黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M

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九章 Revenge 12月

第112話 放課後は恋人達のランデヴー

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午後からの授業はすべて自習になった。
といってもナカマイ先生は教室にいて、
机に座って何やら考え事をしていた。

6時間目が終わると、
ナカマイ先生は帰りの会を早く切り上げて
挨拶もそこそこに、
そそくさと教室を出ていった。
子供達も次々と教室を出ていった。
その中には奥川、相馬、そして茜の姿もあった。
俺と翔太、そして洋の3人だけが
教室に残っていた。
6時間目の自習の時に
翔太が算数の問題がわからない
と言っていたので、
俺と洋で教えることになったのだ。
最初のうちこそ翔太も
「うんうん」
と熱心に俺の話を聞いていたものの、
10分もすると大きな欠伸をはじめた。
「おい!翔太。
 せっかく俺とあっくんが教えてるのに
 欠伸をするとは何事だ!」
「何だよ。
 さっきからあっくんが説明してるだけで、
 洋は何もしてないくせに」
「何だとー!」
「まあまあ」
と言って俺は2人を宥めた。

窓の外ではしとしとと雨が降り続いていた。
「あ~あ、一服したいなぁ」
「ベランダでこっそり吸うか?ひひひ」
洋の言葉に翔太はこくりと頷いた。
「待て待て、お前ら。
 職員室にはまだ教師が残ってるんだぞ」
俺は急いで2人に注意した。
「あっくんは心配性だなぁ」
「細かい男は嫌われるぜ」
俺の言葉に2人は不満そうだった。

「あ~あ、雨って本当に嫌だね」
いつの間にか翔太は教科書を閉じていて、
洋も窓から外を眺めていた。
雨脚が少しだけ弱くなっていた。
「ねぇ、どうする?
 安全に一服できるところを探さない?」
「う~ん。体育館に侵入できれば良いけど、
 あそこは職員室から近いし危険だよな」
翔太と洋はまだ煙草を諦めていなかった。
「でもナカマイ先生ならもう帰ってるよ」
「教師はナカマイ先生だけじゃないぞ」
俺は即座に指摘した。
「今頃ナカマイ先生とヒーローは
 デートしてるんだよな。ひひひ」
「そうだね。
 でもナカマイ先生が
 ヒーロー先生のことを好きだったなんて
 驚いたよね」
「おい、ちょっと待て。
 ナカマイ先生と一色がデートって
 どういうことだ」
2人の会話の内容は聞き捨てならなかった。
「そっか、
 あっくんにはまだ話してなかったんだ」
翔太がポンと手を叩いた。
「実は僕達、
 昼休みにすごい場面を目撃したんだ。
 ねえ、洋」
「ひひひ。
 正確には耳にしたって言うべきだけどな」


昼休み。
数人の男子と
「かくれんぼ」に興じていた翔太と洋は、
隠れ場所を探していて、
偶然にも屋上の扉の手前にある
掃除用具入れの前で鉢合わせた。
掃除用具入れは無理をすれば
2人で隠れることも可能だったが、
見つかるときは2人同時というリスクもある。
話し合いの末、
どちらか1人が隠れることになり
2人はじゃんけんでそれを決めることにした。
そして2人がじゃんけんをしようとした
まさにその時、
階段を上ってくる足音が聞こえた。
2人は急いで掃除用具入れの中へ身を隠した。

足音は2つあった。
足音は掃除用具入れの前で止まった。

「話ってなんですか。畑中先生」
その声の主は一色拓海だった。
「今ここでは話せません。
 放課後、お時間を頂けますか」
「いやぁ。畑中先生から誘われるとは、
 モテる男は困りますねぇ。
 たしかに畑中先生は魅力的です。
 光栄ですが実はですねぇ・・」
「とにかく!放課後。
 よろしくお願いします」
そして階段を駆け下りる足音と、
その足音から少し遅れて
「畑中先生!放課後は恋人達のランデヴー!」
と叫ぶ声が聞こえた。


「というわけなんだよ、あっくん。どう思う?」
「まさかナカマイ先生がなー。ひひひ」
俺は教室の時計を見た。
帰りの挨拶を終えてから
すでに40分以上が経過していた。
俺は2人に用事を思い出したと伝えて
教室を飛び出した。
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