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(なんだこれ……なんだこれなんだこれ??)

 掻き立てられる本能の一方で、突然の出来事に創の思考回路は緊急停止。動揺のあまり何をどうしてよいのか全く判断することができないでいる。
 
「……こんなこと、駄目ですって」
「 駄目?なんで?」

 ようやく口にできた言葉と共に、せめてもの抵抗の意を示すように香菜の口元に手を伸ばすと、香菜は人差し指を焦らすように舐め上げた後にパクリとそれを口に含む。
 舌を絡ませながらゆっくりと唇から抜き差しするその様子は、まざまざと「何か・・」を想像させられて、思わず背中に甘い震えが走る。

 時折り上目遣いでこちらを見つめる、誘うようなその仕草がまたなんとも色っぽい。
 益々昂ぶるこの熱を、香菜の中へとブチ込みたい。何度もめちゃくちゃに掻き回して、喘がせ、グチャグチャにしてやりたい。邪な思いは下腹部へと集中し、痛いほどに主張する。

 が、このまま流されてしまうのはいかがなものか。精一杯の良心をかき集めると、創は再度香菜に訴えかける。

「……こんなこと、間違ってますって」
「 間違ってるかどうかは、やってみないと分からないじゃない?」
「だ、だって……このままこんなことしてたら、最後までしたくなっちゃいますし」
「なら、最後までしちゃおうよ」
「いや、ほんとそれは流石に駄目ですって」
「……なんで?したくないの?」

 私とじゃ嫌?と、少しシュンとした香菜の顔が、妙に愛おしく感じて仕方がない。違う、そうではない。そういう顔をさせたい訳ではないんだと、慌てて創は次の言葉を口にする。

「それは……あの、今、ゴムもってませんし」
「あれば、いいの?」
「え、あ、そりゃ、あるならば……」

 堪えなければいけないとは思いながらも、情けないことに本音がポロリと溢れだす。
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