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下の階に家族がいるのすっかり忘れてたよね。
部屋には俺とジルの事後の匂いが充満してて、いたたまれなくなる。
とにかくお互い体を拭いて服を整えて、窓を開けて換気する。
窓閉まってたのが唯一の救い。でないと絶対に声聞こえてる。ジルとの行為に夢中になってて、その辺のことは何も考えてなかった。というか、考えられなかった。
どんな顔して下に降りよう……。
でかいソファーに行儀悪く寝っ転がってぼんやりと天井を見つめてた。
この部屋に入った時はジルしか見えてなかったから、改めて室内の様子に目をやる。
母屋や階下と比べると、とてもシンプルだった。
当然広さは充分にあるが、置かれている家具も装飾の少ないものばかりだ。壁にはどこかの風景が描かれた絵が一枚だけ。
寝台もこれまたデカくて天蓋付き。
いかに自分がジル以外見ていなかったのがよく分かる。
扉をノックする音が響いて、俺は勢いよく体を起こして姿勢良く座り直した。
誰が相手でも好印象は大事だ。特に愛しい人の関係者の前では。
対面のソファーに座っていたジルはそんな俺に笑みを向けながら、入室を許可する。入って来たのはカートを押した年配のメイドさんだった。
無言のままテーブルにお茶の準備をして、一礼して去って行った。
いつの間にお茶頼んだの? 全く気付かなかった。
しかも今の人、絶対に分かったよね? 俺達がナニかしてたの。窓開けてからそんなに時間が経ってないもの。
うわー!
「気にしなくていい。冷めないうちに飲め」
両手で顔をおおって、声には出さずに心の内で羞恥に耐えてたらジルがそう言った。
「俺は気になる」
「ふふ。そうか。まあ、そのうち慣れる。というか、慣れてもらわないとな」
「ん? なんで?」
ジルはお茶を一口飲んで、手に持っていたソーサーにカップを置いた。そしてちょっと間を置いてからソーサーごとカップをテーブルに戻すと、真っすぐに俺を見てきた。
「しばらく、ここで働かないか?」
「へ?」
予想もしなかった言葉に、間抜けな声が出てしまった。
そんな俺とは対照的に、ジルは真剣な表情だった。
「冤罪が晴れたとは言え、一度は警備隊に目をつけられたからな。この件が落ち着くまでは安心できない。俺やディランがいればそんなことは絶対にさせないが、今回のように王都を離れてしまうと難しい」
確かに、平民の俺がどんなに声を大きくして叫んだところで、あいつらが有罪だと決めつけたら太刀打ちできない。犯人が捕まってないから、焦って何を言い出すか分かったものじゃない。
あのジメジメと暗く汚い独房と、連れて行かれた地下牢の男達を思い出して、俺は全身に鳥肌が立った。
嫌だ。
あんなところにはもう二度と入りたくない。
――でも。
俺がここで働くということは、ジルの使用人になるということ。
下級の貴族出身でもない俺は当たり前だが一番の下っ端だろう。屋敷にやって来る貴族達の目に触れないように極力表には出ず、ひたすら裏でゴミの処理や汚れ仕事をする。仕事に対しての偏見はあまり持ってないつもりだが、そんな姿をジルに見せるのかと思うと、やっぱりそれは嫌だ。
考え込んでしまった俺にジルは苦笑した。
「そんなに難しく考えなくていい。ほとぼりが冷めるまでだ。それにエリーにきつい仕事をさせるつもりはない。使用人というのもあくまで表向きだ」
「表向き……」
「うん。正直に言えばエリーがうちにいてくれた方が俺が安心するし、嬉しい」
「うれ……しい……」
お、俺だってこんな近い場所で、いつもジルの姿を見れるのは嬉しいに決まっている!
「今までは団の宿舎に泊まる方が多くてあまり家には帰ってなかったんだが、エリーがいると思うと仕事が残ってても帰ってしまうだろうな。ディランに嫌味を言われそうだ」
可笑しそうに言うジル。
なにやら胸の内がくすぐったくなってきた。
そうか。
仕事の内容はハッキリしないけど、ここにいればジルと過ごす時間が増えるのか。
帰って来たジルを出迎えて、その日にあった他愛もないことを話して、夜は――。
あれ?
夫婦みたいじゃない?
