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溺愛
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「このたび、聖女マリアンヌと婚約破棄するものとし、国外追放する。」
「理由は何でございましょうか?」
「実はな、そのほうが偽聖女だと申す者が現れてな。もちろん私は、君を信じている。でも派閥争いになっても困るから、一度、国外へ出てみてよ。収まったら呼び寄せるからさ。」
ということでマリアンヌは、荷物をまとめて国外から出た途端、結界が消えた。魔物の大群が押し寄せ、あっという間に王国は壊滅状態になった。
聖女は、結界を維持するだけでなく国民に癒しを与えていて、傷ついたものがいれば、無償で治癒魔法を使って、治していたのだ。人々からの信頼・人気は高く、それに嫉妬した令嬢から、冤罪を吹っかけられ、国外追放になったのだ。
それで魔物が蔓延り、民衆は蜂起して、もう国王陛下の首を取れ、の騒ぎになっている。
国王以下、王太子も貴族もとっくの昔に国を脱出している、王都も王宮があった場所も略奪が横行し、荒れ果てている。
聖女様はいずこへ。一人残った王族は、自分たちが追放してことも忘れ、探し回っている。聖女様さえ見つかれば、この国を立て直すことができると信じている。
その頃、マリアンヌはというと、遠く離れた国で、また聖女の活動をしていた。だって、仕方ないよね。聖女の仕事しかできることがないから。
パン屋で働きたいと思っても、パン屋では聖女の仕事はない。洋服屋で働きたいと願っても洋服屋には、聖女の仕事はない。
ということで、今日も変わらず、教会でけが人や病人のお世話に明け暮れている。
そんなある日、また、この国のアラミス王太子殿下がやってきて、マリアンヌと婚約したいと申し出があったけど。断ったわ。不敬だとかも言われたけど、マジでごめんだわ。変な派閥争いや政争の道具にされるのは、まっぴらごめんですもの。
マリアンヌは、庶民のためだけに、聖女の力を遣いたいと願っているから。
そんな時、この国の国境付近で魔物の大群が押し寄せた。結界張っていなかったのよね。
あの国から、逃げ出すだけでいっぱいいっぱいで。
仕方なく、国境まで行ったわよ。そしたら、例のアラミス様だったか?懸命に戦っていらっしゃって、そのお姿に胸キュンしちゃったのよ。それはそれ、これはこれとして、聖女としてできるお仕事を頑張りますです。
それで、国境に結界を張り巡らし、今いる魔物を残滅させ、王都に戻ろうとしたところ、また、例のかっこいい王太子様が、マリアンヌの足元に跪いて、「どうか、私の妻に。」と懇願されちゃったのよ。
で、めんどくさくなっちゃって、承諾してしまい、すぐさま王宮で暮らすことになりました。アラミス様は、前のバカと違って、一日中側から離れてくださらないの。至れり尽くせりで、恥ずかしくて言えないようなことまでしてくださるので。もう💛♡💛ですわ。
これが溺愛というものかしらね。
「理由は何でございましょうか?」
「実はな、そのほうが偽聖女だと申す者が現れてな。もちろん私は、君を信じている。でも派閥争いになっても困るから、一度、国外へ出てみてよ。収まったら呼び寄せるからさ。」
ということでマリアンヌは、荷物をまとめて国外から出た途端、結界が消えた。魔物の大群が押し寄せ、あっという間に王国は壊滅状態になった。
聖女は、結界を維持するだけでなく国民に癒しを与えていて、傷ついたものがいれば、無償で治癒魔法を使って、治していたのだ。人々からの信頼・人気は高く、それに嫉妬した令嬢から、冤罪を吹っかけられ、国外追放になったのだ。
それで魔物が蔓延り、民衆は蜂起して、もう国王陛下の首を取れ、の騒ぎになっている。
国王以下、王太子も貴族もとっくの昔に国を脱出している、王都も王宮があった場所も略奪が横行し、荒れ果てている。
聖女様はいずこへ。一人残った王族は、自分たちが追放してことも忘れ、探し回っている。聖女様さえ見つかれば、この国を立て直すことができると信じている。
その頃、マリアンヌはというと、遠く離れた国で、また聖女の活動をしていた。だって、仕方ないよね。聖女の仕事しかできることがないから。
パン屋で働きたいと思っても、パン屋では聖女の仕事はない。洋服屋で働きたいと願っても洋服屋には、聖女の仕事はない。
ということで、今日も変わらず、教会でけが人や病人のお世話に明け暮れている。
そんなある日、また、この国のアラミス王太子殿下がやってきて、マリアンヌと婚約したいと申し出があったけど。断ったわ。不敬だとかも言われたけど、マジでごめんだわ。変な派閥争いや政争の道具にされるのは、まっぴらごめんですもの。
マリアンヌは、庶民のためだけに、聖女の力を遣いたいと願っているから。
そんな時、この国の国境付近で魔物の大群が押し寄せた。結界張っていなかったのよね。
あの国から、逃げ出すだけでいっぱいいっぱいで。
仕方なく、国境まで行ったわよ。そしたら、例のアラミス様だったか?懸命に戦っていらっしゃって、そのお姿に胸キュンしちゃったのよ。それはそれ、これはこれとして、聖女としてできるお仕事を頑張りますです。
それで、国境に結界を張り巡らし、今いる魔物を残滅させ、王都に戻ろうとしたところ、また、例のかっこいい王太子様が、マリアンヌの足元に跪いて、「どうか、私の妻に。」と懇願されちゃったのよ。
で、めんどくさくなっちゃって、承諾してしまい、すぐさま王宮で暮らすことになりました。アラミス様は、前のバカと違って、一日中側から離れてくださらないの。至れり尽くせりで、恥ずかしくて言えないようなことまでしてくださるので。もう💛♡💛ですわ。
これが溺愛というものかしらね。
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