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「えっと……それなら、あるよ?」

 暫く沈黙した後、香菜がローテーブルの下からゴソゴソ取り出したのもの。それは各種サイズが取り揃えられた、未開封の真新しい避妊具のパッケージだった。

 少し照れくさそうに目を逸らせる香菜と何箱もあるそれとを、交互に創は見比べる。

「先輩……なんでこんなに沢山のサイズ違いの未開封のコンドームの箱が、タイミングよく出てくるんですか?」
「さ、さあ?偶然うちにあったからじゃない?」

 頬を赤らめながらも首を傾げる香菜の返答が、なぜだかチクンと胸に刺さる。

 偶然あった?
 誰と使うつもりで?
 俺じゃない、他の男に抱かれる為に?

 サイズ違いなんて用意して? 言葉にできないモヤモヤとした黒い渦のような感情が急激に芽生えると、創はグイと体を押しやって、そのままなにか言い訳を続ける香菜の唇を塞ぐように口づけをする。

「……先輩、違うでしょ?」
「え?」
「偶然じゃない、でしょ?」

 例えその場しのぎの嘘だとしても、香菜が誰かに抱かれる為に用意していた箱だなんて、そんな話は聞きたくない。

「俺がどれ使っても大丈夫なように、サイズ違いのをさっきのコンビニで買い込んじゃうくらい、先輩は俺とシたくて仕方なかったんでしょ?」

 そう言うと再び唇を寄せ、噛みつくようなキスをする。
 お互いの舌を絡ませながら口内の至るところを舐め上げる。香菜のTシャツの中へと潜り込み、胸の頂をクリクリと摘んで擦り上げれば甘い喘ぎが漏れてくる。

「んっ……ふぅっ」
「ね?そうでしょ?さっきから俺を試すようなことばっかりしてさ。そうとしか考えられないでしょ?」

 香菜は始めこそビクリと一瞬強ばる反応を示したものの、すぐに快楽に染まりトロンとした表情になる。
 唇を離して乱れた髪を梳いてやれば、どこか恥ずかしそうに顔を背ける姿が可愛らしい。
 けれど今で散々人を試すようなことをしてきた彼女には、もう少し意地悪もしてみたくなる。
 箱を手に取りピリリとフィルムを剥がす。
 すっかり固く反り立った剛直に、薄いピンクのゴム製の膜を装着する様をこれみよがしに香菜に見せつけてやる。

「先輩が煽った結果がこれですからね。一緒に気持ちよくなりましょう?」

 そして創はニヤリと笑うと指摘を受けて真っ赤な顔をした香菜の身体を押し開き、すっかり潤んだ柔らかな場所へと熱杭を勢いよく沈み込ませるのだった。
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