71 / 150
姉を辞めます
しおりを挟む
王宮の舞踏会にて、婚約者である筆頭公爵令息のエドワール・サルトルにエスコートもしてもらえない。
「公爵令嬢エルメスティーヌ・エラノール、貴様とは、今日をもって婚約破棄することを宣言する。」
エドワール様の腕には、妹のリリアーヌがぶら下がっている。そういうことか!すべてを察した。
妹は、わたくしのものをなんでも欲しがる、ドレスでもアクセサリーでも、宝石でも今度は婚約者を欲しがったのか、さもありなんと目を伏せたが、一応、理由を聞いてみた。
「なぜでございますか?」
「貴様は妹のリリアーヌを虐めていたそうだな、そんな性悪女とは、ごめんだ。悪いが、婚約を破棄させてもらおう。」
ほう、わたくしの代わりにリリアーヌを所望されなかったのね。それでは、リリアーヌからは、もう用済みとして捨てられるだけね。
「いじめなどしておりませんが、婚約破棄の件、謹んでお受けいたしますわ。では、ごめんあそばせ。」
カーテシーをして、優雅に立ち去る。
「お姉さま!次は、どなたと婚約されますの?わたくし、またご相談に乗っていただきたいことがございますの!」と言いながら、エドワール様の腕からするりと抜け、追いかけてこようとした。
おそらくだが、リリアーヌは、行儀が悪い。それをサルトル家の侍女たちから叱責を受けたのであろう。エルメスティーヌの次の婚約者に、そのことを相談したいのだ。
「もう、あなたの姉は、今日限りで辞めます。そして、家も出ます。さようなら。」
「ええっ!ごめんなさい!もう、お姉さまのものは欲しがりませんから、……嘘もつきませんし……。なんなら、エドワール様もお返しします。ですから……。」
エドワール様は、リリアーヌの今の発言を聞いて、騙されていたことがわかりショックを受けている。
周りにいた貴族たちから失笑が漏れている。リリアーヌの「姉のものはなんでも欲しがる」は、かなり有名な話である。婚約破棄のたびに違約金と賠償金を支払わされているのだから。
「ダメです。あなたはいつもそう言うけど、今までで何度目ですか?もう100回以上はいつも反省しているフリをする。もう、わたくしも我慢の限界です。あなたにこれ以上、付き合ってられません。失礼。」
「いやぁぁぁぁぁぁ~待ってぇぇぇぇぇぇ~お姉さまぁぁぁぁぁ~!」
最後はいつも泣き落としだ。でも、今夜は振り返らず、まっすぐ馬車に乗った。馬車の中にはいつでも、この国から出られるようにスーツケースを入れている。
エルメスティーヌは、そのまま国境に向かい馬車を走らせた。
舞踏会は、リリアーヌの泣き声で、まだ喧噪中である。エドワール様がリリアーヌに詰め寄り、「今の話はなんだ?」と怒鳴って、さらに、リリアーヌが泣く。という騒ぎになって、それをほかの貴族が「有名な話だよ」と宥めている。
そこへ、王太子フェリクス殿下が登場されて、話の顛末を聞くと
「それでエルメスティーヌは?」
「公爵邸に帰ったんじゃないか?」
「家を出る、…とか言っていなかった?」
「さようなら、と言っていた。」
まちまちの話で、業を煮やしたフェリクス王太子は、馬でエルメスティーヌの馬車を追いかけた。国境付近で、ようやく馬車に追いついたフェリクス王太子は、馬車の扉を強引に開けて、中にいるエルメスティーヌを引っ張り出して、片膝をつき
「エルメスティーヌ嬢、あなたを愛しています。どうか隣国へ行かないで、一生、私の側にいてください。」
「無理です。また、妹がフェリクス殿下を欲しがります。」
「もし、そんなことをしたら牢にぶち込むさ。」笑って、エルメスティーヌをお姫様抱っこした。
「きゃっ」と悲鳴を上げて、フェリクスに抱きつくエルメスティーヌ、そのまま馬車の中に優しく降ろし、キスをした。
二人して、王城に戻った時、まだ揉めていた。今度は、サルトル家がエラノール家に対して違約金を支払うか、エラノール家が逆に支払うべきかということで。
結局、リリアーヌがまたフェリクスを欲しがって、牢屋に入れられ、エラノール家は勘当。サルトル家は違約金を支払わない代わりに、エドワールを廃嫡。
フェリクスとエルメスティーヌはめでたく結婚し、幸せになりました。
