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ジャスターズ編
キューズ
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12月17日金曜日、午前2時42分。
チェイサーたちの住む、サイコスから約8000キロメートル離れた国マンタスト。
そこの首都ガンジの、ある店の地下には、クリミナルスクール1.5個分の広さを誇る、キューズの本部があった。
外界の光を遮断し、音を通さず、完全に隔絶された空間で、ある男は頭を抱えていた。
「うーんどうしよっかなー」
その名もキューズ・エクスタシー。
この組織の最高地位の人間であり、能力者社会を促進した人物の1人である。
そんなキューズは自分専用の玉座に座り、いつもの様に毎日を浪費していた。
「どうかしましたか。キューズ様」
ロン・グレイは、唯一のキューズの話し相手として、直属の部下としてその座に就いていた。
「いやね、60過ぎてから矛を収めたのはいいけどさ、やっぱりこの手で潰したいじゃん? ジャスターズ」
「そうですね。長年私たちにちょっかいをかけてきてますからね」
「そうそう、あいつなんだっけ。前来た奴」
「マット・ワ」
「それだそれ! マット。ちょっかい出すなって、クリミナルスクールに送ったのにさ。あいつらまたなんかしようとしてんじゃん」
「今はジースクエアを倒すとか言ってますね」
「はぇー、ジースクエアを。無理だろそれ」
「事実、1人犠牲者が出てます」
「はっ、馬鹿だなジャスターズも。俺たちをまともに駆除出来てねえのに、ジースクエアを潰せる訳ねえだろ」
「その通りですね」
2人が楽しく会話をしている所に、ある男が現れる。
「お呼びでしょうか。キューズ様」
「おおサザン、呼んだ呼んだ。あれどんな感じよ」
「あれ」とは、サザン・オールドの能力である、毒を利用した化学兵器の開発の事である。
キューズはその組織の巨大さから、維持するのに莫大な資産を必要とする。
そこで他国に化学兵器と称し、能力で作り出した、または能力を利用した兵器を売る事で、資金調達をしていた。
「順調です。あと2ヶ月ほどかと」
「2ヶ月か。いい感じだな。……それと、もう1つ」
キューズは立ち上がり、そこら辺を適当に歩きながら話す。
「そろそろさ、潰そうと思ってるんだよね」
潰す。その対象は言わずもがなジャスターズ。
組織として誕生したのはキューズの方が15年早く、ジャスターズが組織化されるまでの間、キューズが時代の最先端を走っていた。
しかしジャスターズの登場により、罪人は罰せられ、犯罪の未遂が多くなり、キューズは縮小。
更に10年後、クリミナルスクールがジャスターズと連携し、罪人が善人へと変わる仕組みが出来た。
その事により、キューズは一時代を築いた組織として有名だが、共に勢力が弱まっている組織としても位置付けられている。
「まだ早いと存じますが」
「確かにうちは10代20代が多いよ。若者はやる気に満ち溢れてるからね。けどさ、そんなの待ってたら俺が保たないんだよね」
キューズの団員はまだ未熟な10代や、やや常識を持っている20代が殆ど。
キューズが待っていると言うのは、能力者の全盛期である35歳の事である。
それら団員が35歳を迎えるには早くても15年。
今年87歳を迎えるキューズにとって、それは不可能に近いものであった。
「私は実行して宜しいかと」
「ロン!」
「待て待て、落ち着けって。理由はあるんだろ? ただの肯定野郎なら殺すけどな」
「理由は2つあります。1つはキューズの持続性についてです。様々な工夫をし、必要最低限の犯罪を犯さずに維持しているとはいえ、年々衰えを感じているのはキューズ様も同じと思います」
「まあな。それは言えてる」
「つまり、判断を引き延ばせば引き延ばす程に、キューズの組織力は弱まっていくのです。逆に言うならば、キューズは常に最高の状態を維持しているとも言えます」
「なるほどなぁ。もう1つは」
