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八章 日暮れと死
第44話 日入(酉の刻)
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秀吉との対話を終えたボクは本宅を出た。
西の空が紅く色付いていた。
歩きながらボクは
先ほどの秀吉とのやり取りについて
考えを巡らせた。
推理合戦。
秀吉はなぜ突然
あんなことを言い出したのだろう。
いや。
これは作者である詠夢の意思なのか。
二人の探偵を戦わせることは
古今東西の推理小説において
読者を釣る格好の餌となる。
秀吉は
「和製シャーロック・ホームズと
現代版明智小五郎」
と言った。
一体、どちらががシャーロック・ホームズで
どちらが明智小五郎なのかわからないが、
自身を偉大なる名探偵に喩えるということは
余程その推理力に自信があるのだろう。
一方、ボクは・・。
無理矢理に探偵役を押し付けられた一般人。
そんなボクを名探偵と並べるのは
彼らに対して失礼すぎる。
それに。
『夜霧家の一族』
はさる高名な作家の
有名な作品をオマージュした推理小説のはずだ。
ならばここは金田一耕助という名を
出すべきではないのか、詠夢よ。
ボクは心の中でそう叫んだ。
酉の宅の前でボクは一度足をとめた。
そして視線を坤の宅の方へ向けた。
宅の主である五代は今、
本宅で夕食の支度をしている。
本来であれば
夜霧の後継者となるはずだった少女。
なぜ姫子が
あのような遺言状を書くに至ったのか。
事実を知った今では理解できた。
竹千代の娘である五代もまた
夜霧の血を受け継いでいたのだ。
しかし。
姫子は五代に相続させるという遺言状を撤回し、
弟である秀吉をその相続者とした
新たな遺言状を書いた。
その日付は
丁度、頼家が殺された日。
頼家の死で何か思うところがあったのか。
だが。
日付だけでは
書き直した時間が
頼家の死よりも前かそれとも後か判断できない。
そして。
その夜、姫子も殺された。
姫子はなぜ遺言状を書き直したのか?
そもそも。
初めに書いた遺言状の内容を発表した時、
なぜ姫子はその場で
五代の出自を明らかにしなかったのか。
もし五代が夜霧家の血を引く人間だと
説明していれば、
これまでの混乱は避けられたのではないか。
「リーリー。リーンリーン」
その時、
美しくも悲しげな虫の音が聞こえてきた。
ボクは大きく頭を振ってから戸口を開けた。
西の空が紅く色付いていた。
歩きながらボクは
先ほどの秀吉とのやり取りについて
考えを巡らせた。
推理合戦。
秀吉はなぜ突然
あんなことを言い出したのだろう。
いや。
これは作者である詠夢の意思なのか。
二人の探偵を戦わせることは
古今東西の推理小説において
読者を釣る格好の餌となる。
秀吉は
「和製シャーロック・ホームズと
現代版明智小五郎」
と言った。
一体、どちらががシャーロック・ホームズで
どちらが明智小五郎なのかわからないが、
自身を偉大なる名探偵に喩えるということは
余程その推理力に自信があるのだろう。
一方、ボクは・・。
無理矢理に探偵役を押し付けられた一般人。
そんなボクを名探偵と並べるのは
彼らに対して失礼すぎる。
それに。
『夜霧家の一族』
はさる高名な作家の
有名な作品をオマージュした推理小説のはずだ。
ならばここは金田一耕助という名を
出すべきではないのか、詠夢よ。
ボクは心の中でそう叫んだ。
酉の宅の前でボクは一度足をとめた。
そして視線を坤の宅の方へ向けた。
宅の主である五代は今、
本宅で夕食の支度をしている。
本来であれば
夜霧の後継者となるはずだった少女。
なぜ姫子が
あのような遺言状を書くに至ったのか。
事実を知った今では理解できた。
竹千代の娘である五代もまた
夜霧の血を受け継いでいたのだ。
しかし。
姫子は五代に相続させるという遺言状を撤回し、
弟である秀吉をその相続者とした
新たな遺言状を書いた。
その日付は
丁度、頼家が殺された日。
頼家の死で何か思うところがあったのか。
だが。
日付だけでは
書き直した時間が
頼家の死よりも前かそれとも後か判断できない。
そして。
その夜、姫子も殺された。
姫子はなぜ遺言状を書き直したのか?
そもそも。
初めに書いた遺言状の内容を発表した時、
なぜ姫子はその場で
五代の出自を明らかにしなかったのか。
もし五代が夜霧家の血を引く人間だと
説明していれば、
これまでの混乱は避けられたのではないか。
「リーリー。リーンリーン」
その時、
美しくも悲しげな虫の音が聞こえてきた。
ボクは大きく頭を振ってから戸口を開けた。
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