6人の皿

hinatakano

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コンコン。部屋のドアがノックされる。

「成瀬様、間もなくゲームの説明が行われます。食堂へお越しください」

さっきの男の声だ。「すぐ行きますっ」飛び起きた成瀬が答えた。

食堂には既に5人の男女が集まっていた。成瀬を含めると男女3人ずつだ。

「こ、こんばんわ」小さな声で成瀬が言うがひとりの女が目を向けただけだった。

しばらくするとブーンというハムノイズが響き渡り、奥のディスプレイに人が映る。

成瀬は息を呑んだ。気持ちの悪い仮面をつけた男が映し出されたからだ。

「大変お待たせ致しました。只今よりライヤーゲームを開催致します。私はこのゲームのディーラーを務めますディオルバと申します」仮面の男が喋り出す。

(ライヤーゲーム?なにそれ…)首を傾げているのは成瀬だけだ。

「これから皆様に行っていただくゲーム、それは…共同経営ゲーム。このペンションは昔、6人の経営者によって成り立っておりました。しかし意見の食い違いにより共同経営は中断となってしまったのです。ですから皆様には同じ末路を辿らぬよう必要のない者を見極め、効率の良い共同経営を成し遂げていただきたいのです。ではこれよりルールの説明にまいります」

するとさっきの黒いスーツの男が6人の男女に1枚ずつ白い皿を配り始めた。

「今、皆様のお手元に1枚ずつお皿をお配り致しました。ルールは至って簡単…。ゲーム終了時に最も多くお皿を持っていた方の勝ちとなります。優勝賞金は3億円、ただし最多所持者が複数いらっしゃった場合ゲームは不成立となり全員にペナルティとして1億円をお支払いいただきます。そしてもうひとつ…ゲーム終了時に2枚以上のお皿を持っていない方にも1億円をお支払いいただきます」

「ちょっと待て、皿は6枚しかねえのに2枚なければ1億払えだと?」

賞金の発表で目の色を輝かせていた人たちも顔つきが変わる。

「当然です。お皿を奪うだけで大金が手に入るのです。リスクなしというわけにはいきません。なお暴力行為は禁止です。力尽くでお皿を奪う行為、破壊する行為も即退場の上ペナルティ1億円が科せられます。ゲーム終了時手に触れていないお皿はカウントされませんのでご注意ください。ゲームはこれより10分後の午前0時より開始、終了時刻は明朝6時となります」そう言い終えるとディスプレイは何も映し出さなくなった。

「くそ、なんだよ。一攫千金のゲームだと聞いてやって来たのにこれじゃ高確率で借金背負っちまうじゃねえか」革ジャンの男が言う。

「ウチも参加すれば借金チャラにしてくれるって話やったのに…」化粧の厚い女が言う。

「じょ、冗談ですよね?優勝したら3億とか負けたら1億払うなんて…」成瀬の震えた質問には誰も答えないまま午前0時を迎えた。
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