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あの騒動から一年経ち、俺はまだ表向きは使用人としてジルのそばにいた。
世間が劇的に変わったかというと、全くそんなことは無く、今まで通りだと思う。
急激な変化だと、それは革命だよとジルに笑われた。変化というのはじわじわと起こるものらしい。気が付いたら、変わっていた。そんな感じなんだって。俺にはよく分からない。
少なくとも、俺には目に見えての変化があった。
離れの屋敷を出たのだ。
ジルの家が王都内に所有している屋敷の一つをもらい受け、俺達はそこに住むようになった。
いまだに人に仕えられることに慣れない俺のために、離れで働いていた使用人さん全員を連れ、家全体の管理・監督をする執事長のジョスランさんも一緒に。
ジルの実家には家令さんや複数の執事さんがいるから、ジョスランさんがこっちに来ても大丈夫なんだって。
そのジョスランさんや、仲良くなった使用人さん達に聞かされたのが、このお屋敷にまつわる怖い話だ。
ここ、いわくつきだった。
ちょっと、怖い。
あんまりそういうのは得意じゃないんだよね。でも気になるから聞いちゃうんだけどさ。
このお屋敷って百年くらい前に建てられたんだって。確かに初めて見た時に、様式とか少し古いなとは思ったんだよね。
ふふん。日々積み重ねたお勉強の成果か。ものの違いがちょこっと分かるようになってきた。
で、建物の全体の大きさは前にいた離れと変わらないくらい。まあ俺から見たらめちゃくちゃ広くて大きくて、部屋数も多いのだけど。庭も結構広大で、敷地内にちょっとした林のような場所がある。その林の中に小ぶりな家がある。もうだいぶ古くはなってるけど、まだ充分に使えそうなやつ。
屋敷よりも、この林にある家の方にいわくがあるそうだ。
ジルがここを選んだ理由としては、王城にまあまあ近くて貴族の屋敷が並ぶ地区からは少し離れていて、静かに過ごせるだろうと思ったからだそうだ。いわくはもちろん知っているが、ジルは気にしないらしい。逆にジルに気になるかと聞かれて、正直に答えたら、この家には常に使用人がいるから怖くないし、林の方に近づかなければ大丈夫だと言われた。
そうか。それはそうだ。近づかなければいいのか。と、納得したわけなのだが。
そのいわくというのが、夜中になると林の方から女性の叫び声が聞こえるというものだった。
この屋敷を建てたのは、当時まだ公爵家だった頃のご当主で、なかなかの女性好きだったらしい。
身分問わず、気に入った女性がいるとこの屋敷で囲っていた。
執着も強かったようで、公爵の目を盗んで他の男と関係を持った女性なんかが、あの林の家に監禁されて折檻を受けていた。なかにはそれが原因で亡くなってしまった人もいた。それも一人や二人じゃない。
たくさんの女性にたくさんの子供を産ませた公爵様は、美しい平民が産んだ子供を後継ぎとした。その他の子供達は全て、病死や戦死、事故死で儚くなったと記録されている。
しかも、さらにその子供。女好き当主から見れば孫が、国家転覆を企てたとして処刑。そして爵位を下げられた。
お家断絶されなかったのはそれまでの功績が大きかったからで、特に外交手腕が素晴らしかったそうだ。
ちなみに女好き当主の正妻はとても静かな人だったけれど、ある日突然奇声を上げたり暴れるようになってしまって、あの監禁部屋にいれられたらしい。
夜中に聞こえる女性の叫びは正妻のものに良く似ているという。
本当に声が聞こえるのか確かめてみたい気もするけど、聞こえたらものすごく怖いから実行する勇気はない。
本来ならもっと早くにここに越して来れたんだけど、意外にもジルのご両親に気に入られてしまって……。
特に奥様(本人にはお義母様と呼ぶように言われてるので、会った時はそう呼ぶようにしている)に。
初めて会った時は、予想した通りジルのお兄さんは母親似だと確信した瞬間だった。
