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神楽と野崎が食堂へ戻るとそこにいたのは成瀬だった。
「まさかとは思うけど紹介したい人って…」野崎が恐る恐る聞く。
「ええ、彼女を私たちのチームに入れてあげてほしいの」
「えへへ、お願いします」成瀬がぺこりと頭を下げる。
「どういうこと?この子1枚も皿持ってへんのよね?…いや、ウチも持ってへんのやけどさ…」
その時加藤が二階から降りてきた。
「おい神楽!皿の入った鞄どこへやった。鞄の中に皿があること自体俺とお前しか知らねえんだ。しらばっくれんなよ」
「成瀬さん持ってきてくれる?」
神楽がそう言うと成瀬はキッチンに隠してあった鞄を持ってきた。神楽はその鍵を開けると3枚の皿を取り出し加藤に見せた。
「なぜだ…どうやって扉を開けた…。鍵は俺が持っている。この手で俺がかけたんだ。すり替えようもない」
「単純よ。鍵のかかった扉を外から開けるのは大変。けど内側からなら簡単に開くのよ」
「内側からだと…?」
「まだお解りにならない?鞄の中にお皿を入れたあの時、部屋にいたのは本当に私とあなただけだったかしら」
「ま、まさか…」加藤が崩れ落ちる。
成瀬は神楽に頭を撫でられにっこりした。
「じゃあ何か。そもそも俺とチームを組むつもりなどなかったのか」
「ごめんなさいね。けどこれはライヤーゲームだもの」
加藤はふらふらと立ち上がると神楽を睨みつけ、「これで勝ったと思うなよ。まだゲームは終わってねえ」と言葉を残して二階へ消えていった。
「…で、これからは女3人のチームでやってこうと思うんだけどいい?」
「アンタそれ本気なん?皿のない人間チームに入れる意味ある?」
「ええ、このゲームはお皿を持ってるだけじゃダメ。人を制さないと勝てないの」
「とかなんとか言うて自分が優勝したら知らん顔するんやないやろね?」
「…仕方ないわね」神楽はそう言うと3枚の皿全てを成瀬に手渡した。
「これならどう?彼女のことも信じられないって言うならもうお願いしないわ」
「…わ、分かったわ。で、ウチに何せえって?人手が欲しいからには何か策があるんやろ?」
「策…はないけどあなたに聞きたいことがあるわ」
午前2時を過ぎた頃、加藤はまたトイレの中にいた。
「やっちまった…。完全にやっちまったよ俺。これでもう借金確定じゃねえか」
コンコン…。トイレのドアを叩く音がする。
(あ?誰だ?真宮か?漏れそうなら下行けよ…)
コンコン…。
(あー、くそっ)
加藤が鬼の形相でドアを開けるとそこに立っていたのは百目鬼だった。
「チームの仲間が中々返ってこないんで心配になってね‥‥くっく」
「ぁ。…ハハ。わりぃ、すぐ戻るよ…」加藤が力なく言う。
「くっくっく。いや冗談だよ。君が裏切ったことも皿を奪われたことも私が知らないとでも思ったかい?」
「…。けっ、だったら俺に何の用があるってんだ」
「君を改めてチームに迎え入れたくてね。どうだい、私に力を貸さないか?」
「つまんねえ冗談だな。皿のない俺にお前が賞金払うはずないだろ」
「状況は刻一刻と変化している。君にしかできない仕事があるんだよ」
そう言うと百目鬼は不気味に笑った。
「まさかとは思うけど紹介したい人って…」野崎が恐る恐る聞く。
「ええ、彼女を私たちのチームに入れてあげてほしいの」
「えへへ、お願いします」成瀬がぺこりと頭を下げる。
「どういうこと?この子1枚も皿持ってへんのよね?…いや、ウチも持ってへんのやけどさ…」
その時加藤が二階から降りてきた。
「おい神楽!皿の入った鞄どこへやった。鞄の中に皿があること自体俺とお前しか知らねえんだ。しらばっくれんなよ」
「成瀬さん持ってきてくれる?」
神楽がそう言うと成瀬はキッチンに隠してあった鞄を持ってきた。神楽はその鍵を開けると3枚の皿を取り出し加藤に見せた。
「なぜだ…どうやって扉を開けた…。鍵は俺が持っている。この手で俺がかけたんだ。すり替えようもない」
「単純よ。鍵のかかった扉を外から開けるのは大変。けど内側からなら簡単に開くのよ」
「内側からだと…?」
「まだお解りにならない?鞄の中にお皿を入れたあの時、部屋にいたのは本当に私とあなただけだったかしら」
「ま、まさか…」加藤が崩れ落ちる。
成瀬は神楽に頭を撫でられにっこりした。
「じゃあ何か。そもそも俺とチームを組むつもりなどなかったのか」
「ごめんなさいね。けどこれはライヤーゲームだもの」
加藤はふらふらと立ち上がると神楽を睨みつけ、「これで勝ったと思うなよ。まだゲームは終わってねえ」と言葉を残して二階へ消えていった。
「…で、これからは女3人のチームでやってこうと思うんだけどいい?」
「アンタそれ本気なん?皿のない人間チームに入れる意味ある?」
「ええ、このゲームはお皿を持ってるだけじゃダメ。人を制さないと勝てないの」
「とかなんとか言うて自分が優勝したら知らん顔するんやないやろね?」
「…仕方ないわね」神楽はそう言うと3枚の皿全てを成瀬に手渡した。
「これならどう?彼女のことも信じられないって言うならもうお願いしないわ」
「…わ、分かったわ。で、ウチに何せえって?人手が欲しいからには何か策があるんやろ?」
「策…はないけどあなたに聞きたいことがあるわ」
午前2時を過ぎた頃、加藤はまたトイレの中にいた。
「やっちまった…。完全にやっちまったよ俺。これでもう借金確定じゃねえか」
コンコン…。トイレのドアを叩く音がする。
(あ?誰だ?真宮か?漏れそうなら下行けよ…)
コンコン…。
(あー、くそっ)
加藤が鬼の形相でドアを開けるとそこに立っていたのは百目鬼だった。
「チームの仲間が中々返ってこないんで心配になってね‥‥くっく」
「ぁ。…ハハ。わりぃ、すぐ戻るよ…」加藤が力なく言う。
「くっくっく。いや冗談だよ。君が裏切ったことも皿を奪われたことも私が知らないとでも思ったかい?」
「…。けっ、だったら俺に何の用があるってんだ」
「君を改めてチームに迎え入れたくてね。どうだい、私に力を貸さないか?」
「つまんねえ冗談だな。皿のない俺にお前が賞金払うはずないだろ」
「状況は刻一刻と変化している。君にしかできない仕事があるんだよ」
そう言うと百目鬼は不気味に笑った。
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