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距離感
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「やっとエンドロールだね」
本編がようやく終わり、暗闇の中そっと手が離された瞬間、私はなぜか、少しだけ寂しさを感じてしまった。
「え、ええ。そうですね」
何とか相槌を打つながら館内に明かりがつくのをじっと待つ。映画の内容は途中から全く記憶に残らなかった。けれど幸崎さんの手の温もりと優しさは、しっかり私の中に残っていた。
映画館を出た私たちが向かったのは駅前のカジュアルなイタリアンレストランだった。注文したのは魚介のパスタとマルゲリータのピザと生ハムのサラダ、それにスパークリングのワイン。賑やかな店内の雰囲気と美味しい料理は、映画館での醜態も、社外で幸崎さんと二人でいることへの気恥ずかしさも、少しずつ解れていくようだった。
「あの、幸崎さん……さっき、橘さんと何かあったんですか?」
食事も終盤へと差し掛かった頃、私は思い切って切り出してみた。実は映画が始まる前からずっと、エントランスでの出来事が、私の心に引っかかっていたのだった。だって橘さくらの幸崎さんに対する態度は、まるで恋人のようだったから。
私の問いに、幸崎さんは一瞬フォークを止めて、苦笑いを浮かべた。
「ああ、広報誌にインタビューを載せたいとか何とかってメールが来たんだけど、正直、そういうの苦手で。上手いこと断ろうと思ってたんだけど、案外しつこくて困ってたんだ」
「そうだったんですね……」
本編がようやく終わり、暗闇の中そっと手が離された瞬間、私はなぜか、少しだけ寂しさを感じてしまった。
「え、ええ。そうですね」
何とか相槌を打つながら館内に明かりがつくのをじっと待つ。映画の内容は途中から全く記憶に残らなかった。けれど幸崎さんの手の温もりと優しさは、しっかり私の中に残っていた。
映画館を出た私たちが向かったのは駅前のカジュアルなイタリアンレストランだった。注文したのは魚介のパスタとマルゲリータのピザと生ハムのサラダ、それにスパークリングのワイン。賑やかな店内の雰囲気と美味しい料理は、映画館での醜態も、社外で幸崎さんと二人でいることへの気恥ずかしさも、少しずつ解れていくようだった。
「あの、幸崎さん……さっき、橘さんと何かあったんですか?」
食事も終盤へと差し掛かった頃、私は思い切って切り出してみた。実は映画が始まる前からずっと、エントランスでの出来事が、私の心に引っかかっていたのだった。だって橘さくらの幸崎さんに対する態度は、まるで恋人のようだったから。
私の問いに、幸崎さんは一瞬フォークを止めて、苦笑いを浮かべた。
「ああ、広報誌にインタビューを載せたいとか何とかってメールが来たんだけど、正直、そういうの苦手で。上手いこと断ろうと思ってたんだけど、案外しつこくて困ってたんだ」
「そうだったんですね……」
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