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九章 Revenge 12月
第119話 悪夢の始まり
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沈みかけた太陽が
微かに西の空を紅く照らしていた。
茜を先に帰らせて、
俺は1人屋上に残っていた。
ほんの数分前に、
茜を抱きしめた時の温もりが
まだ腕に残っていた。
俺は馬鹿だ。
気が付かなかった。
最近の茜の様子にも。
あの日、
屋上の扉の影からこちらを窺う2人の視線にも。
俺はまったく気付いていなかった。
目の前の現実に目を奪われ過ぎて
後ろが疎かになっていた。
あの日。
茜は俺の様子が普段と違うことに気付いて、
こっそり俺を見張っていたのだ。
俺の姿が屋上へ消えたのを確認して、
茜は閉まった扉の前で逡巡した。
そして。
意を決して扉を押した。
か弱い少女1人の力では重い鉄の扉を開けるのは
思った以上に重労働だった。
その時。
ふいに扉が軽くなった。
その理由はすぐにわかった。
茜が振り向くと、
そこには見たことのない大人の男が立っていた。
男は白髪のオールバックに
黒いサングラスをかけていて、
口髭を生やしていた。
男は人差し指を口に当てて
「しーっ」
と茜に合図した。
2人は僅かに開いた扉の隙間から
外の様子を窺った。
「あそこにいるのは君のお友達かい?」
小声で訊ねる男に茜はこくりと頷いた。
「大切なお友達なのかな?」
茜はもう一度頷いた。
次の瞬間、
俺がフェンスを乗り越えるのが見えて、
茜は驚きのあまり声を上げそうになった。
茜は俺が飛び降りると思ったらしい。
後ろの男の手が茜の口を塞いだ。
そして。
次に男が発した言葉は茜をさらに驚かせた。
「どうやら君のお友達は
『ひとごろし』のようだね。
『ひとごろし』は『しけい』だって
知ってるかい?」
茜は男の言葉の意味がわからなかった。
なぜフェンスを乗り越えただけで
『ひとごろし』になるのだろう。
首を傾げる茜に男はさらに言った。
「ついてきなさい。
彼が『ひとごろし』である証拠を
見せてあげよう」
茜は俺のことが気になったが、
男に促されるままに階段を下りた。
男は1階までくると靴を履き替えずに外へ出た。
男は人目を気にしているのか
周囲をキョロキョロと窺いながら
隠れるように校舎の壁に沿って歩いた。
茜は男の後ろに続いた。
しばらく進んだところで男の足が止まった。
茜が男の背後からそっと前を覗くと、
花壇に倒れている人間が見えた。
「きゃっ」
茜はすぐに男の背後へ隠れた。
そしてもう一度恐る恐る顔を出した。
花壇で倒れている人間が着ている服から
茜はその男がボス猿だと理解した。
「わかったかい。
君のお友達は猿田先生を
屋上から突き落としたんだよ」
男の言葉に茜は心臓が飛び出るほど驚いた。
その時。
「うぅぅ」という声が聞こえた。
声の主はボス猿だった。
茜は驚いて男の上着を掴んだ。
「おやおや、どうやらまだ息があるようだ」
「た、た・・す・・け・・」
ボス猿は苦しそうに喘いだ。
「ふぅ、困った」
そう言って男は首を捻った。
「君はお友達が
『しけい』になってもいいのかな?」
男は振り返って茜に尋ねた。
「この国では
『ひとごろし』は『しけい』
と相場が決まっているんだよ」
難しい話はわからないが、
茜も『しけい』という制度は知っていた。
茜の目から自然と涙がこぼれた。
「お友達を助けたいかい?」
男はしゃがみ込んで茜に目線を合わせた。
だが。