それに思い至ると一気に顔が熱くなった。
「エリー、急に顔が赤くなったが大丈夫か?」
「だ、大丈夫。気にしなくていい」
訝しむジルにそう返すが、心臓は全然大丈夫じゃない。心拍数がすごいことになってる。
とにかくお茶を飲んで落ち着こう。
少し冷めて、丁度良い温度になったお茶は本当に美味しかった。
ジルの家のお茶なんだから当然高級品だろうけど、ディランさんのところで飲んでいたものよりも香りが強くて深い。ホッとするというより頭がスッキリする感じ。
「まあ、それに。俺もいつまでも親のそばにいるわけではないしな」
「うん?」
「仕事を優先したくてダラダラと家にいたわけだが、そろそろ、それ以外のことも本格的に実行しようと思ってな。そう遠くないうちに家を出るつもりだ」
「それって……」
誰かと結婚して身を固めるってこと?
浮ついた気持ちが地面に叩きつけられたみたいに一気に沈む。
「ん? ああ、見合いはしないし、どこかの令嬢と結婚もしない。そういうことではなく、きちんと区切りやけじめをつけたくてね」
それは例えば貴族として、とか。騎士団長として、とかなのかな?
そのあたりのことは俺にはよく分からないことだから、曖昧に頷く。
「それと、エリーの家族のことだが、こちらも安全が確認できるまではうちの護衛を近くに付ける予定だ」
「え? それはありがたいけど、いいの?」
「何かあってからでは遅いからな。用心するにこしたことはない」
ジルが、俺と俺の家族を守ろうとする気持ちがすごく嬉しい。
先のことは分からないし、今回みたいに任務でジルが危険な目に合うかもしれない。やっぱり、誰かと結婚するかもしれない。
でも。
それでも。
俺は俺の立場で、出来る限りジルのそばにいたい。
温もりを感じたい。
ずっと声を聞いていたい。
不透明な行先に対して不安や恐怖はあるけど、今出来ることをやりたいと思う。
これはジルが怪我したり、俺が捕まったりしてなければ考えなかっただろう。
追い詰められた状態になって初めて、大切なことや本質、優先順位なんかがしっかりと形を出してくる。
自分の本当の気持ちも。
俺の一番の望みは、少しでも長くジルといること。
だから――。
「ジル。いつまでになるかは分からないけど、しばらくお世話になります」
そう言ってペコリと頭を下げた俺に、ジルは心底嬉しそうな笑顔で頷いた。
部屋には俺とジルの事後の匂いが充満してて、いたたまれなくなる。
とにかくお互い体を拭いて服を整えて、窓を開けて換気する。
窓閉まってたのが唯一の救い。でないと絶対に声聞こえてる。ジルとの行為に夢中になってて、その辺のことは何も考えてなかった。というか、考えられなかった。
どんな顔して下に降りよう……。
でかいソファーに行儀悪く寝っ転がってぼんやりと天井を見つめてた。
この部屋に入った時はジルしか見えてなかったから、改めて室内の様子に目をやる。
母屋や階下と比べると、とてもシンプルだった。
当然広さは充分にあるが、置かれている家具も装飾の少ないものばかりだ。壁にはどこかの風景が描かれた絵が一枚だけ。
寝台もこれまたデカくて天蓋付き。
いかに自分がジル以外見ていなかったのがよく分かる。
扉をノックする音が響いて、俺は勢いよく体を起こして姿勢良く座り直した。
誰が相手でも好印象は大事だ。特に愛しい人の関係者の前では。
対面のソファーに座っていたジルはそんな俺に笑みを向けながら、入室を許可する。入って来たのはカートを押した年配のメイドさんだった。
無言のままテーブルにお茶の準備をして、一礼して去って行った。
いつの間にお茶頼んだの? 全く気付かなかった。
しかも今の人、絶対に分かったよね? 俺達がナニかしてたの。窓開けてからそんなに時間が経ってないもの。
うわー!
