【休載中】25日間の誕生日

華凛

文字の大きさ
11 / 16
DAY2

2-4 不安の種

しおりを挟む
花恋がしばらくそっぽを向いたまま弁当を口に運んでいると、昼休みの終わりを告げる鐘が響いた。

「じゃあ」

花恋は短く呟き、立ち上がる。
サンドイッチをほおばっていた晴はモゴモゴと口を動かしながら花恋を見る。

何を言っているかわからないが、「置いてくなよ」みたいなことを言っているのだろう。
花恋はいつもの彼女らしく、晴には耳も貸さずに校舎へ向かって歩き出した。

花恋の気持ちは前を向いていた。
夢が本当になるかもしれないという恐怖に背を向けて。
考え得る最悪の可能性に背を向けて。
だからこそ、恐怖に繋がる種を無意識に無視してしまったのかもしれない。

サンドイッチを食べ終わった晴は頭をかきながら呟いた。



「……部活あるか聞きたかったのに」



少し余裕を持って校舎へ帰ってきた花恋は、予習をするべくワークと教科書を開く。
シャーペンを右手に、ワークの問題を解き進めていく。

予習が一段落したところで、授業開始を報せる鐘が鳴る。
シャーペンの芯を戻し、配られた授業プリントを受け取る。

教師の話に耳を傾けながら問題を解いていると、「では、早乙女さん」と自身の名を呼ぶ声がした。
教師がチョークを持って一つの問題を指している。

「こちらの問題の解は?」

授業前に予習してきた花恋にとってこんな問題は朝飯前だ。

「x=2,y=3です」

数秒考えた後、導き出された答えを口にすると「その通りです」と教師が黒板に答えを書き込む。

自分で答えを口にしておいて、その答えに既視感を覚えた。

(……まあ、2と3なんてありふれた答えよね)

花恋は結論に達し、それ以上考えることを放棄した。


また一つ、最悪の可能性に繋がる種を見逃してしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

処理中です...