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第6話
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宴会は数時間で終わったらしく、夜の虫達が演奏をする頃には静かになっていた。
寝台に横になるが、眠気がやって来ない。眠ることも出来ず、寝返りを何度も打っていると扉が控えめに叩かれる。
「お姫さん、起きてるか?」
扉の向こうにいる人物は声を潜めて聞く。
「ええ、どうぞ」
サーラは起き上がり、簡単に身支度を終えると扉を開けた。
目の前に立っていたのはブレイブだった。
サーラはブレイブを部屋に招き入れる。
「何かご用ですか?」
ブレイブに閨を共にするつもりがないことは分かっていた。単刀直入に聞くと、ブレイブは頷く。
「話をしに来たんだ」
ブレイブの話とはなんだろうと思いながら、サーラは座るよう促した。アニーサに教えてもらった、シュトルツ式のお茶の淹れ方を思い出しながら、温かい紅茶を淹れブレイブに手渡す。
ブレイブは戸惑いを見せながらも、サーラに渡された茶器を受け取り、口に含む。
「話とは何でしょうか?」
落ち着いたところを見計らって声を掛ける。
「今後のことだ。しきたりでは結婚式が終わった後に夫婦となった男女は契りを交わすんだ。だが、俺はお姫さんと契りを交わすつもりはない」
予想通りの事を言われ、サーラは思わず笑ってしまう。
「それを言いにわざわざ? 律儀な人ですね」
「シュトルツ族の結婚は自由恋愛が主流だ。今回のような政略結婚はあり得ない。俺達の間に愛がない以上、夜伽をする意味もないし、俺を愛していない貴女と契りを交わしても、貴女の体と心を傷付けるだけだ」
ブレイブは悲しげに顔を歪ませる。サーラを心配している事が意外だった。
「自由恋愛が主流なのに、何故貴方はわたしと結婚したのです?」
「貴女のお父上からの提案だ」
「お父様から?」
「1ヶ月前、スフェール王国所属の兵士がシュトルヴァ領に侵入し、シュトルツ族を襲った。その中には幼い子どもも居た」
サーラは血の気が引いていくのが分かった。
「戦争が起きるには充分な理由だ。シュトルツ族が仲間を大切にする一族である事は、スフェールの人間も知っているはずだ。このままでは、人間と獣人の間で戦が起きてしまうと考えた貴女のお父上は、平和的に解決しようとお姫さんを俺に嫁がせた」
「それってつまり……」
「スフェールからはお姫さんを嫁に出す。シュトルツ族とスフェールは親戚になる。お互い手を出しにくくする目的なんだろう」
サーラは少し考えてからブレイブに問う。
「スフェールは宝玉の特殊な採掘技術と、質の高い宝玉の産出、加工で成り立っている国です。今のスフェールの富は全てそこから始まったと言っても良い。戦よりも宝玉の加工技術に突出しているから、王国軍も他国に比べて数も少ないし、はっきり言って戦向きじゃない」
スフェールでは軍事力をあまり重視しない。王国軍は居るが、実際の戦場を経験した者は限られている。戦闘力も他国、特に大陸一の領土を誇る砂の国サビアに比べれば、足元にも及ばない。
はるか昔にスフェールの豊かな鉱脈を狙って侵略してきた国はいたが、他の一般的な鉱脈を採掘する方法で宝玉を採掘しようとしても上手く掘り出せない。スフェールの鉱脈は、スフェール人しか出来ない採掘技術でしか採掘出来ないのだ。
侵略してきた国は、スフェール人にその方法を吐かせ、彼らに採掘させたが不思議な事に上手くいかなかった。
スフェールを侵略しても恩恵があまりないのだ。その為、今まであまり侵略される事がなく、よって戦を経験した事がほとんど無い。攻められる事も少ないから軍にお金をかけるよりも、鉱山にお金をかける。それがイサークと歴代の王達のやり方だった。
寝台に横になるが、眠気がやって来ない。眠ることも出来ず、寝返りを何度も打っていると扉が控えめに叩かれる。
「お姫さん、起きてるか?」
扉の向こうにいる人物は声を潜めて聞く。
「ええ、どうぞ」
サーラは起き上がり、簡単に身支度を終えると扉を開けた。
目の前に立っていたのはブレイブだった。
サーラはブレイブを部屋に招き入れる。
「何かご用ですか?」
ブレイブに閨を共にするつもりがないことは分かっていた。単刀直入に聞くと、ブレイブは頷く。
「話をしに来たんだ」
ブレイブの話とはなんだろうと思いながら、サーラは座るよう促した。アニーサに教えてもらった、シュトルツ式のお茶の淹れ方を思い出しながら、温かい紅茶を淹れブレイブに手渡す。
ブレイブは戸惑いを見せながらも、サーラに渡された茶器を受け取り、口に含む。
「話とは何でしょうか?」
落ち着いたところを見計らって声を掛ける。
「今後のことだ。しきたりでは結婚式が終わった後に夫婦となった男女は契りを交わすんだ。だが、俺はお姫さんと契りを交わすつもりはない」
予想通りの事を言われ、サーラは思わず笑ってしまう。
「それを言いにわざわざ? 律儀な人ですね」
「シュトルツ族の結婚は自由恋愛が主流だ。今回のような政略結婚はあり得ない。俺達の間に愛がない以上、夜伽をする意味もないし、俺を愛していない貴女と契りを交わしても、貴女の体と心を傷付けるだけだ」
ブレイブは悲しげに顔を歪ませる。サーラを心配している事が意外だった。
「自由恋愛が主流なのに、何故貴方はわたしと結婚したのです?」
「貴女のお父上からの提案だ」
「お父様から?」
「1ヶ月前、スフェール王国所属の兵士がシュトルヴァ領に侵入し、シュトルツ族を襲った。その中には幼い子どもも居た」
サーラは血の気が引いていくのが分かった。
「戦争が起きるには充分な理由だ。シュトルツ族が仲間を大切にする一族である事は、スフェールの人間も知っているはずだ。このままでは、人間と獣人の間で戦が起きてしまうと考えた貴女のお父上は、平和的に解決しようとお姫さんを俺に嫁がせた」
「それってつまり……」
「スフェールからはお姫さんを嫁に出す。シュトルツ族とスフェールは親戚になる。お互い手を出しにくくする目的なんだろう」
サーラは少し考えてからブレイブに問う。
「スフェールは宝玉の特殊な採掘技術と、質の高い宝玉の産出、加工で成り立っている国です。今のスフェールの富は全てそこから始まったと言っても良い。戦よりも宝玉の加工技術に突出しているから、王国軍も他国に比べて数も少ないし、はっきり言って戦向きじゃない」
スフェールでは軍事力をあまり重視しない。王国軍は居るが、実際の戦場を経験した者は限られている。戦闘力も他国、特に大陸一の領土を誇る砂の国サビアに比べれば、足元にも及ばない。
はるか昔にスフェールの豊かな鉱脈を狙って侵略してきた国はいたが、他の一般的な鉱脈を採掘する方法で宝玉を採掘しようとしても上手く掘り出せない。スフェールの鉱脈は、スフェール人しか出来ない採掘技術でしか採掘出来ないのだ。
侵略してきた国は、スフェール人にその方法を吐かせ、彼らに採掘させたが不思議な事に上手くいかなかった。
スフェールを侵略しても恩恵があまりないのだ。その為、今まであまり侵略される事がなく、よって戦を経験した事がほとんど無い。攻められる事も少ないから軍にお金をかけるよりも、鉱山にお金をかける。それがイサークと歴代の王達のやり方だった。
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