶を思い出してしまった。
 わたくし、アメリアは、5歳の時、お美しいアーノルド王子に一目惚れをしました。王子は、キラキラと輝いていらっしゃってでも、いつも退屈そうにしていらっしゃったわ。

 「将来は、アーノルド王子様と結婚したい。」と言って、周囲を唖然とさせたが、政略的にその戯れ言は、都合が良かったのだろう。すぐさま、本当にアーノルド殿下と婚約してしまいました。それから、ずっと王子様のことが好きで、好きで、「愛しています。」と呟いても囁いても、王子様は、わたくしを見てくださることが一度もなかった。

 アーノルド殿下は、義務として「愛しています。」とは、仰ってくださいますが、それがあくまで義務だということをわたくしは、気づいています。

 そして、10歳になって、わたくしはアーノルド殿下に対する恋心にふたをしました。
 どんなに好きでも、やがて学園にリリアーヌが来たら、わたくしの婚約者は、そちらに乗り換えてしまわれる。それなら、いっそ恋心にふたをして、忘れてしまったほうがよほど楽かわからない。忘れなければ、死刑が待っているのです。
 こうして、わたくしは10歳の時にアーノルド殿下との恋に悲しい終止符を打ったのです。
 恋に恋していただけなのよ。そう言って自分に納得させる。

 学園に入学するころ。
 前世の記憶通り、栗色の長い髪をしたリリアーヌ嬢がいます。
 わたくしは、なるだけリリアーヌ嬢とかかわりのないところで学園生活を送るようにします。

 もちろんアーノルド殿下にも一切近づかず、ただ、名前だけの婚約者になりました。

 中庭の大きな木の下で、リリアーヌ嬢がわたくしの婚約者の横で、手作りのお弁当を広げていらっしゃる。

 「殿下のお口に合いますでしょうかしら?」穏やかに微笑んでいる。

 それを苦々しく見ていたら、「アメリア様!」と声をかけられてしまいました。

 心配そうにこちらを見つめるわたくしのお友達に、背筋を伸ばして

 「どうかなさいまして?」と口を開く

 「いつまで、あの女のことを許しているのですか?」

 「さて、なんのことかしら。わたくしには、関係ございませんもの。それに、いつものことですから。」

 何事もないように今日も演じる。

 そう、明日には、婚約を破棄され死刑になることがもう決まっている。
 いまさら、どうあがいても覆らない。

 定刻を過ぎてもアーノルド殿下は迎えに来ない。仕方なく自分一人で学園の卒業パーティの扉を開けた。

 「おひとりですか?」
 「アメリア様よ。」
 「王子はどうした?」

 注目をただひたすら浴びるわたくしは、壁の花となる。

 「アメリア!」

 ああ、ついに断罪劇が始まるのね。でも、どこを探してもリリアーヌ嬢の姿はない。

 「お久しぶりです。アーノルド様。」

 「なぜ、ここに一人でいるんだ。」

「は?」

 目の前にいる王子は、わたくしの手を引いて、バルコニーまで連れてこられる。

 「アーノルド様、いかがされましたか?」

 「なぜ、迎えに行ったのに、家で待っていなかったの。」

 「定刻になりましたので、こちらに来ましたわ。」

 「それは、…すまなかった。いろいろ用事があって、遅れてしまった。だが、婚約者の居る未婚の女性が、一人で会場に入ることの意味を君は誰よりも知っているはず。」

 パートナーがいるのに、パートナーと来ないのは、よからぬ噂がたってもしかたないこと。

 「リリアーヌ嬢と来られるとばかり、思っておりました。」

 「君までも!彼女と私の仲を疑っているのか?婚約者である君までも?」

 「疑うも何もありませんわ。」

 「…なら、どうして、彼女の名前がここで出る?君は私の婚約者でここに一緒に来るのが当然だろ、私と一緒にいるのが自然だろ。なのになぜ一番に彼女の名前が出る?」

 王子は、いまさら何を言っているの?わたくしはもう、死を覚悟しています。

 「アメリア!私の話を聞いているのか?」

 「ええ。もちろんです。いくらリリアーヌ嬢と結ばれるためであろうと婚約者を蔑ろにしたという噂はよろしくありませんものね。いつ婚約破棄の書類をいただけるのでしょうか?」

 「いつ、私が婚約破棄するなどと言った?」

 アーノルド様が怒りを堪えるようなしぐさをなさって、わたくしは思わずたじろぐ。

 「俺は君を愛している。」

 はいはい。そう来ましたか、また、いつもの義務ですね。クスクスと笑いながら、王子の目を見て

 「だって、あなた、本当はわたくしのことを愛してないでしょう?」

 婚約破棄されるよりも、この状況でウソをつかれるほうがよっぽど堪える。

 「どうして?」

 「殿下はいつもわたくしのほうへ向いておりませんでしたわ。わたくしの後ろに政略的なものを感じられたからですか?それでも律義に、いつだってわたくしの愛に応じてくださったわ。義務的に、おざなりに。そんな時、リリアーヌ嬢が優しく可愛らしく、いらっしゃったのですから落ちてしまったとしても、誰が咎めることなどできましょうか?だって、自分の気持ちなんて、コントロールできませんもの。」

 「いつからか、君は俺を見なくなった。それまではひたすら俺だけを見ていてくれた。まるで、何かに追われるように怯えて、取ってつけたように愛していると言ってくれるが、いつから俺に興味がなくなったのだ。俺が君を見ていないことに気づいたから興味がなくなったのか。」

 「いいえ、違いますわ。わたくしは殿下への恋心を捨てたのです。」

 「好きだ。愛が伝わらないのなら、好意を伝えよう。俺はアメリア・コスナーのことが好きだ。君が俺を見なくなってから、君が好きな自分に気づいた。どれほど思いを伝えても君は俺のことを見てくれない。」

 「では、リリアーヌ嬢のことは?」

 「俺にもわからないが、狂気だ。ある日突然現れて、君と俺が不仲で君の愛が俺の重荷になっていると勝手に思い込んで、君の悪口を言い、君に何をしでかすかわからない状況になった。適当に合わせていたが、俺以外にも被害にあった奴がいたから、今日までの間にあの女のことを報告書にして、王子である俺への不敬罪を立証して、ようやくあの女を引きはがすことに成功した。もう二度とあの女は、俺の前にもアメリアの前に姿を出せなくした。」

 「それでは、もうわたくしの想いを隠さなくても?」

 「ということは、本当はずっと思い続けていてくれたと解釈してもいいのだろうか?」

 「はい。アーノルド様」

 その夜、二人は結ばれる。
 生まれて初めて、愛する人と愛を交わした。

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