私が出会った団塊世代

バクッシー覚悟

文字の大きさ
2 / 7
否定の伯父『小野只司』

「それが目上の人に対する態度か?」

しおりを挟む
最初の『団塊』さんは,父方の兄…私からみれば伯父に当たる『小野おの只司ただし』だ。


最初に存在を認識したのは,私が年長の頃。

正月に父の実家に帰省した時,その人は居た。


第一印象は,父よりも優しそうな中年の男性にみえた。

けど,蓋を開けてみれば「兎にも角にも,自分が正しい」と「間違いを決して認めない」団塊さんだった。



小学生の頃――


「私はパパの事を名前(呼び捨て)で呼ぶよ?〇×は?」


数人の同級生の子としゃべっていると,そのうちの一人がそんな事を言い始めた。

どうしてそんな話になったか?までは覚えていないけど,それが衝撃だったのは覚えている。

とは言え,流石に父親を名前で呼べる訳もなく,私は「伯父なら笑って許してくれそう」とやってみようと思った。

そう…その話題が出た時は,タイミングが悪い事に正月を十日後に控えた頃だった。



それから十日後――


「〇×ちゃん…久しぶり♪大きくなったね?」

「伯父さん!あのね…今私のクラスの女子の間では――」


帰省先で久々に再会した伯父に,流石に何の前触れもなくやったら失礼だと思った私は,事前に説明してから「呼び捨て」していいか?確認を取ろうとした。

ただ,当時の私は「同い年の娘もいるし,大丈夫でしょ」と了承を頂けるものだと思っていた。

でも――


「最近の若い奴はなっとらん!親を呼び捨てにするなど言語道断!それが目上の人に対する態度か?」


まだ「呼び捨て」にしていいか?の本題にすら入っていないにも関わらず,伯父は世間話だけでぶちギレた。

その瞬間,私は悟った…『伯父を呼び捨てした日には〇される』と――


「うちのパパ…見た目は人が良さそうに見えるけど真性ガチの『自分正しい人間』だから気を付けて」

そんな一部始終を静観していた『いとこ』が私の耳元で告げ口し,何とか大事にならずにその場は収まった。



まぁ当時(小学生)の私は,他人が許されているなら自分も…と何処かそんな気持ちがあった。

とは言え,年齢を重ねた今思えば,確かに失礼な事をやろうとしていたのかもしれない。

ただ,上記は此方にも問題があったけど,下記は明らかにヤツ当たりだ。



それは…いとこがグレて家出したと,伯父が私の実家に転がり込んできた時の事。

当時高校生だった私は,父と伯父の会話が偶々聞こえ,母と黙って聞いていた。


「出会い系とか悪い輩とつるんでないか確認する為に携帯をみたら激怒されて――」

「洗い物は別々にしろ!とか部屋に入るな!とか…誰が稼いだお金で贅沢出来ていると思って――」


酒が進み,色々とヤバい事を暴露する伯父。

そんな伯父にツッコむ事もなく酒を注ぎ,一緒に飲む父。

母の様子を窺うと「私には関係ない」と言わんばかりに食器を洗っていた。


「俺が養ってやらなければ携帯だってなかったんだぞ!一度怪しいと思って尾行した事もあったが――」

「伯父さん!幾ら親でも,やっていい事と悪い事があるよ!〇〇ちゃんの気持ちも少しは考えて――」

「子どもが大人の話に口を挿むんじゃない!それが目上の人に対する態度か?お前(父)も躾がなっとらんぞ!」


ずっと黙って聞いていた私だったが,エスカレートしていく伯父の発言に我慢が限界に達し,間違いを訂正しようとした。

だけど,伯父は『自分は間違っていない!自分は正しい!』と聞く耳を持たず,理不尽に怒鳴られ。


その後…私は何故か父と伯父にこっぴどく叱られ,鬱憤と何とも言えない気持ちだけが溜まった。



それから,伯父はいとこと喧嘩する度に私の実家にやって来ては,父と酒を飲む事が多くなった。

伯父が事前に来ると判っている時は,母の手助けもあり,来る前に自分の部屋に閉じ籠る事が出来た。

まぁ部屋に居ても,下から大声でしゃべる伯父の愚痴が聞こえて,勉強どころじゃなかったけど。


ただ,問題だったのは唐突に現れる伯父で…。


「〇×ちゃん…伯父さんの事避けてるよね?それが目上に対する態度か?目上の人は敬え…って教わらなかったのか?」


事前に酒をある程度呑んでくる(タクシーで来る)為,兎にも角にも絡みが酷く。

会う度に同じ事の繰り返しで,最初のうちは「そんな事ないですよ」と否定していた。


「それじゃあ何故,高確率で居ないんだぁ?トイレや風呂とかならまだしも――」


だけど,伯父に何度も否定されていくうちに応対するのが面倒臭くなり,最終的には『どうせ否定されるんだから言っても無駄』と黙りを決め込んだ。

そりゃあ『いとこ』も家出するわ!こんな面倒臭い父親がいりゃあ…ねぇ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

BL認定児童文学集 ~これ絶対入ってるよね~

松田夕記子
エッセイ・ノンフィクション
「これは児童文学だ。でも絶対にBLだよね!」という作品を、私の独断と偏見をもとに、つらつらとご紹介していきます。 「これ絶対入ってるよね」は、みうらじゅん氏の発言としてあまりにも有名ですが、元のセリフは「この下はどうなっていると思う? オレは入ってるような気さえするんだけど」が正しいです。 BL小説をご覧になって頂き、誠にありがとうございました。このエッセイはクリスマスの25日に完結します。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...