男の目はサングラスに隠れて見えなかった。
茜は涙を拭いながらこくりと頷いた。
「では私と『けいやく』しよう。
そうすれば君のお友達は助かる」
男は茜の耳元でそう囁いた。
茜は黙って頷いた。
男がゆっくりとボス猿に近づいていった。
「た、た・・す・・け・・」
息も絶え絶えにボス猿は言葉を発した。
男は倒れているボス猿の側に立って、
辺りを見回した。
そして近くに落ちていた花壇の煉瓦の欠片を
拾い上げると、
茜の見ている前で
それをボス猿の頭に叩きつけた。
2度、3度と叩きつける度に
花壇に鮮やかな鮮血が飛び散った。
「猿田先生が生きていたら、
君のお友達に不利になる。
こうするのが一番いいんだよ」
茜は恐怖のあまり声を出せなかった。
「これで君と私は『きょうはん』だ。
もしこのことが誰かに知れたら、
今度は君と私が『さつじんざい』で
『しけい』になる。
でも私に任せておけば心配することはない。
ただし。
『けいやく』を破ったら
君もお友達も大変なことになるからね。
忘れるんじゃないよ」
男はそう言って笑った。
そして男は茜に名前と学年、
そしてクラスを聞くと帰るように言った。
しかし。
茜は帰らなかった。
俺のことが心配で靴箱で待っていたのだ。
それからしばらくして
ボス猿の死は自殺として処理された。
さらに数日後、
登校した茜の靴箱に一枚の紙が入っていた。
『次は君が私との約束を果たす番だ。
放課後、
誰にも言わずに1人で屋上へ来なさい』
茜は紙に書かれた通り、
放課後1人で屋上へ向かった。
封鎖されたはずの扉がなぜか開いていた。
扉を開けると見覚えのある男がいた。
白髪のオールバックに黒いサングラス。
そして口髭。
男は茜に気付くと手を挙げた。
「誰にも見つかってないかい?」
茜は小さく頷いた。
男は扉を閉めてから茜を屋上の中央へ誘った。
そこには綺麗に畳まれた毛布があった。
男は毛布を広げると茜をその上に座らせた。
「これは『けいやく』だ。
君には拒む権利はない」
男はそう言うと茜を毛布の上に押し倒した。
突然のことに
茜は声をあげることすらできなかった。
恐怖で体が強張った。
耳元で男が
「大人しくしていたらすぐに終わるからね」
と囁いた。
下着が下ろされ、
足が開かれたと思うと男が侵入してきた。
瞬間、
下腹に激痛が走り茜の口から声が漏れた。
すぐに男の手が茜の口を塞いだ。
男が動くたびに鋭い痛みが体の奥を襲った。
茜は目を閉じてその痛みに耐えた。
徐々に男の動きが速くなり
それにつれて痛みも増した。
この激痛がいつまで続くのかと
意識が朦朧とし始めた時、
終わりは突然やってきた。
男の体が小さく震えて
茜の股の間を生温かいモノが濡らした。
男が茜の体から離れた。
「この痛みは『ばつ』だよ。
君が『ばつ』を受けることで
君の大切なお友達は救われる。
それにね。
人という生き物は痛みに慣れるんだよ。
そして痛みの先には快楽が待っている。
痛みと快楽は紙一重。
君もすぐにその快楽を知ることになる」
そう言って男は茜の頭を撫でた。
「さあ。
あとは『けいやく』について
もう少し話をしておこう」
男は呆然としている茜に淡々と語りかけた。
1つ。男との関係は誰にも言わないこと。
2つ。男との連絡は茜の靴箱を使用する。
男は茜に復唱させた。
茜は言われるがまま機械的に
男の言葉を繰り返した。
「君は誰かさんと違って素直な子だ」
最後に男は茜にそう言った。
茜の悪夢はこの日から始まった。
実際、
茜が何度男の欲望の犠牲になったのか
わからない。
茜も言わなかったし俺も聞けなかった。
俺はただ、
