6人の皿

hinatakano

文字の大きさ
7 / 13

しおりを挟む
神楽と野崎が食堂へ戻るとそこにいたのは成瀬だった。

「まさかとは思うけど紹介したい人って…」野崎が恐る恐る聞く。

「ええ、彼女を私たちのチームに入れてあげてほしいの」

「えへへ、お願いします」成瀬がぺこりと頭を下げる。

「どういうこと?この子1枚も皿持ってへんのよね?…いや、ウチも持ってへんのやけどさ…」

その時加藤が二階から降りてきた。

「おい神楽!皿の入った鞄どこへやった。鞄の中に皿があること自体俺とお前しか知らねえんだ。しらばっくれんなよ」

「成瀬さん持ってきてくれる?」

神楽がそう言うと成瀬はキッチンに隠してあった鞄を持ってきた。神楽はその鍵を開けると3枚の皿を取り出し加藤に見せた。

「なぜだ…どうやって扉を開けた…。鍵は俺が持っている。この手で俺がかけたんだ。すり替えようもない」

「単純よ。鍵のかかった扉を外から開けるのは大変。けど内側からなら簡単に開くのよ」

「内側からだと…?」

「まだお解りにならない?鞄の中にお皿を入れたあの時、部屋にいたのは本当に私とあなただけだったかしら」

「ま、まさか…」加藤が崩れ落ちる。

成瀬は神楽に頭を撫でられにっこりした。

「じゃあ何か。そもそも俺とチームを組むつもりなどなかったのか」

「ごめんなさいね。けどこれはライヤーゲームだもの」

加藤はふらふらと立ち上がると神楽を睨みつけ、「これで勝ったと思うなよ。まだゲームは終わってねえ」と言葉を残して二階へ消えていった。

「…で、これからは女3人のチームでやってこうと思うんだけどいい?」

「アンタそれ本気なん?皿のない人間チームに入れる意味ある?」

「ええ、このゲームはお皿を持ってるだけじゃダメ。人を制さないと勝てないの」

「とかなんとか言うて自分が優勝したら知らん顔するんやないやろね?」

「…仕方ないわね」神楽はそう言うと3枚の皿全てを成瀬に手渡した。

「これならどう?彼女のことも信じられないって言うならもうお願いしないわ」

「…わ、分かったわ。で、ウチに何せえって?人手が欲しいからには何か策があるんやろ?」

「策…はないけどあなたに聞きたいことがあるわ」



午前2時を過ぎた頃、加藤はまたトイレの中にいた。

「やっちまった…。完全にやっちまったよ俺。これでもう借金確定じゃねえか」

コンコン…。トイレのドアを叩く音がする。

(あ?誰だ?真宮か?漏れそうなら下行けよ…)

コンコン…。

(あー、くそっ)

加藤が鬼の形相でドアを開けるとそこに立っていたのは百目鬼だった。

「チームの仲間が中々返ってこないんで心配になってね‥‥くっく」

「ぁ。…ハハ。わりぃ、すぐ戻るよ…」加藤が力なく言う。

「くっくっく。いや冗談だよ。君が裏切ったことも皿を奪われたことも私が知らないとでも思ったかい?」

「…。けっ、だったら俺に何の用があるってんだ」

「君を改めてチームに迎え入れたくてね。どうだい、私に力を貸さないか?」

「つまんねえ冗談だな。皿のない俺にお前が賞金払うはずないだろ」

「状況は刻一刻と変化している。君にしかできない仕事があるんだよ」

そう言うと百目鬼は不気味に笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

私の優しいお父さん

有箱
ミステリー
昔、何かがあって、目の見えなくなった私。そんな私を、お父さんは守ってくれる。 少し過保護だと思うこともあるけれど、全部、私の為なんだって。 昔、私に何があったんだろう。 お母さんは、どうしちゃったんだろう。 お父さんは教えてくれない。でも、それも私の為だって言う。 いつか、思い出す日が来るのかな。 思い出したら、私はどうなっちゃうのかな。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...