19 / 150
恋心
本日3度目の更新、がんばって書きました。
今回は長いです。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「今日この日をもって私、アーノルド・フォードと公爵令嬢アメリア・コスナーの婚約は破棄させてもらいたい!君は、我が愛するリリアーヌを虐めていただろう。将来の国母となるリリアーヌ嬢を虐めたのだから、死刑に処する。」
10歳の時に高熱を出し、前世の記憶を思い出してしまった。
わたくし、アメリアは、5歳の時、お美しいアーノルド王子に一目惚れをしました。王子は、キラキラと輝いていらっしゃってでも、いつも退屈そうにしていらっしゃったわ。
「将来は、アーノルド王子様と結婚したい。」と言って、周囲を唖然とさせたが、政略的にその戯れ言は、都合が良かったのだろう。すぐさま、本当にアーノルド殿下と婚約してしまいました。それから、ずっと王子様のことが好きで、好きで、「愛しています。」と呟いても囁いても、王子様は、わたくしを見てくださることが一度もなかった。
アーノルド殿下は、義務として「愛しています。」とは、仰ってくださいますが、それがあくまで義務だということをわたくしは、気づいています。
そして、10歳になって、わたくしはアーノルド殿下に対する恋心にふたをしました。
どんなに好きでも、やがて学園にリリアーヌが来たら、わたくしの婚約者は、そちらに乗り換えてしまわれる。それなら、いっそ恋心にふたをして、忘れてしまったほうがよほど楽かわからない。忘れなければ、死刑が待っているのです。
こうして、わたくしは10歳の時にアーノルド殿下との恋に悲しい終止符を打ったのです。
恋に恋していただけなのよ。そう言って自分に納得させる。
学園に入学するころ。
前世の記憶通り、栗色の長い髪をしたリリアーヌ嬢がいます。
わたくしは、なるだけリリアーヌ嬢とかかわりのないところで学園生活を送るようにします。
もちろんアーノルド殿下にも一切近づかず、ただ、名前だけの婚約者になりました。
中庭の大きな木の下で、リリアーヌ嬢がわたくしの婚約者の横で、手作りのお弁当を広げていらっしゃる。
「殿下のお口に合いますでしょうかしら?」穏やかに微笑んでいる。
それを苦々しく見ていたら、「アメリア様!」と声をかけられてしまいました。
心配そうにこちらを見つめるわたくしのお友達に、背筋を伸ばして
「どうかなさいまして?」と口を開く
「いつまで、あの女のことを許しているのですか?」
「さて、なんのことかしら。わたくしには、関係ございませんもの。それに、いつものことですから。」
何事もないように今日も演じる。
そう、明日には、婚約を破棄され死刑になることがもう決まっている。
いまさら、どうあがいても覆らない。
定刻を過ぎてもアーノルド殿下は迎えに来ない。仕方なく自分一人で学園の卒業パーティの扉を開けた。
「おひとりですか?」
「アメリア様よ。」
「王子はどうした?」
注目をただひたすら浴びるわたくしは、壁の花となる。
「アメリア!」
ああ、ついに断罪劇が始まるのね。でも、どこを探してもリリアーヌ嬢の姿はない。
「お久しぶりです。アーノルド様。」
「なぜ、ここに一人でいるんだ。」
「は?」
目の前にいる王子は、わたくしの手を引いて、バルコニーまで連れてこられる。
「アーノルド様、いかがされましたか?」
「なぜ、迎えに行ったのに、家で待っていなかったの。」
「定刻になりましたので、こちらに来ましたわ。」
「それは、…すまなかった。いろいろ用事があって、遅れてしまった。だが、婚約者の居る未婚の女性が、一人で会場に入ることの意味を君は誰よりも知っているはず。」
パートナーがいるのに、パートナーと来ないのは、よからぬ噂がたってもしかたないこと。
「リリアーヌ嬢と来られるとばかり、思っておりました。」
「君までも!彼女と私の仲を疑っているのか?婚約者である君までも?」
「疑うも何もありませんわ。」
「…なら、どうして、彼女の名前がここで出る?君は私の婚約者でここに一緒に来るのが当然だろ、私と一緒にいるのが自然だろ。なのになぜ一番に彼女の名前が出る?」
王子は、いまさら何を言っているの?わたくしはもう、死を覚悟しています。
「アメリア!私の話を聞いているのか?」
「ええ。もちろんです。いくらリリアーヌ嬢と結ばれるためであろうと婚約者を蔑ろにしたという噂はよろしくありませんものね。いつ婚約破棄の書類をいただけるのでしょうか?」
「いつ、私が婚約破棄するなどと言った?」
アーノルド様が怒りを堪えるようなしぐさをなさって、わたくしは思わずたじろぐ。
「俺は君を愛している。」
はいはい。そう来ましたか、また、いつもの義務ですね。クスクスと笑いながら、王子の目を見て