「その全盛期についてです。いくら10代20代が多いとは言え、能力レベルは下の下の下。それが全盛期になったとしても、下の下程度にしかなり得ないと思います。それなら今信頼出来る、最高の戦力を使った方が得策だと、私は考えます」
「た、確かに」
「やっぱり頭いいなロン。そうだよな、考えるだけ無駄だよな。よし、準備しよう」
「はっ。どの様に致しましょうか」
その決定に、サザンが答える。
「とりあえず、雑魚は適当にそっちで使っていいよ。そうだな、青兵から指揮官にするか」
「……キューズ様。1つ宜しいでしょうか」
「どうしたサザン。いいぞ」
「今すぐとなると、各地に配置している幹部たちや、それに属する部下たちを集めなくてはなりません」
「それがどうしたの」
「あちらの都合もありますし、流石に今日の今日とは……」
「どんくらい掛かるの?」
「……あと1、2年程かと」
「うーん、困ったな。じゃあ半月で」
「えっ」
「聞こえなかった? 半月ね。それ出来なかったら、お前の首飛ぶから。物理的に」
「しょ、承知致しました。し、失礼します」
サザンは下がり、再びいつもの2人になる。
「実際半月ってきついの?」
「はい。かなりかと」
「ははは。じゃああいつ死んだな」
「キューズ様がお声を掛ければ、1日とかからず集まりますのに」
「それじゃあつまらないだろ?」
「それもそうですね」
後およそ半月で、キューズとジャスターズの全面戦争が始まる。
そんな事を知る由もなく、ジャスターズに向かっているチェイサーたちは今何を思っているのだろうか。
友人の事、家族の事、好きな人の事、兄弟の事、様々な思考の中に、これは含まれているのだろうか。
いいや、含まれている筈がない。
キューズは慎重に、そして着々とジャスターズを潰そうとしている。
それをチェイサーたちは止める事が出来るのか。
それはその時そこに存在している、誰かにしか知り得ない事である。
キューズ(指定要注意能力者団体)
1954年に誕生した、犯罪を主とする能力者の集まりである。1番上の地位にいるのは、名前の通りキューズであり、上から順に最高幹部、幹部、準幹部、紫兵、青兵、赤兵、黄兵、白兵、黒兵である。
チェイサーたちの住む、サイコスから約8000キロメートル離れた国マンタスト。
そこの首都ガンジの、ある店の地下には、クリミナルスクール1.5個分の広さを誇る、キューズの本部があった。
外界の光を遮断し、音を通さず、完全に隔絶された空間で、ある男は頭を抱えていた。
「うーんどうしよっかなー」
その名もキューズ・エクスタシー。
この組織の最高地位の人間であり、能力者社会を促進した人物の1人である。
そんなキューズは自分専用の玉座に座り、いつもの様に毎日を浪費していた。
「どうかしましたか。キューズ様」
ロン・グレイは、唯一のキューズの話し相手として、直属の部下としてその座に就いていた。
「いやね、60過ぎてから矛を収めたのはいいけどさ、やっぱりこの手で潰したいじゃん? ジャスターズ」
「そうですね。長年私たちにちょっかいをかけてきてますからね」
「そうそう、あいつなんだっけ。前来た奴」
「マット・ワ」
「それだそれ! マット。ちょっかい出すなって、クリミナルスクールに送ったのにさ。あいつらまたなんかしようとしてんじゃん」
「今はジースクエアを倒すとか言ってますね」
「はぇー、ジースクエアを。無理だろそれ」
「事実、1人犠牲者が出てます」
「はっ、馬鹿だなジャスターズも。俺たちをまともに駆除出来てねえのに、ジースクエアを潰せる訳ねえだろ」
「その通りですね」
2人が楽しく会話をしている所に、ある男が現れる。
「お呼びでしょうか。キューズ様」
「おおサザン、呼んだ呼んだ。あれどんな感じよ」
「あれ」とは、サザン・オールドの能力である、毒を利用した化学兵器の開発の事である。
キューズはその組織の巨大さから、維持するのに莫大な資産を必要とする。
そこで他国に化学兵器と称し、能力で作り出した、または能力を利用した兵器を売る事で、資金調達をしていた。
「順調です。あと2ヶ月ほどかと」
「2ヶ月か。いい感じだな。……それと、もう1つ」
