6人の皿

１

人里離れた山奥に古いペンションがある。すっかり日は沈み他に灯りもないため、そこだけがぽつんと光っていた。しばらく手入れがされてないようで周りの木々が今にもペンションを飲み込もうとしている。

そこへ一台のレトロなバスが到着した。降りてきたのは黒いスーツを着た男と小柄な女。

「わぁ、ここが会場ですか。素敵！」女が言う。

「こちらへどうぞ」そう言うと男はペンションの入口へと向かった。

建物自体はお洒落だが近づくと外壁は傷んでいて蜘蛛の巣があちこちにある。さすがに女も少し嫌そうな顔をしていたが男が扉を開くとすぐにそれは吹き飛んだ。そこにはまるで別の建物かのような煌びやかなロビーが広がっていたからだ。

「この奥にある食堂がゲームの開始場所となっております」男が食堂へと案内する。

キッチンとも繋がっている少し広めの食堂には6人掛けのテーブルがひとつだけあって奥の壁には巨大なディスプレイが設置されていた。

「お部屋は二階にございます」そう言うと男はロビーの階段を上がっていった。

客室らしき部屋は全部で6部屋。一番奥の部屋の前で男は止まった。

「こちらが成瀬様のお部屋でございます。そしてこちらがお部屋の鍵でございます。もし失くされた場合、二度と開くことはございませんのでお気を付けください。ゲーム開始は午前0時からとなっております。15分前には食堂の方へお願いします」

そう告げると男はその場を去り成瀬は頭を下げた。

ガチャ。鍵を開けた成瀬は一通り部屋を見回すとふかふかのベッドへと飛び込んだ。そして余程気持ち良かったのかそのまま寝入ってしまった。