「だって、あなた、本当はわたくしのことを愛してないでしょう?」
婚約破棄されるよりも、この状況でウソをつかれるほうがよっぽど堪える。
「どうして?」
「殿下はいつもわたくしのほうへ向いておりませんでしたわ。わたくしの後ろに政略的なものを感じられたからですか?それでも律義に、いつだってわたくしの愛に応じてくださったわ。義務的に、おざなりに。そんな時、リリアーヌ嬢が優しく可愛らしく、いらっしゃったのですから落ちてしまったとしても、誰が咎めることなどできましょうか?だって、自分の気持ちなんて、コントロールできませんもの。」
「いつからか、君は俺を見なくなった。それまではひたすら俺だけを見ていてくれた。まるで、何かに追われるように怯えて、取ってつけたように愛していると言ってくれるが、いつから俺に興味がなくなったのだ。俺が君を見ていないことに気づいたから興味がなくなったのか。」
「いいえ、違いますわ。わたくしは殿下への恋心を捨てたのです。」
「好きだ。愛が伝わらないのなら、好意を伝えよう。俺はアメリア・コスナーのことが好きだ。君が俺を見なくなってから、君が好きな自分に気づいた。どれほど思いを伝えても君は俺のことを見てくれない。」
「では、リリアーヌ嬢のことは?」
「俺にもわからないが、狂気だ。ある日突然現れて、君と俺が不仲で君の愛が俺の重荷になっていると勝手に思い込んで、君の悪口を言い、君に何をしでかすかわからない状況になった。適当に合わせていたが、俺以外にも被害にあった奴がいたから、今日までの間にあの女のことを報告書にして、王子である俺への不敬罪を立証して、ようやくあの女を引きはがすことに成功した。もう二度とあの女は、俺の前にもアメリアの前に姿を出せなくした。」
「それでは、もうわたくしの想いを隠さなくても?」
「ということは、本当はずっと思い続けていてくれたと解釈してもいいのだろうか?」
「はい。アーノルド様」
その夜、二人は結ばれる。
生まれて初めて、愛する人と愛を交わした。
今回は長いです。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「今日この日をもって私、アーノルド・フォードと公爵令嬢アメリア・コスナーの婚約は破棄させてもらいたい!君は、我が愛するリリアーヌを虐めていただろう。将来の国母となるリリアーヌ嬢を虐めたのだから、死刑に処する。」
10歳の時に高熱を出し、前世の記憶を思い出してしまった。
わたくし、アメリアは、5歳の時、お美しいアーノルド王子に一目惚れをしました。王子は、キラキラと輝いていらっしゃってでも、いつも退屈そうにしていらっしゃったわ。
「将来は、アーノルド王子様と結婚したい。」と言って、周囲を唖然とさせたが、政略的にその戯れ言は、都合が良かったのだろう。すぐさま、本当にアーノルド殿下と婚約してしまいました。それから、ずっと王子様のことが好きで、好きで、「愛しています。」と呟いても囁いても、王子様は、わたくしを見てくださることが一度もなかった。
アーノルド殿下は、義務として「愛しています。」とは、仰ってくださいますが、それがあくまで義務だということをわたくしは、気づいています。
そして、10歳になって、わたくしはアーノルド殿下に対する恋心にふたをしました。
どんなに好きでも、やがて学園にリリアーヌが来たら、わたくしの婚約者は、そちらに乗り換えてしまわれる。それなら、いっそ恋心にふたをして、忘れてしまったほうがよほど楽かわからない。忘れなければ、死刑が待っているのです。
こうして、わたくしは10歳の時にアーノルド殿下との恋に悲しい終止符を打ったのです。
恋に恋していただけなのよ。そう言って自分に納得させる。
学園に入学するころ。
前世の記憶通り、栗色の長い髪をしたリリアーヌ嬢がいます。
わたくしは、なるだけリリアーヌ嬢とかかわりのないところで学園生活を送るようにします。
もちろんアーノルド殿下にも一切近づかず、ただ、名前だけの婚約者になりました。
中庭の大きな木の下で、リリアーヌ嬢がわたくしの婚約者の横で、手作りのお弁当を広げていらっしゃる。
「殿下のお口に合いますでしょうかしら?」穏やかに微笑んでいる。
それを苦々しく見ていたら、「アメリア様!」と声をかけられてしまいました。
心配そうにこちらを見つめるわたくしのお友達に、背筋を伸ばして
「どうかなさいまして?」と口を開く
「いつまで、あの女のことを許しているのですか?」
「さて、なんのことかしら。わたくしには、関係ございませんもの。それに、いつものことですから。」
何事もないように今日も演じる。
そう、明日には、婚約を破棄され死刑になることがもう決まっている。
いまさら、どうあがいても覆らない。