「気にしなくていい。冷めないうちに飲め」
両手で顔をおおって、声には出さずに心の内で羞恥に耐えてたらジルがそう言った。
「俺は気になる」
「ふふ。そうか。まあ、そのうち慣れる。というか、慣れてもらわないとな」
「ん? なんで?」
ジルはお茶を一口飲んで、手に持っていたソーサーにカップを置いた。そしてちょっと間を置いてからソーサーごとカップをテーブルに戻すと、真っすぐに俺を見てきた。
「しばらく、ここで働かないか?」
「へ?」
予想もしなかった言葉に、間抜けな声が出てしまった。
そんな俺とは対照的に、ジルは真剣な表情だった。
「冤罪が晴れたとは言え、一度は警備隊に目をつけられたからな。この件が落ち着くまでは安心できない。俺やディランがいればそんなことは絶対にさせないが、今回のように王都を離れてしまうと難しい」
確かに、平民の俺がどんなに声を大きくして叫んだところで、あいつらが有罪だと決めつけたら太刀打ちできない。犯人が捕まってないから、焦って何を言い出すか分かったものじゃない。
あのジメジメと暗く汚い独房と、連れて行かれた地下牢の男達を思い出して、俺は全身に鳥肌が立った。
嫌だ。
あんなところにはもう二度と入りたくない。
――でも。
俺がここで働くということは、ジルの使用人になるということ。
下級の貴族出身でもない俺は当たり前だが一番の下っ端だろう。屋敷にやって来る貴族達の目に触れないように極力表には出ず、ひたすら裏でゴミの処理や汚れ仕事をする。仕事に対しての偏見はあまり持ってないつもりだが、そんな姿をジルに見せるのかと思うと、やっぱりそれは嫌だ。
考え込んでしまった俺にジルは苦笑した。
「そんなに難しく考えなくていい。ほとぼりが冷めるまでだ。それにエリーにきつい仕事をさせるつもりはない。使用人というのもあくまで表向きだ」
「表向き……」
「うん。正直に言えばエリーがうちにいてくれた方が俺が安心するし、嬉しい」
「うれ……しい……」
お、俺だってこんな近い場所で、いつもジルの姿を見れるのは嬉しいに決まっている!
「今までは団の宿舎に泊まる方が多くてあまり家には帰ってなかったんだが、エリーがいると思うと仕事が残ってても帰ってしまうだろうな。ディランに嫌味を言われそうだ」
可笑しそうに言うジル。
なにやら胸の内がくすぐったくなってきた。
そうか。
仕事の内容はハッキリしないけど、ここにいればジルと過ごす時間が増えるのか。
帰って来たジルを出迎えて、その日にあった他愛もないことを話して、夜は――。
あれ?
夫婦みたいじゃない?
それに思い至ると一気に顔が熱くなった。
「エリー、急に顔が赤くなったが大丈夫か?」
「だ、大丈夫。気にしなくていい」
訝しむジルにそう返すが、心臓は全然大丈夫じゃない。心拍数がすごいことになってる。
とにかくお茶を飲んで落ち着こう。
少し冷めて、丁度良い温度になったお茶は本当に美味しかった。
ジルの家のお茶なんだから当然高級品だろうけど、ディランさんのところで飲んでいたものよりも香りが強くて深い。ホッとするというより頭がスッキリする感じ。
「まあ、それに。俺もいつまでも親のそばにいるわけではないしな」
「うん?」
「仕事を優先したくてダラダラと家にいたわけだが、そろそろ、それ以外のことも本格的に実行しようと思ってな。そう遠くないうちに家を出るつもりだ」
「それって……」
誰かと結婚して身を固めるってこと?
浮ついた気持ちが地面に叩きつけられたみたいに一気に沈む。
「ん? ああ、見合いはしないし、どこかの令嬢と結婚もしない。そういうことではなく、きちんと区切りやけじめをつけたくてね」
それは例えば貴族として、とか。騎士団長として、とかなのかな?
そのあたりのことは俺にはよく分からないことだから、曖昧に頷く。
「それと、エリーの家族のことだが、こちらも安全が確認できるまではうちの護衛を近くに付ける予定だ」
「え? それはありがたいけど、いいの?」
「何かあってからでは遅いからな。用心するにこしたことはない」
ジルが、俺と俺の家族を守ろうとする気持ちがすごく嬉しい。
先のことは分からないし、今回みたいに任務でジルが危険な目に合うかもしれない。やっぱり、誰かと結婚するかもしれない。
でも。
それでも。
俺は俺の立場で、出来る限りジルのそばにいたい。
温もりを感じたい。
ずっと声を聞いていたい。
不透明な行先に対して不安や恐怖はあるけど、今出来ることをやりたいと思う。
これはジルが怪我したり、俺が捕まったりしてなければ考えなかっただろう。
追い詰められた状態になって初めて、大切なことや本質、優先順位なんかがしっかりと形を出してくる。
自分の本当の気持ちも。
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だから――。
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