小さな少女の体を優しく抱きしめた。
俺の腕の中でむせび泣く少女に
俺は心の中で何度も謝った。
微かに西の空を紅く照らしていた。
茜を先に帰らせて、
俺は1人屋上に残っていた。
ほんの数分前に、
茜を抱きしめた時の温もりが
まだ腕に残っていた。
俺は馬鹿だ。
気が付かなかった。
最近の茜の様子にも。
あの日、
屋上の扉の影からこちらを窺う2人の視線にも。
俺はまったく気付いていなかった。
目の前の現実に目を奪われ過ぎて
後ろが疎かになっていた。
あの日。
茜は俺の様子が普段と違うことに気付いて、
こっそり俺を見張っていたのだ。
俺の姿が屋上へ消えたのを確認して、
茜は閉まった扉の前で逡巡した。
そして。
意を決して扉を押した。
か弱い少女1人の力では重い鉄の扉を開けるのは
思った以上に重労働だった。
その時。
ふいに扉が軽くなった。
その理由はすぐにわかった。
茜が振り向くと、
そこには見たことのない大人の男が立っていた。
男は白髪のオールバックに
黒いサングラスをかけていて、
口髭を生やしていた。
男は人差し指を口に当てて
「しーっ」
と茜に合図した。
2人は僅かに開いた扉の隙間から
外の様子を窺った。
「あそこにいるのは君のお友達かい?」
小声で訊ねる男に茜はこくりと頷いた。
「大切なお友達なのかな?」
茜はもう一度頷いた。
次の瞬間、
俺がフェンスを乗り越えるのが見えて、
茜は驚きのあまり声を上げそうになった。
茜は俺が飛び降りると思ったらしい。
後ろの男の手が茜の口を塞いだ。
そして。
次に男が発した言葉は茜をさらに驚かせた。
「どうやら君のお友達は
『ひとごろし』のようだね。
『ひとごろし』は『しけい』だって
知ってるかい?」
茜は男の言葉の意味がわからなかった。
なぜフェンスを乗り越えただけで
『ひとごろし』になるのだろう。
首を傾げる茜に男はさらに言った。
「ついてきなさい。
彼が『ひとごろし』である証拠を
見せてあげよう」
茜は俺のことが気になったが、
男に促されるままに階段を下りた。
男は1階までくると靴を履き替えずに外へ出た。
男は人目を気にしているのか
周囲をキョロキョロと窺いながら
隠れるように校舎の壁に沿って歩いた。
茜は男の後ろに続いた。
しばらく進んだところで男の足が止まった。
茜が男の背後からそっと前を覗くと、
花壇に倒れている人間が見えた。
「きゃっ」
茜はすぐに男の背後へ隠れた。
そしてもう一度恐る恐る顔を出した。
花壇で倒れている人間が着ている服から
茜はその男がボス猿だと理解した。
「わかったかい。
君のお友達は猿田先生を
屋上から突き落としたんだよ」
男の言葉に茜は心臓が飛び出るほど驚いた。
その時。
「うぅぅ」という声が聞こえた。
声の主はボス猿だった。
茜は驚いて男の上着を掴んだ。
「おやおや、どうやらまだ息があるようだ」
「た、た・・す・・け・・」
ボス猿は苦しそうに喘いだ。
「ふぅ、困った」
そう言って男は首を捻った。
「君はお友達が
『しけい』になってもいいのかな?」
男は振り返って茜に尋ねた。
「この国では
『ひとごろし』は『しけい』
と相場が決まっているんだよ」
難しい話はわからないが、
茜も『しけい』という制度は知っていた。
茜の目から自然と涙がこぼれた。
「お友達を助けたいかい?」
男はしゃがみ込んで茜に目線を合わせた。
だが。
男の目はサングラスに隠れて見えなかった。
茜は涙を拭いながらこくりと頷いた。
「では私と『けいやく』しよう。
そうすれば君のお友達は助かる」
男は茜の耳元でそう囁いた。
茜は黙って頷いた。