定刻を過ぎてもアーノルド殿下は迎えに来ない。仕方なく自分一人で学園の卒業パーティの扉を開けた。
「おひとりですか?」
「アメリア様よ。」
「王子はどうした?」
注目をただひたすら浴びるわたくしは、壁の花となる。
「アメリア!」
ああ、ついに断罪劇が始まるのね。でも、どこを探してもリリアーヌ嬢の姿はない。
「お久しぶりです。アーノルド様。」
「なぜ、ここに一人でいるんだ。」
「は?」
目の前にいる王子は、わたくしの手を引いて、バルコニーまで連れてこられる。
「アーノルド様、いかがされましたか?」
「なぜ、迎えに行ったのに、家で待っていなかったの。」
「定刻になりましたので、こちらに来ましたわ。」
「それは、…すまなかった。いろいろ用事があって、遅れてしまった。だが、婚約者の居る未婚の女性が、一人で会場に入ることの意味を君は誰よりも知っているはず。」
パートナーがいるのに、パートナーと来ないのは、よからぬ噂がたってもしかたないこと。
「リリアーヌ嬢と来られるとばかり、思っておりました。」
「君までも!彼女と私の仲を疑っているのか?婚約者である君までも?」
「疑うも何もありませんわ。」
「…なら、どうして、彼女の名前がここで出る?君は私の婚約者でここに一緒に来るのが当然だろ、私と一緒にいるのが自然だろ。なのになぜ一番に彼女の名前が出る?」
王子は、いまさら何を言っているの?わたくしはもう、死を覚悟しています。
「アメリア!私の話を聞いているのか?」
「ええ。もちろんです。いくらリリアーヌ嬢と結ばれるためであろうと婚約者を蔑ろにしたという噂はよろしくありませんものね。いつ婚約破棄の書類をいただけるのでしょうか?」
「いつ、私が婚約破棄するなどと言った?」
アーノルド様が怒りを堪えるようなしぐさをなさって、わたくしは思わずたじろぐ。
「俺は君を愛している。」
はいはい。そう来ましたか、また、いつもの義務ですね。クスクスと笑いながら、王子の目を見て
「だって、あなた、本当はわたくしのことを愛してないでしょう?」
婚約破棄されるよりも、この状況でウソをつかれるほうがよっぽど堪える。
「どうして?」
「殿下はいつもわたくしのほうへ向いておりませんでしたわ。わたくしの後ろに政略的なものを感じられたからですか?それでも律義に、いつだってわたくしの愛に応じてくださったわ。義務的に、おざなりに。そんな時、リリアーヌ嬢が優しく可愛らしく、いらっしゃったのですから落ちてしまったとしても、誰が咎めることなどできましょうか?だって、自分の気持ちなんて、コントロールできませんもの。」
「いつからか、君は俺を見なくなった。それまではひたすら俺だけを見ていてくれた。まるで、何かに追われるように怯えて、取ってつけたように愛していると言ってくれるが、いつから俺に興味がなくなったのだ。俺が君を見ていないことに気づいたから興味がなくなったのか。」
「いいえ、違いますわ。わたくしは殿下への恋心を捨てたのです。」
「好きだ。愛が伝わらないのなら、好意を伝えよう。俺はアメリア・コスナーのことが好きだ。君が俺を見なくなってから、君が好きな自分に気づいた。どれほど思いを伝えても君は俺のことを見てくれない。」
「では、リリアーヌ嬢のことは?」
「俺にもわからないが、狂気だ。ある日突然現れて、君と俺が不仲で君の愛が俺の重荷になっていると勝手に思い込んで、君の悪口を言い、君に何をしでかすかわからない状況になった。適当に合わせていたが、俺以外にも被害にあった奴がいたから、今日までの間にあの女のことを報告書にして、王子である俺への不敬罪を立証して、ようやくあの女を引きはがすことに成功した。もう二度とあの女は、俺の前にもアメリアの前に姿を出せなくした。」
「それでは、もうわたくしの想いを隠さなくても?」
「ということは、本当はずっと思い続けていてくれたと解釈してもいいのだろうか?」
「はい。アーノルド様」
その夜、二人は結ばれる。
生まれて初めて、愛する人と愛を交わした。
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています
もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。
ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。
庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。
全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。
なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。