色白で色味の薄い金髪は高く結い上げ、薄紫の瞳は俺に対する興味で輝いていた。まるで少女のような伯爵夫人だった。ちなみに旦那様はジルそっくり! 誰が見ても親子だと分かる。若干ジルのが体格が大きいくらい。ジルが歳をとったら、あんな感じになるんだろうなぁ。シブくてイケオジ。
奥様とはお茶や敷地内にある庭園での散歩をよくご一緒し、お忍びでの買い物にも頻繁に連れて行かれた。俺が屋敷から出るのを最後まで嫌がっていた人でもある。
いや。俺としてはご両親に良く思われるのは純粋に嬉しいし、そこには感謝しかない。でも、俺を置いてジルだけ出ろと言ったのはさすがに困った。
旦那様やお兄様が説得してくれて、やっとここに来れたわけだ。
引っ越してまだ間がないけど奥様のご機嫌伺いに、近いうちにお屋敷に行くつもりだ。
自分の親だけでなく、相手の親も大事にしたいからね。
俺はまだまだ勉強中の身。貴族社会での知識が一年くらいで身につくわけがない。
でもジルの親しい人達には恋人認定されてる。
数人の貴族に引き合わされて、その時に俺を恋人だと紹介したから。その時はもう、気恥ずかしいのもあったけど、心の中で(平民の俺がスミマセン!)て叫んでたから、あんまり顔を上げられなかったね。
そんな俺を見て誰かが可愛らしいとか呟いてたけど、止めて。
いたたまれなくなるから、止めて。
そんな慌ただしい毎日を送っていたある日。
明日は休みだというジルと、夕食後のお茶を飲んでいた。
「毎朝、エリーが焼いてくれたパンが食べられたらなぁ」
「パン?」
なんだか、ジルがしみじみと言った。
俺の頭の中はこの後にするだろう、エッロいことしか無かったからちょっと面食らった。
「あ、ああ……。パン屋で働いていただろ? 食べてみたいとずっと思っていたんだ」
「いいね! 俺も久しぶりに焼きたくなってきた! どんなのが良い?」
「どんなの……。シンプルなのが好きだが、エリーが作ってくれるものなら、なんだって良いな」
「え――。なんでもいいってのが一番困る。……そうだ! 色んな種類のをたくさん焼いて、屋敷の皆にも食べてもらおう! それだったら、ジルも好きなのが選べるだろ?」
「いや、そういう意味……。いやいや、そうだな。楽しそうだ」
何故かジルはちょっと戸惑ったような表情になったけど、すぐに笑顔になった。
心なしか肩を落としているように見えるのは気のせいか?
どうしたんだ?
何かいけなかったかな?
それよりも、何を作るかで俺の頭は忙しくなった。
普段の食事に出てくる白くて柔らかいパンは、貴族や裕福な家でしか食べない。平民はもっと混ざりものの多い硬いやつを食べる。ジルのとこに来てからそれを食べてないから、自分用に焼こうかな。
それから砂糖をまぶしたやつとか、乾燥フルーツを入れたのと、パイ生地のようにサクサクのやつと……。
「……あ」
俺としたことが、考えに没頭しててジルのこと忘れてた。
せっかく二人でのんびりできる大切な時間だったのに。
「ごめん、ジル。パンのことばっかり考えてた」
「いや、大丈夫だ。真剣に考えているエリーも可愛かった」
「や……それはどうだろう……」
そんなのを可愛いと言われても、どう反応すればいいか分からない。
喜ぶべき? お礼言うとか?
それはちょっと違うよな。
「エリー」
すっとジルの腕が俺に向かって伸ばされる。
これはおいで、の合図。俺は席を立ち、ジルの膝の上に向かい合って座る。
そのまま、唇を触れさせるだけのキスを数回。
「どうか、これからもずっと、そばにいてほしい」
「うん。もう自分からは離れないよジル」
見つめ合って。キスをして。
永遠の誓いのように。
これから先、何か色々起こるんだろうけど、いつも自分の気持ちには正直でいたいと思う。
一緒にいたい。
俺の正直で本当の気持ち。
それに応えてくれる相手がいる幸せ。
全部を大切にしていきたい。
あれ?
さっきジルが言った、俺が焼いたパンが食べたいって台詞。もしかして平民の求婚常套句の真似した?
