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日常
発熱
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季節の変わり目が訪れて、三寒四温とまではいかないが、不安定な気候が続く。九条はここ数日、喉の痛みと頭痛に悩まされて、遂には発熱してしまった。
「陽向ごめん、今日病院行ってくるから、仕事がんばってね」
「うん、なんかあったら電話してね、じゃ」
この広い家に1人となるとどことなく心が寂しい。
予約時間前まで寝てから、しんどい身体を持ち上げ病院へ向かった。
検査の結果《PCR陽性》だった。
~~翌日
今日は一ノ瀬が家にいる。濃厚接触者として自宅待機を会社から命令された。申し訳なさでいっぱいだった。
「陽向、ごめぇん」
弱々しい声を布団の中から放つ。普段1つのベッドで2人で寝ているため、感染を防ぐために、九条の荷物の中にあった布団を1つの部屋に広げて寝ていた。
「昨日さ、新しく女性が異動してきたんだけど、その人に(一ノ瀬さんって九条さんと同棲してるの?)って聞かれたんだけど、多分他の社員の差金だと思うけど、どう答えればよかった?」
「え?なんて答えたの?」
「してないって答えといた。」
九条は胸を撫で下ろし、大人しく布団を掛け直す。九条は同棲がバレたら恥ずかしいし、何より男同士ということで変な噂をされるのが嫌だった。
「響はさ、僕と同棲してるって知られるの嫌なの?」
「だって恥ずかしいじゃん」
「僕は全然公表してもいいけどね」
「………ゴホッゴホッ」
咳が嫌な音をたてる。喉の奥が焼けるように痛む。
「ごめん、ちゃんと寝ときます。」
一ノ瀬は心配そうに九条の顔を見つめた後部屋を出ていった。
つくづく申し訳ないと思う。
日が落ち、窓から差し込む光が日の光から月明かりに変わっていく。暗くなり、何の音もない環境。九条の熱はかなり下がったが、まだ微熱はあり、行動するにはしんどいくらいだった。
ビル街から少し離れた所にあるこの家からは星がちらほらと見える。子供の頃、インフルエンザが治りかけのときの記憶が蘇ってくる。誰の声も聞こえない静かな自室で不思議と頭がスッキリとしていた。だが、数日続いた高熱でメンタルだけは脆くなっていた。
一ノ瀬は高身長でイケメンで金持ちだ。その気になれば彼女の1人や2人ぐらい簡単に作れるはずだ。未だに一ノ瀬が男で低身長な俺と一緒に過ごす理由が分からない。会社の社員にも可愛い人はたくさんいるし、そのほとんどは一ノ瀬のことが好きだ。
自分に魅力がないことを今の今まで忘れていた。今までの彼女からは、「話がおもんない」「顔がタイプじゃない」「重い」「勢いで付き合った」など、全て相手から振られている。自尊心を削られメンタルがボロボロになった時に助けてくれたのが小平陽菜だ。明るい話し方が俺の心を照らしてくれた。サッパリとした性格で物事ははっきり言うタイプの人だった。この人のためなら、命だって投げ出せると思っていた。まさかそんな相手が自分以外の男に猫撫で声で甘えているなんて思いもしなかった。
人間として終わってる俺に一ノ瀬は優しく微笑みかけてくれる。心が洗われて閉ざしていた心が開き始めた。それでも…
九条は信用できなかった。裏切られるのに慣れてしまったがために人を信用することが怖くなっていた。自分の中に溢れる「好き」という気持ちを押し殺して生きていく。そういう覚悟を決めたはずだったのに……
生ぬるい涙が月光を受けて煌めきながら枕に注ぐ。
感情を塞いでいた栓が緩くなっていろんなものが溢れ出して来た。
ガチャっと小さな音を立てて扉が開く。
「響、食欲ある?」
心配そうな声がきこえる。部屋の外の光で一ノ瀬の顔はよく見えなかった。
涙は拭っても拭ってもまた溢れる。
「響泣いてんの?どした?」
「…陽向はさ、、なんで俺なの?」
「ん?何言ってんの?夢でも見てる?」
九条は一ノ瀬に飛びかかりベッドの上に押し倒した。
無言で一ノ瀬の胸に頭を押し付ける。
一ノ瀬は九条のことばの意味をやっと理解して優しく九条を包む。
しかし九条はその手を払いのけてベッドに両手で押さえつけた。九条の息が耳にかかる。
「ッッッ!!!???」
一ノ瀬の耳から全身に衝撃が走った。舌を奥深くまで挿し込まれる。発熱している九条の舌は熱気を纏っていて感覚が鋭くなる。少し舌が入るだけでみぞおちから腰までの筋肉が反応してしまう。
しかし、ここで九条を拒絶してしまうと、また肯定感を下げてしまうと思い、それができなかった。
「ッッん」
熱い唾液が耳の中で音を立て、九条の息は常に耳にかかりすぐ続ける。
「陽向、どこにもいくなよ」
男が喘ぐのは下品だと思った。一ノ瀬にできたのは、ひたすらに声を我慢することだけだった。
時間が経ち、九条は力尽きて一ノ瀬の上で寝てしまった。小柄な九条が上にいても、圧迫感はなかった。
一方、一ノ瀬は火照る体でベッド上に投げ出している。