キューズは立ち上がり、そこら辺を適当に歩きながら話す。
「そろそろさ、潰そうと思ってるんだよね」
潰す。その対象は言わずもがなジャスターズ。
組織として誕生したのはキューズの方が15年早く、ジャスターズが組織化されるまでの間、キューズが時代の最先端を走っていた。
しかしジャスターズの登場により、罪人は罰せられ、犯罪の未遂が多くなり、キューズは縮小。
更に10年後、クリミナルスクールがジャスターズと連携し、罪人が善人へと変わる仕組みが出来た。
その事により、キューズは一時代を築いた組織として有名だが、共に勢力が弱まっている組織としても位置付けられている。
「まだ早いと存じますが」
「確かにうちは10代20代が多いよ。若者はやる気に満ち溢れてるからね。けどさ、そんなの待ってたら俺が保たないんだよね」
キューズの団員はまだ未熟な10代や、やや常識を持っている20代が殆ど。
キューズが待っていると言うのは、能力者の全盛期である35歳の事である。
それら団員が35歳を迎えるには早くても15年。
今年87歳を迎えるキューズにとって、それは不可能に近いものであった。
「私は実行して宜しいかと」
「ロン!」
「待て待て、落ち着けって。理由はあるんだろ? ただの肯定野郎なら殺すけどな」
「理由は2つあります。1つはキューズの持続性についてです。様々な工夫をし、必要最低限の犯罪を犯さずに維持しているとはいえ、年々衰えを感じているのはキューズ様も同じと思います」
「まあな。それは言えてる」
「つまり、判断を引き延ばせば引き延ばす程に、キューズの組織力は弱まっていくのです。逆に言うならば、キューズは常に最高の状態を維持しているとも言えます」
「なるほどなぁ。もう1つは」
「その全盛期についてです。いくら10代20代が多いとは言え、能力レベルは下の下の下。それが全盛期になったとしても、下の下程度にしかなり得ないと思います。それなら今信頼出来る、最高の戦力を使った方が得策だと、私は考えます」
「た、確かに」
「やっぱり頭いいなロン。そうだよな、考えるだけ無駄だよな。よし、準備しよう」
「はっ。どの様に致しましょうか」
その決定に、サザンが答える。
「とりあえず、雑魚は適当にそっちで使っていいよ。そうだな、青兵から指揮官にするか」
「……キューズ様。1つ宜しいでしょうか」
「どうしたサザン。いいぞ」
「今すぐとなると、各地に配置している幹部たちや、それに属する部下たちを集めなくてはなりません」
「それがどうしたの」
「あちらの都合もありますし、流石に今日の今日とは……」
「どんくらい掛かるの?」
「……あと1、2年程かと」
「うーん、困ったな。じゃあ半月で」
「えっ」
「聞こえなかった? 半月ね。それ出来なかったら、お前の首飛ぶから。物理的に」
「しょ、承知致しました。し、失礼します」
サザンは下がり、再びいつもの2人になる。
「実際半月ってきついの?」
「はい。かなりかと」
「ははは。じゃああいつ死んだな」
「キューズ様がお声を掛ければ、1日とかからず集まりますのに」
「それじゃあつまらないだろ?」
「それもそうですね」
後およそ半月で、キューズとジャスターズの全面戦争が始まる。
そんな事を知る由もなく、ジャスターズに向かっているチェイサーたちは今何を思っているのだろうか。
友人の事、家族の事、好きな人の事、兄弟の事、様々な思考の中に、これは含まれているのだろうか。
いいや、含まれている筈がない。
キューズは慎重に、そして着々とジャスターズを潰そうとしている。
それをチェイサーたちは止める事が出来るのか。
それはその時そこに存在している、誰かにしか知り得ない事である。
キューズ(指定要注意能力者団体)
1954年に誕生した、犯罪を主とする能力者の集まりである。1番上の地位にいるのは、名前の通りキューズであり、上から順に最高幹部、幹部、準幹部、紫兵、青兵、赤兵、黄兵、白兵、黒兵である。
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