「公爵令嬢エルメスティーヌ・エラノール、貴様とは、今日をもって婚約破棄することを宣言する。」
エドワール様の腕には、妹のリリアーヌがぶら下がっている。そういうことか!すべてを察した。
妹は、わたくしのものをなんでも欲しがる、ドレスでもアクセサリーでも、宝石でも今度は婚約者を欲しがったのか、さもありなんと目を伏せたが、一応、理由を聞いてみた。
「なぜでございますか?」
「貴様は妹のリリアーヌを虐めていたそうだな、そんな性悪女とは、ごめんだ。悪いが、婚約を破棄させてもらおう。」
ほう、わたくしの代わりにリリアーヌを所望されなかったのね。それでは、リリアーヌからは、もう用済みとして捨てられるだけね。
「いじめなどしておりませんが、婚約破棄の件、謹んでお受けいたしますわ。では、ごめんあそばせ。」
カーテシーをして、優雅に立ち去る。
「お姉さま!次は、どなたと婚約されますの?わたくし、またご相談に乗っていただきたいことがございますの!」と言いながら、エドワール様の腕からするりと抜け、追いかけてこようとした。
おそらくだが、リリアーヌは、行儀が悪い。それをサルトル家の侍女たちから叱責を受けたのであろう。エルメスティーヌの次の婚約者に、そのことを相談したいのだ。
「もう、あなたの姉は、今日限りで辞めます。そして、家も出ます。さようなら。」
「ええっ!ごめんなさい!もう、お姉さまのものは欲しがりませんから、……嘘もつきませんし……。なんなら、エドワール様もお返しします。ですから……。」
エドワール様は、リリアーヌの今の発言を聞いて、騙されていたことがわかりショックを受けている。
周りにいた貴族たちから失笑が漏れている。リリアーヌの「姉のものはなんでも欲しがる」は、かなり有名な話である。婚約破棄のたびに違約金と賠償金を支払わされているのだから。
「ダメです。あなたはいつもそう言うけど、今までで何度目ですか?もう100回以上はいつも反省しているフリをする。もう、わたくしも我慢の限界です。あなたにこれ以上、付き合ってられません。失礼。」
「いやぁぁぁぁぁぁ~待ってぇぇぇぇぇぇ~お姉さまぁぁぁぁぁ~!」
最後はいつも泣き落としだ。でも、今夜は振り返らず、まっすぐ馬車に乗った。馬車の中にはいつでも、この国から出られるようにスーツケースを入れている。
エルメスティーヌは、そのまま国境に向かい馬車を走らせた。
舞踏会は、リリアーヌの泣き声で、まだ喧噪中である。エドワール様がリリアーヌに詰め寄り、「今の話はなんだ?」と怒鳴って、さらに、リリアーヌが泣く。という騒ぎになって、それをほかの貴族が「有名な話だよ」と宥めている。
そこへ、王太子フェリクス殿下が登場されて、話の顛末を聞くと
「それでエルメスティーヌは?」
「公爵邸に帰ったんじゃないか?」
「家を出る、…とか言っていなかった?」
「さようなら、と言っていた。」
まちまちの話で、業を煮やしたフェリクス王太子は、馬でエルメスティーヌの馬車を追いかけた。国境付近で、ようやく馬車に追いついたフェリクス王太子は、馬車の扉を強引に開けて、中にいるエルメスティーヌを引っ張り出して、片膝をつき
「エルメスティーヌ嬢、あなたを愛しています。どうか隣国へ行かないで、一生、私の側にいてください。」
「無理です。また、妹がフェリクス殿下を欲しがります。」
「もし、そんなことをしたら牢にぶち込むさ。」笑って、エルメスティーヌをお姫様抱っこした。
「きゃっ」と悲鳴を上げて、フェリクスに抱きつくエルメスティーヌ、そのまま馬車の中に優しく降ろし、キスをした。
二人して、王城に戻った時、まだ揉めていた。今度は、サルトル家がエラノール家に対して違約金を支払うか、エラノール家が逆に支払うべきかということで。
結局、リリアーヌがまたフェリクスを欲しがって、牢屋に入れられ、エラノール家は勘当。サルトル家は違約金を支払わない代わりに、エドワールを廃嫡。
フェリクスとエルメスティーヌはめでたく結婚し、幸せになりました。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2,390
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる