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対峙
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私は、もう「じゃない方の佐倉」ではなかった。幸崎さんに愛されている「佐倉美和」という存在だ。そして幸崎さんの隣に胸を張って立つことができる、彼だけの特別な存在なのだった。
「あの、ところで……」
「うん?」
私を腕の中にすっぽり収めた幸崎さんは満足気な口調で返事をした。
「さっき、私がいつまでも『佐倉』でいると思うなって……」
先程のことを指摘すると、幸崎さんの動きが急にギクシャクし始めた。
「……ごめん。どさくさに紛れて自分の願望が口に出ちゃった」
「え?」
「あの、気が早いとは思ってるし、こんな状況で言うのはムードも何もないんだけど……後日改めてちゃんと場は設けるから、今伝えてもいい?」
幸崎さんはそっと私から一歩引くと、居住いを正し真剣な眼差しをこちらに向けた。
「佐倉美和さん、愛してます。いつか俺と結婚して下さい」
「――――!!」
それは突然のプロポーズだった。
いつかそうなるといいな。そう思ってはいたけれど、まさか今、彼の口から聞かされるなんて。想像していない展開は、告白の時以上にドキドキと胸が一杯なってしまう。
「あ、いや、『佐倉』って名字が気に入ってるなら俺がその姓を名乗ってもいいし、名字には特に拘らないよ!だから……」
珍しくあたふたする幸崎さんの両手をそっと握りしめ、私は彼の顔を見つめた。
「――はい、勿論。宜しくお願いします」
「あの、ところで……」
「うん?」
私を腕の中にすっぽり収めた幸崎さんは満足気な口調で返事をした。
「さっき、私がいつまでも『佐倉』でいると思うなって……」
先程のことを指摘すると、幸崎さんの動きが急にギクシャクし始めた。
「……ごめん。どさくさに紛れて自分の願望が口に出ちゃった」
「え?」
「あの、気が早いとは思ってるし、こんな状況で言うのはムードも何もないんだけど……後日改めてちゃんと場は設けるから、今伝えてもいい?」
幸崎さんはそっと私から一歩引くと、居住いを正し真剣な眼差しをこちらに向けた。
「佐倉美和さん、愛してます。いつか俺と結婚して下さい」
「――――!!」
それは突然のプロポーズだった。
いつかそうなるといいな。そう思ってはいたけれど、まさか今、彼の口から聞かされるなんて。想像していない展開は、告白の時以上にドキドキと胸が一杯なってしまう。
「あ、いや、『佐倉』って名字が気に入ってるなら俺がその姓を名乗ってもいいし、名字には特に拘らないよ!だから……」
珍しくあたふたする幸崎さんの両手をそっと握りしめ、私は彼の顔を見つめた。
「――はい、勿論。宜しくお願いします」
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