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DAY3
3‐3 忘れられた誕生日
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花恋は大急ぎで制服に着替え、食パンの欠片を手に持ちながら晴の隣に並ぶ。
「おまえどうしたんだよ。さっきから様子おかしいけど」
「何でもないってば。ただ寝ぼけてただけ」
食パンをかじりながらそう返事をする間も、花恋の思考は巡り続けていた。
(ある小さな出来事でもその後の運命を変える可能性がある)
いわゆるバタフライエフェクトである。
なんなら、花恋が朝に少しだけ違う行動を取ったことでもう違う未来になっているかもしれない。
だが、「それで試してみるか」と軽く考えていいものではないのだ。人の命がかかっている。
(晴は確か交通事故に遭って……)
仮に晴が暴走した車にはねられたとしたら、その車も止めなければ他の人が事故に遭いかねない。
だが、晴がはねられた車のナンバーも、運転手も、そもそも車なのかもわからない。バスかもしれないし、バイクかもしれない。
これでは情報が少なすぎる。
一回目と二回目のループで得られた情報は「晴が交通事故に遭って死んだ」ことだけ。
あの時はどちらとも気が動転していて冷静にニュースを見ている場合ではなかったのだ。
(晴を下校前に呼び止める? 一緒に帰る? それとも……)
「──おい、聞いてんのか?」
思考に耽っていた花恋は前に立ち塞がっている晴に初めて気づいた。
「え? 何か言ってた?」
「……おまえ何で何日か訊いたんだよ」
朝のことだろう。
「ループしてることを確認するため」、と迂闊に口に出さない方が良いことはわかっていたので、花恋はとぼけるように首を傾げる。
「別に? ただ気になっただけ」
「…………」
晴は不貞腐れたようにそっぽを向き、再び花恋の隣を歩き始めた。
何だったんだろう、と少し気になったが、花恋はまた思考に没頭し始めた。
花恋は忘れていた。
晴を救うために自分が何をすべきか考えるのに囚われすぎて。
晴は自分が交通事故に遭うことなんて予想もしていないのだ。
彼が今一番願っていることは、「事故から救ってほしい」ではない。
ただ、誕生日を祝ってほしかったのだ。
「おまえどうしたんだよ。さっきから様子おかしいけど」
「何でもないってば。ただ寝ぼけてただけ」
食パンをかじりながらそう返事をする間も、花恋の思考は巡り続けていた。
(ある小さな出来事でもその後の運命を変える可能性がある)
いわゆるバタフライエフェクトである。
なんなら、花恋が朝に少しだけ違う行動を取ったことでもう違う未来になっているかもしれない。
だが、「それで試してみるか」と軽く考えていいものではないのだ。人の命がかかっている。
(晴は確か交通事故に遭って……)
仮に晴が暴走した車にはねられたとしたら、その車も止めなければ他の人が事故に遭いかねない。
だが、晴がはねられた車のナンバーも、運転手も、そもそも車なのかもわからない。バスかもしれないし、バイクかもしれない。
これでは情報が少なすぎる。
一回目と二回目のループで得られた情報は「晴が交通事故に遭って死んだ」ことだけ。
あの時はどちらとも気が動転していて冷静にニュースを見ている場合ではなかったのだ。
(晴を下校前に呼び止める? 一緒に帰る? それとも……)
「──おい、聞いてんのか?」
思考に耽っていた花恋は前に立ち塞がっている晴に初めて気づいた。
「え? 何か言ってた?」
「……おまえ何で何日か訊いたんだよ」
朝のことだろう。
「ループしてることを確認するため」、と迂闊に口に出さない方が良いことはわかっていたので、花恋はとぼけるように首を傾げる。
「別に? ただ気になっただけ」
「…………」
晴は不貞腐れたようにそっぽを向き、再び花恋の隣を歩き始めた。
何だったんだろう、と少し気になったが、花恋はまた思考に没頭し始めた。
花恋は忘れていた。
晴を救うために自分が何をすべきか考えるのに囚われすぎて。
晴は自分が交通事故に遭うことなんて予想もしていないのだ。
彼が今一番願っていることは、「事故から救ってほしい」ではない。
ただ、誕生日を祝ってほしかったのだ。
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