残春はさ迷える子羊達のコンチェルト

Mr.M

文字の大きさ
16 / 114
第3楽章

第16話 8人目の参加者

しおりを挟む
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。

「・・そ、それよりも。
 ・・あ、あの死体は誰ですか?」
ふいに六条が恐る恐る口を開いた。
「恐らく。
 あの死体の男が
 8人目の参加者だったんじゃないか」
西岡は招待客ではなく
参加者という言葉を使った。
「ちょっと待ってよ。
 アタシはこんなゲームに
 参加したつもりはないわよ?」
菅野が不満を口にした。
「わ、わたしだって!
 お、同じです!
 何をさせられるか知っていたら
 こんな所には来ませんでした!」
六条がそれに続いた。
「儂もこんなくだらんゲームには参加せんぞ!」
宮崎も声を荒げた。
「・・残念だが。
 実際、すでに1人死んでるんだ。
 ゲームはすでに始まってるんだぜ」
西岡の言葉が虚しく響いた。

「2階で亡くなっていた方が
 8人目の参加者だとして・・。
 その方はいつ殺されたのでしょうか・・」
佐藤がポツリと疑問を口にした。
「それに関して
 1つ確認したいんだが、
 あの男の存在を知っていた奴はいるか?」
西岡がふたたび口を開いた。
皆がお互いの顔を窺いつつ首を振った。
「ふうん。
 ま、いいか」
西岡はそれ以上の追求をしなかった。
「じゃあここに到着した順番を教えてくれ」
代わりに西岡はそんなことを言った。
「俺が着いた時、
 この部屋にはすでに4人がいた。
 その中にはあの男はいなかった。
 俺より後に来たのは、
 あんたとそれからあんただな」
そして西岡は六条と僕を指差した。
僕達は軽く頷いた。

「儂が最初にここに着いたが、
 その時、この部屋には誰もいなかったぞ」
宮崎はそう言って大袈裟に手を挙げた。
「その次は私達でしょうか?」
佐藤が手を挙げて平原の方を窺った。
平原が静かに頷いた。
「そうだねぇ。
 偶然門の前で会ったからねぇ」
「次はアタシかな?
 それより。
 これで何がわかるのよ?」
菅野が面倒くさそうに答えた。
「くっくっく。
 まだわからないのか?
 あの男を殺せたのは1人しかいないんだよ」
西岡がニヤリと口元を歪めた。
皆の顔に緊張が走った。

「だ、誰なんですか!
 誰が殺したんですか!」
六条が震える声で叫んだ。
「・・あの男を殺せたのは、
 少なくとも今ここにいる人間の中では
 一番最初にここに到着した者だけだ」
そして西岡は宮崎の方を指差した。
皆の視線が宮崎に集まった。
「ま、待て、待て!
 な、何で儂が見ず知らずの男を
 殺さなくちゃならんのだ!」
宮崎が慌てて弁解した。
「それはアンタがこのゲームの【犯人】だから。
 じゃないの?」
菅野の言葉が無情に響いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...