笑ってる?私

みお

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塾の先生2

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「ちょ、ちょっと待っててね」

後藤先生は、中岡さんと私に言う。

「えー、まだぁ」
中岡さんは、悪気は無いけど、後藤先生に向かってそう言う。

「ご、ごめん」

ふふふっ。
面白い。
中学生の女子に素直に謝る大学生の男性。

本来なら、この空いた時間…暇になって有難いのだが(月謝を払ってる親からみたらとんでもないかも)…

もう少し焦らせてあげよう。

「先生、何すればいいですか?」

なんて、言ってみる。

「えっ、松井さん。そ、そうだね。次の問題出来る?」

私は、次の問題を見る。

多項式×数

まだ、教えてもらってない。

ま、例題を見れば…わかるんですけど…

「あ、まだ、教えてもらってません。どうやってやるんですか?」

「えっ?あ、うーん。そうなの」

後藤先生は、さらに焦る。

焦っているけど、必死に字の汚い高橋くんの答え合わせをしている。

「松井さん、ちょっと待ってて」

「ふぅ、高橋くん。この問題とこの問題、やり直し」

「はーい」

「で、中岡さんのね」

後藤先生は、次に中岡さんの答え合わせをする。

ふっ、確か…中岡さんと私は、やった問題が同じだから…ノートを並べて同時に答え合わせすればいいのに…

「先生、これ?どうすればいいの?」
高橋くんが…間違った問題をやり直そうとするけど、やり方がわからないらしい。

「あ、ちょっと待っててね」

「あ、中岡さん。この…2の問題間違ってるからもう1回やってみて」

「はい」

「で、高橋くんは…」

「この問題です」

「あ、これはね…」

ははっ、私…スルーされちゃったよ。

ま、いいんだけどね。

焦って、焦って、余裕無くして…
初日だし…緊張もあるだろうし…こんなもんだよね。

きっと、私たちより5歳位、年上なんだろうけど…

要領が悪いというか…
不器用というか…
だらしないというか…

ふっ…呆れる。


「わかった?」

「なんとなく」

「じゃあ、やってみて」

「はい」
高橋くんへの説明が終わったみたいだ。

「あ、松井さん。ごめんね。今、答え合わせするから」

「はい」

「先生、これでいい?」
今度は、中岡さんが間違いを直したみたいだ。

「あ、ちょっと待ってて」

「はーい」
中岡さんは…あさっての方を見て返事をする。

「はい。松井さん。全部合ってます」

「じゃあ…あ、ちょっと待ってて」

ほう、気づいたみたい。

中岡さんの答えが合ってれば…次の問題のやり方を私と中岡さんを同時に教えられるって…

でもね。
そんなに上手くいかないんですよ。

「中岡さん。カッコの前が引き算だったら…カッコの中の符号はどうなるんだっけ?」

ほらね。中岡さん、間違えるよね。

「変わる?」

「そうだね。じゃあ、この場合は?」

「えーと、-5x+2y-4?」

「-4でいいの?」

「符号変わるんだよね」

「あ、」
慌てて、中岡さんは答えを直す。

そこに
「先生出来たよぉ」
突然の高橋くん。

ね、みんな…バラバラでしょ。

今、先生は…他の子を見てるから…それが終わるまで待っててあげよう…とか…

僕と中岡さんばかり見てて、松井さんが見てあげれてないから…松井さんからどうぞ…なんて思いもしない。

後藤先生は…高橋くんの直した解答を見て…
「うん。そうだね。じゃあ、次のこの問題やってみようか」

「はい」

「で、中岡さん。出来た?」

「これ」

「うん。そうだね。合ってます」

「じゃあ、中岡さん、松井さん…次の問題のやり方を教えるね」

ふっ、やっとだ。

後藤先生は…次の…多項式×数のやり方の説明を始める。

ま、そもそも…初めに…後藤先生のペースを崩したのは私なんだけどね。

後藤先生が必死に字の汚い高橋くんの答え合わせをやってる時に…中岡さんが問題を解き終わり…

私がちょっと待っててあげれば…ここまで…焦らなかったと思う。

ただ、私が…意地悪をして…後藤先生を焦らせ、困った顔が見たかっただけ…

この後藤先生もあと数週間もすれば慣れてきて…要領も良くなるだろうし…

こんな顔が見られるもの…初めのうちだけだから…

面白かった。




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