男がゆっくりとボス猿に近づいていった。
「た、た・・す・・け・・」
息も絶え絶えにボス猿は言葉を発した。
男は倒れているボス猿の側に立って、
辺りを見回した。
そして近くに落ちていた花壇の煉瓦の欠片を
拾い上げると、
茜の見ている前で
それをボス猿の頭に叩きつけた。
2度、3度と叩きつける度に
花壇に鮮やかな鮮血が飛び散った。
「猿田先生が生きていたら、
君のお友達に不利になる。
こうするのが一番いいんだよ」
茜は恐怖のあまり声を出せなかった。
「これで君と私は『きょうはん』だ。
もしこのことが誰かに知れたら、
今度は君と私が『さつじんざい』で
『しけい』になる。
でも私に任せておけば心配することはない。
ただし。
『けいやく』を破ったら
君もお友達も大変なことになるからね。
忘れるんじゃないよ」
男はそう言って笑った。
そして男は茜に名前と学年、
そしてクラスを聞くと帰るように言った。
しかし。
茜は帰らなかった。
俺のことが心配で靴箱で待っていたのだ。
それからしばらくして
ボス猿の死は自殺として処理された。
さらに数日後、
登校した茜の靴箱に一枚の紙が入っていた。
『次は君が私との約束を果たす番だ。
放課後、
誰にも言わずに1人で屋上へ来なさい』
茜は紙に書かれた通り、
放課後1人で屋上へ向かった。
封鎖されたはずの扉がなぜか開いていた。
扉を開けると見覚えのある男がいた。
白髪のオールバックに黒いサングラス。
そして口髭。
男は茜に気付くと手を挙げた。
「誰にも見つかってないかい?」
茜は小さく頷いた。
男は扉を閉めてから茜を屋上の中央へ誘った。
そこには綺麗に畳まれた毛布があった。
男は毛布を広げると茜をその上に座らせた。
「これは『けいやく』だ。
君には拒む権利はない」
男はそう言うと茜を毛布の上に押し倒した。
突然のことに
茜は声をあげることすらできなかった。
恐怖で体が強張った。
耳元で男が
「大人しくしていたらすぐに終わるからね」
と囁いた。
下着が下ろされ、
足が開かれたと思うと男が侵入してきた。
瞬間、
下腹に激痛が走り茜の口から声が漏れた。
すぐに男の手が茜の口を塞いだ。
男が動くたびに鋭い痛みが体の奥を襲った。
茜は目を閉じてその痛みに耐えた。
徐々に男の動きが速くなり
それにつれて痛みも増した。
この激痛がいつまで続くのかと
意識が朦朧とし始めた時、
終わりは突然やってきた。
男の体が小さく震えて
茜の股の間を生温かいモノが濡らした。
男が茜の体から離れた。
「この痛みは『ばつ』だよ。
君が『ばつ』を受けることで
君の大切なお友達は救われる。
それにね。
人という生き物は痛みに慣れるんだよ。
そして痛みの先には快楽が待っている。
痛みと快楽は紙一重。
君もすぐにその快楽を知ることになる」
そう言って男は茜の頭を撫でた。
「さあ。
あとは『けいやく』について
もう少し話をしておこう」
男は呆然としている茜に淡々と語りかけた。
1つ。男との関係は誰にも言わないこと。
2つ。男との連絡は茜の靴箱を使用する。
男は茜に復唱させた。
茜は言われるがまま機械的に
男の言葉を繰り返した。
「君は誰かさんと違って素直な子だ」
最後に男は茜にそう言った。
茜の悪夢はこの日から始まった。
実際、
茜が何度男の欲望の犠牲になったのか
わからない。
茜も言わなかったし俺も聞けなかった。
俺はただ、
小さな少女の体を優しく抱きしめた。
俺の腕の中でむせび泣く少女に
俺は心の中で何度も謝った。
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