5 / 16
DAY1
1‐4 あいつの誕生日
しおりを挟む
「やだ、もうこんな時間……予習しそびれちゃった」
花恋が腕時計を見て呟くと、急いで立ち上がる。
「あんたのせいで予習できなかったじゃない」
「俺なんかした?」
「あら、心当たりないのかしら」
花恋が嫌味たっぷりにジトリと晴を睨むが、晴はそんなこともお構いなしにサンドイッチを頬張る。
「あ、今日おまえ部活?」
「そうだけど」
「わかった」
「……なによ。何かあるの?」
「ん? いや別に──」
その時、校舎の方向から予鈴の音が聞こえた。
晴の言葉の続きも少し気になったが、授業に遅れてしまってはいけない。
花恋は慌てて校舎のほうへ体を向け、教室へ向かった。
✾
四時間目の授業準備を終え、窓の外をぼーっと見つめる。
最後に晴の誕生日をしっかり祝ったのはいつだろうか。
小学三年生の頃は誕生パーティーを開いた記憶がある。
小学校高学年辺りから、急に祝うのが恥ずかしくなってきたような気がする。
変な意地を張っている自分に呆れのため息が出てくる。
(じゃあ祝ってないのは、三……四……五年か)
花恋が指を折って数えていると、始業のチャイムが鳴る。
(来年は……もう受験勉強してるな)
高校は別になるだろう。
ここまで学校が同じだったのは、学区が同じことが大きな要因だろう。
だが高校は学区に縛られず選択することができるため、同じになる可能性は低い。
「最後の機会」、という文字が何度も脳裏を過ぎる。
(おめでとうの、一言くらい────)
「早乙女さん?」
花恋が思考に耽っていると、頭上から声が降ってきた。
「は、はいっ」
花恋が肩を震わせ勢いよく顔を上げると、呆れ顔の教師がそこに立っていた。
「ここの問題、答えてください」
考えている間に授業は進んでいたようだ。答えられない問題だ。
花恋は少し沈黙した後、微かに首を振った。
「ごめんなさい、わかりません」
花恋が消え入りそうな声で呟くと、教師は何事もなかったかのように「では山本さん」と名指しする。
(あいつのせいだ……)
予習をしておけばこんなことにはならなかった。
羞恥に下を向きながら晴を呪った。
花恋が腕時計を見て呟くと、急いで立ち上がる。
「あんたのせいで予習できなかったじゃない」
「俺なんかした?」
「あら、心当たりないのかしら」
花恋が嫌味たっぷりにジトリと晴を睨むが、晴はそんなこともお構いなしにサンドイッチを頬張る。
「あ、今日おまえ部活?」
「そうだけど」
「わかった」
「……なによ。何かあるの?」
「ん? いや別に──」
その時、校舎の方向から予鈴の音が聞こえた。
晴の言葉の続きも少し気になったが、授業に遅れてしまってはいけない。
花恋は慌てて校舎のほうへ体を向け、教室へ向かった。
✾
四時間目の授業準備を終え、窓の外をぼーっと見つめる。
最後に晴の誕生日をしっかり祝ったのはいつだろうか。
小学三年生の頃は誕生パーティーを開いた記憶がある。
小学校高学年辺りから、急に祝うのが恥ずかしくなってきたような気がする。
変な意地を張っている自分に呆れのため息が出てくる。
(じゃあ祝ってないのは、三……四……五年か)
花恋が指を折って数えていると、始業のチャイムが鳴る。
(来年は……もう受験勉強してるな)
高校は別になるだろう。
ここまで学校が同じだったのは、学区が同じことが大きな要因だろう。
だが高校は学区に縛られず選択することができるため、同じになる可能性は低い。
「最後の機会」、という文字が何度も脳裏を過ぎる。
(おめでとうの、一言くらい────)
「早乙女さん?」
花恋が思考に耽っていると、頭上から声が降ってきた。
「は、はいっ」
花恋が肩を震わせ勢いよく顔を上げると、呆れ顔の教師がそこに立っていた。
「ここの問題、答えてください」
考えている間に授業は進んでいたようだ。答えられない問題だ。
花恋は少し沈黙した後、微かに首を振った。
「ごめんなさい、わかりません」
花恋が消え入りそうな声で呟くと、教師は何事もなかったかのように「では山本さん」と名指しする。
(あいつのせいだ……)
予習をしておけばこんなことにはならなかった。
羞恥に下を向きながら晴を呪った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる