番とあれこれしてみた

沙耶

文字の大きさ
9 / 16

九話

「あら、起こしちゃった?」

「お母さん…今、何時?」

「7時ぐらいかしら…?ご飯にしましょ、降りてらっしゃい。」


お母さんが、私の様子を見に来て目が覚めた。

ベッドに紫苑さんが寝かせてくれていたみたい。
枕もしっかり頭の下で、紫苑さんの心遣いを感じる。

体があんなに熱かったのに、今じゃ普通に平熱。
お腹の具合も良いし、紫苑さんって、本当に何者なんだろう…?


一瞬の思考停止を経て思い出す。
そうだ。紫苑さんは私の、運命の、αだった…。
そういえば、紫苑さんのフェロモンは、初ヒートのときと、同じ香りがしたような気がする。
次もう一度嗅いだらそれは確実となるだろう。




「オメガは運命と出会うとヒートを起こす。」


紫苑さんが言っていた通り、私は紫苑さんと出会って…?
いや、香りを嗅いだだけで、私はヒートを起こしてしまったんだ…。


「思えば思うほど、恥ずかしいのは、何で?」

恥ずかしいと思えどヒートを起こしたことが、運命の番の証明となる事実に嬉しくなるという矛盾。

複雑な感情を受け止める中、机の上に置かれたメモを見つける。

「紫苑さんからだ!」

恥ずかしさも忘れ、嬉しくなりながらメモを手に取る。


おはよう。
体の調子はどう?怠かったりしない?
起きるまで居られなくてごめん。
緊急の用事ができて、行かないと行けない。
本当は彩芽ちゃんが起きるまでそばに居たいのに…。
起きて落ち着いたら、また連絡して。
必ず返信する。

紫苑より




メモを見て一番に思ったのは、紫苑さんって優しい人なんだな~ってこと。
わざわざメモを置いておかなくたって、メールがあるのに…。




「彩芽~!」

ゆっくりお返事返したいけど、お母さんも呼んでるし、実はお腹も空いている。


メモありがとう。
茶碗蒸し美味しく頂くね。



素っ気なさを多少残したメールは紫苑さんの携帯へと送られていった。




「美味しいわね~この茶碗蒸し。」

滑らかな舌触り。
そして出汁がしっかり染み込んでて美味しい。

「紫苑さんのお家の料理人さんが作ってくれたんだって。」

お母さんに詳細を伝えれば、すっかり娘の番発見を受け入れたようひ話し続ける。


「料理人が居るなんて、流石αね~。あっ、そうだ。お母さん御木さんに会ったわよ。」


「…えっ?会ったの?」

「ほら、これ。名刺くれたの。何かあったら連絡くださいって。彩芽、御木さんの運命の番なんですってね~本当にそんなのがあるなんて…ロマンチックだわ~。」

茶碗蒸しに舌鼓を打っていたのにいきなり爆弾を投下された気分。
まさか、お母さんに会っていたなんて。
まあ、隠すつもりはなかったんだけど…

「御木グループって、何?」


お母さんから借りて見た、紫苑さんの名刺には、職業欄こそないものの御木グループと書いてあった。
御木グループ…名前からして紫苑さんの家族がやっているグループで間違いはないと思う。


「彩芽、知らないの?」


「お母さんは知ってるの?」


「…バース科の診察券見てみたら?」


素直に従えば御木グループという文字が端っこに印刷されている…。
えっ?どういうこと?


「御木グループは、オメガやアルファ、ベータのバース性に関係する製品やら、施設やら技術やら、とにかくバース性専門のグループよ。学校でのバース判別だって御木グループが協力してるんだから…大きなところよ。」



……………………紫苑さんは、そんな大きなグループの、


「御曹司ってところかしら?」







『これ、体調管理アプリ。まだヒート周期安定してないし、よくわからないと思うから使ってみて。』

簡単なメールで送られてきたアプリ。

検索かけても出てこないので、多分試作品とかかなり内部で使われているアプリだと思う。


「紫苑さんって、本当に御木グループの人なんだな~」




なんか今日はもう、情報が多すぎて脳みそが容量オーバーだ。

とりあえずアプリを登録し、お風呂へと向かった。


感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!

星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。 ……のに。 「お腹すいた」 そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。 強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。 手当てすれば「危ない」と囲い込み、 看病すれば抱きしめて離さず、 ついには―― 「君が、俺の帰る場所」 拾ってない。飼ってない。 ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。 無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の 距離感バグ甘々ラブコメ、開幕! ⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。