【休載中】25日間の誕生日

華凛

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DAY1

1‐4 あいつの誕生日

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「やだ、もうこんな時間……予習しそびれちゃった」

花恋が腕時計を見て呟くと、急いで立ち上がる。

「あんたのせいで予習できなかったじゃない」
「俺なんかした?」
「あら、心当たりないのかしら」

花恋が嫌味たっぷりにジトリと晴を睨むが、晴はそんなこともお構いなしにサンドイッチを頬張る。

「あ、今日おまえ部活?」
「そうだけど」
「わかった」
「……なによ。何かあるの?」
「ん? いや別に──」

その時、校舎の方向から予鈴の音が聞こえた。

晴の言葉の続きも少し気になったが、授業に遅れてしまってはいけない。
花恋は慌てて校舎のほうへ体を向け、教室へ向かった。



四時間目の授業準備を終え、窓の外をぼーっと見つめる。

最後に晴の誕生日をしっかり祝ったのはいつだろうか。
小学三年生の頃は誕生パーティーを開いた記憶がある。
小学校高学年辺りから、急に祝うのが恥ずかしくなってきたような気がする。
変な意地を張っている自分に呆れのため息が出てくる。

(じゃあ祝ってないのは、三……四……五年か)

花恋が指を折って数えていると、始業のチャイムが鳴る。

(来年は……もう受験勉強してるな)

高校は別になるだろう。
ここまで学校が同じだったのは、学区が同じことが大きな要因だろう。
だが高校は学区に縛られず選択することができるため、同じになる可能性は低い。
「最後の機会」、という文字が何度も脳裏を過ぎる。

(おめでとうの、一言くらい────)


「早乙女さん?」


花恋が思考に耽っていると、頭上から声が降ってきた。

「は、はいっ」

花恋が肩を震わせ勢いよく顔を上げると、呆れ顔の教師がそこに立っていた。

「ここの問題、答えてください」

考えている間に授業は進んでいたようだ。答えられない問題だ。
花恋は少し沈黙した後、微かに首を振った。

「ごめんなさい、わかりません」

花恋が消え入りそうな声で呟くと、教師は何事もなかったかのように「では山本さん」と名指しする。

(あいつのせいだ……)

予習をしておけばこんなことにはならなかった。
羞恥に下を向きながら晴を呪った。
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