スースーと気持ちよさそうな九条の寝息を聞いたまま、眠ってしまった。
「陽向ごめん、今日病院行ってくるから、仕事がんばってね」
「うん、なんかあったら電話してね、じゃ」
この広い家に1人となるとどことなく心が寂しい。
予約時間前まで寝てから、しんどい身体を持ち上げ病院へ向かった。
検査の結果《PCR陽性》だった。
~~翌日
今日は一ノ瀬が家にいる。濃厚接触者として自宅待機を会社から命令された。申し訳なさでいっぱいだった。
「陽向、ごめぇん」
弱々しい声を布団の中から放つ。普段1つのベッドで2人で寝ているため、感染を防ぐために、九条の荷物の中にあった布団を1つの部屋に広げて寝ていた。
「昨日さ、新しく女性が異動してきたんだけど、その人に(一ノ瀬さんって九条さんと同棲してるの?)って聞かれたんだけど、多分他の社員の差金だと思うけど、どう答えればよかった?」
「え?なんて答えたの?」
「してないって答えといた。」
九条は胸を撫で下ろし、大人しく布団を掛け直す。九条は同棲がバレたら恥ずかしいし、何より男同士ということで変な噂をされるのが嫌だった。
「響はさ、僕と同棲してるって知られるの嫌なの?」
「だって恥ずかしいじゃん」
「僕は全然公表してもいいけどね」
「………ゴホッゴホッ」
咳が嫌な音をたてる。喉の奥が焼けるように痛む。
「ごめん、ちゃんと寝ときます。」
一ノ瀬は心配そうに九条の顔を見つめた後部屋を出ていった。
つくづく申し訳ないと思う。
日が落ち、窓から差し込む光が日の光から月明かりに変わっていく。暗くなり、何の音もない環境。九条の熱はかなり下がったが、まだ微熱はあり、行動するにはしんどいくらいだった。
ビル街から少し離れた所にあるこの家からは星がちらほらと見える。子供の頃、インフルエンザが治りかけのときの記憶が蘇ってくる。誰の声も聞こえない静かな自室で不思議と頭がスッキリとしていた。だが、数日続いた高熱でメンタルだけは脆くなっていた。
一ノ瀬は高身長でイケメンで金持ちだ。その気になれば彼女の1人や2人ぐらい簡単に作れるはずだ。未だに一ノ瀬が男で低身長な俺と一緒に過ごす理由が分からない。会社の社員にも可愛い人はたくさんいるし、そのほとんどは一ノ瀬のことが好きだ。
自分に魅力がないことを今の今まで忘れていた。今までの彼女からは、「話がおもんない」「顔がタイプじゃない」「重い」「勢いで付き合った」など、全て相手から振られている。自尊心を削られメンタルがボロボロになった時に助けてくれたのが小平陽菜だ。明るい話し方が俺の心を照らしてくれた。サッパリとした性格で物事ははっきり言うタイプの人だった。この人のためなら、命だって投げ出せると思っていた。まさかそんな相手が自分以外の男に猫撫で声で甘えているなんて思いもしなかった。
人間として終わってる俺に一ノ瀬は優しく微笑みかけてくれる。心が洗われて閉ざしていた心が開き始めた。それでも…
九条は信用できなかった。裏切られるのに慣れてしまったがために人を信用することが怖くなっていた。自分の中に溢れる「好き」という気持ちを押し殺して生きていく。そういう覚悟を決めたはずだったのに……
生ぬるい涙が月光を受けて煌めきながら枕に注ぐ。
感情を塞いでいた栓が緩くなっていろんなものが溢れ出して来た。
ガチャっと小さな音を立てて扉が開く。
「響、食欲ある?」
心配そうな声がきこえる。部屋の外の光で一ノ瀬の顔はよく見えなかった。
涙は拭っても拭ってもまた溢れる。
「響泣いてんの?どした?」
「…陽向はさ、、なんで俺なの?」
「ん?何言ってんの?夢でも見てる?」
九条は一ノ瀬に飛びかかりベッドの上に押し倒した。
無言で一ノ瀬の胸に頭を押し付ける。
一ノ瀬は九条のことばの意味をやっと理解して優しく九条を包む。
しかし九条はその手を払いのけてベッドに両手で押さえつけた。九条の息が耳にかかる。
「ッッッ!!!???」
一ノ瀬の耳から全身に衝撃が走った。舌を奥深くまで挿し込まれる。発熱している九条の舌は熱気を纏っていて感覚が鋭くなる。少し舌が入るだけでみぞおちから腰までの筋肉が反応してしまう。
しかし、ここで九条を拒絶してしまうと、また肯定感を下げてしまうと思い、それができなかった。
「ッッん」
熱い唾液が耳の中で音を立て、九条の息は常に耳にかかりすぐ続ける。
「陽向、どこにもいくなよ」
男が喘ぐのは下品だと思った。一ノ瀬にできたのは、ひたすらに声を我慢することだけだった。
時間が経ち、九条は力尽きて一ノ瀬の上で寝てしまった。小柄な九条が上にいても、圧迫感はなかった。
一方、一ノ瀬は火照る体でベッド上に投げ出している。
スースーと気持ちよさそうな九条の寝息を聞いたまま、眠ってしまった。
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もっと官能的な小説にして欲しいです
心情描写が多く、重厚感のある作品です。
まだ分からんね。