常套句すぎて、もはや使う人がいないやつだよ。
分かりにくいよ、ジル。
まあ、そういうところも含めて、大好きだよ。
世間が劇的に変わったかというと、全くそんなことは無く、今まで通りだと思う。
急激な変化だと、それは革命だよとジルに笑われた。変化というのはじわじわと起こるものらしい。気が付いたら、変わっていた。そんな感じなんだって。俺にはよく分からない。
少なくとも、俺には目に見えての変化があった。
離れの屋敷を出たのだ。
ジルの家が王都内に所有している屋敷の一つをもらい受け、俺達はそこに住むようになった。
いまだに人に仕えられることに慣れない俺のために、離れで働いていた使用人さん全員を連れ、家全体の管理・監督をする執事長のジョスランさんも一緒に。
ジルの実家には家令さんや複数の執事さんがいるから、ジョスランさんがこっちに来ても大丈夫なんだって。
そのジョスランさんや、仲良くなった使用人さん達に聞かされたのが、このお屋敷にまつわる怖い話だ。
ここ、いわくつきだった。
ちょっと、怖い。
あんまりそういうのは得意じゃないんだよね。でも気になるから聞いちゃうんだけどさ。
このお屋敷って百年くらい前に建てられたんだって。確かに初めて見た時に、様式とか少し古いなとは思ったんだよね。
ふふん。日々積み重ねたお勉強の成果か。ものの違いがちょこっと分かるようになってきた。
で、建物の全体の大きさは前にいた離れと変わらないくらい。まあ俺から見たらめちゃくちゃ広くて大きくて、部屋数も多いのだけど。庭も結構広大で、敷地内にちょっとした林のような場所がある。その林の中に小ぶりな家がある。もうだいぶ古くはなってるけど、まだ充分に使えそうなやつ。
屋敷よりも、この林にある家の方にいわくがあるそうだ。
ジルがここを選んだ理由としては、王城にまあまあ近くて貴族の屋敷が並ぶ地区からは少し離れていて、静かに過ごせるだろうと思ったからだそうだ。いわくはもちろん知っているが、ジルは気にしないらしい。逆にジルに気になるかと聞かれて、正直に答えたら、この家には常に使用人がいるから怖くないし、林の方に近づかなければ大丈夫だと言われた。
そうか。それはそうだ。近づかなければいいのか。と、納得したわけなのだが。
そのいわくというのが、夜中になると林の方から女性の叫び声が聞こえるというものだった。
この屋敷を建てたのは、当時まだ公爵家だった頃のご当主で、なかなかの女性好きだったらしい。
身分問わず、気に入った女性がいるとこの屋敷で囲っていた。
執着も強かったようで、公爵の目を盗んで他の男と関係を持った女性なんかが、あの林の家に監禁されて折檻を受けていた。なかにはそれが原因で亡くなってしまった人もいた。それも一人や二人じゃない。
たくさんの女性にたくさんの子供を産ませた公爵様は、美しい平民が産んだ子供を後継ぎとした。その他の子供達は全て、病死や戦死、事故死で儚くなったと記録されている。
しかも、さらにその子供。女好き当主から見れば孫が、国家転覆を企てたとして処刑。そして爵位を下げられた。
お家断絶されなかったのはそれまでの功績が大きかったからで、特に外交手腕が素晴らしかったそうだ。
ちなみに女好き当主の正妻はとても静かな人だったけれど、ある日突然奇声を上げたり暴れるようになってしまって、あの監禁部屋にいれられたらしい。
夜中に聞こえる女性の叫びは正妻のものに良く似ているという。
本当に声が聞こえるのか確かめてみたい気もするけど、聞こえたらものすごく怖いから実行する勇気はない。
本来ならもっと早くにここに越して来れたんだけど、意外にもジルのご両親に気に入られてしまって……。
特に奥様(本人にはお義母様と呼ぶように言われてるので、会った時はそう呼ぶようにしている)に。
初めて会った時は、予想した通りジルのお兄さんは母親似だと確信した瞬間だった。
色白で色味の薄い金髪は高く結い上げ、薄紫の瞳は俺に対する興味で輝いていた。まるで少女のような伯爵夫人だった。ちなみに旦那様はジルそっくり! 誰が見ても親子だと分かる。若干ジルのが体格が大きいくらい。ジルが歳をとったら、あんな感じになるんだろうなぁ。シブくてイケオジ。
奥様とはお茶や敷地内にある庭園での散歩をよくご一緒し、お忍びでの買い物にも頻繁に連れて行かれた。俺が屋敷から出るのを最後まで嫌がっていた人でもある。
いや。俺としてはご両親に良く思われるのは純粋に嬉しいし、そこには感謝しかない。でも、俺を置いてジルだけ出ろと言ったのはさすがに困った。
旦那様やお兄様が説得してくれて、やっとここに来れたわけだ。
引っ越してまだ間がないけど奥様のご機嫌伺いに、近いうちにお屋敷に行くつもりだ。
自分の親だけでなく、相手の親も大事にしたいからね。
俺はまだまだ勉強中の身。貴族社会での知識が一年くらいで身につくわけがない。
でもジルの親しい人達には恋人認定されてる。
数人の貴族に引き合わされて、その時に俺を恋人だと紹介したから。その時はもう、気恥ずかしいのもあったけど、心の中で(平民の俺がスミマセン!)て叫んでたから、あんまり顔を上げられなかったね。
そんな俺を見て誰かが可愛らしいとか呟いてたけど、止めて。
いたたまれなくなるから、止めて。
そんな慌ただしい毎日を送っていたある日。
明日は休みだというジルと、夕食後のお茶を飲んでいた。
「毎朝、エリーが焼いてくれたパンが食べられたらなぁ」
「パン?」
なんだか、ジルがしみじみと言った。
俺の頭の中はこの後にするだろう、エッロいことしか無かったからちょっと面食らった。
「あ、ああ……。パン屋で働いていただろ? 食べてみたいとずっと思っていたんだ」
「いいね! 俺も久しぶりに焼きたくなってきた! どんなのが良い?」
「どんなの……。シンプルなのが好きだが、エリーが作ってくれるものなら、なんだって良いな」
「え――。なんでもいいってのが一番困る。……そうだ! 色んな種類のをたくさん焼いて、屋敷の皆にも食べてもらおう! それだったら、ジルも好きなのが選べるだろ?」
「いや、そういう意味……。いやいや、そうだな。楽しそうだ」
何故かジルはちょっと戸惑ったような表情になったけど、すぐに笑顔になった。
心なしか肩を落としているように見えるのは気のせいか?
どうしたんだ?
何かいけなかったかな?
それよりも、何を作るかで俺の頭は忙しくなった。
普段の食事に出てくる白くて柔らかいパンは、貴族や裕福な家でしか食べない。平民はもっと混ざりものの多い硬いやつを食べる。ジルのとこに来てからそれを食べてないから、自分用に焼こうかな。
それから砂糖をまぶしたやつとか、乾燥フルーツを入れたのと、パイ生地のようにサクサクのやつと……。
「……あ」
俺としたことが、考えに没頭しててジルのこと忘れてた。
せっかく二人でのんびりできる大切な時間だったのに。
「ごめん、ジル。パンのことばっかり考えてた」
「いや、大丈夫だ。真剣に考えているエリーも可愛かった」
「や……それはどうだろう……」
そんなのを可愛いと言われても、どう反応すればいいか分からない。
喜ぶべき? お礼言うとか?
それはちょっと違うよな。
「エリー」
すっとジルの腕が俺に向かって伸ばされる。
これはおいで、の合図。俺は席を立ち、ジルの膝の上に向かい合って座る。
そのまま、唇を触れさせるだけのキスを数回。
「どうか、これからもずっと、そばにいてほしい」
「うん。もう自分からは離れないよジル」
見つめ合って。キスをして。
永遠の誓いのように。
これから先、何か色々起こるんだろうけど、いつも自分の気持ちには正直でいたいと思う。
一緒にいたい。
俺の正直で本当の気持ち。
それに応えてくれる相手がいる幸せ。
全部を大切にしていきたい。
あれ?
さっきジルが言った、俺が焼いたパンが食べたいって台詞。もしかして平民の求婚常套句の真似した?
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