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老人と
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儂には、息子がおる。
結婚し、孫も生まれたそうだ。
しかし、儂は一度もその姿を見ておらん。
息子は儂のやっとることが嫌で逃げだした軟弱者。
元々あれには務まらなかったし、別にいいがな。
「長、面会を求める者がおりますが」
「誰じゃ」
「それが、少女なのですが、「長に会わせろ」の一点張りだそうで」
「ふん、よかろう。会ってやろう」
「!よいのですか?!」
命知らずの若芽が来たか。
何の用だか知らないが、退屈しのぎにはなるだろうか。
「ここに連れてくるがいい」
「はっ」
十四将組の長と言えば泣く子も黙る『威圧感の岩男』と呼ばれた頑強な肉体を持つ男だというのは、その道の人間なら知らないものはいない。
「離せ、離せよ!おい、聞いてんのかおっさん!!」
ずいぶんと口の悪い輩が入ってきたものだ。
その顔を拝もうとしたが、その姿に目を見開いたのが分かった。
髪の色、怒りでにらみつけている瞳、そしてその全てが息子とその嫁に似ていた。
これくらいの年なのは知っていたが、本人が来るとはな。
「お前が長か!父ちゃんと母ちゃんを返せ!!この殺人犯!!」
殺人犯と言い放った孫は、瞳を逸らすことなくまっすぐに見つめてきた。
そして儂は思い出す。
義娘に言った言葉を。
「もし儂の仕事のせいでそっちに迷惑が掛った場合、儂が火の粉を払う。もし孫ができた時には、儂が面倒を見よう。ただ、この稼業だ。すぐに来てくれるとは限らん。
そうしたら、「儂が殺した」とでも言っておけば復讐としてででもくるだろう」
「お義父さん・・・。そうならないと、いいのですが」
長い髪を揺らし、寂しそうに伏せた優しい瞳。あれも息子も優しさが強すぎてこの世界では生きられん。
十四将組は儂が守る。
そこに厄介者が一人おったとしても、組は変わらん。
と、そこで儂はふ、と笑った。
本当にあれは儂の言った事を守りおったのか。
「何笑ってやがんだ!仇を取らせろ!」
「させるわけないだろう!長は俺らが守る!」
黒服に身を包んだ組の1人が孫を抑えている。
本当に強くなった暁には、儂は孫に殺されても問題ないがな。
それまでは、儂が守らねば。
この復讐に囚われた小さき若芽を、な。
結婚し、孫も生まれたそうだ。
しかし、儂は一度もその姿を見ておらん。
息子は儂のやっとることが嫌で逃げだした軟弱者。
元々あれには務まらなかったし、別にいいがな。
「長、面会を求める者がおりますが」
「誰じゃ」
「それが、少女なのですが、「長に会わせろ」の一点張りだそうで」
「ふん、よかろう。会ってやろう」
「!よいのですか?!」
命知らずの若芽が来たか。
何の用だか知らないが、退屈しのぎにはなるだろうか。
「ここに連れてくるがいい」
「はっ」
十四将組の長と言えば泣く子も黙る『威圧感の岩男』と呼ばれた頑強な肉体を持つ男だというのは、その道の人間なら知らないものはいない。
「離せ、離せよ!おい、聞いてんのかおっさん!!」
ずいぶんと口の悪い輩が入ってきたものだ。
その顔を拝もうとしたが、その姿に目を見開いたのが分かった。
髪の色、怒りでにらみつけている瞳、そしてその全てが息子とその嫁に似ていた。
これくらいの年なのは知っていたが、本人が来るとはな。
「お前が長か!父ちゃんと母ちゃんを返せ!!この殺人犯!!」
殺人犯と言い放った孫は、瞳を逸らすことなくまっすぐに見つめてきた。
そして儂は思い出す。
義娘に言った言葉を。
「もし儂の仕事のせいでそっちに迷惑が掛った場合、儂が火の粉を払う。もし孫ができた時には、儂が面倒を見よう。ただ、この稼業だ。すぐに来てくれるとは限らん。
そうしたら、「儂が殺した」とでも言っておけば復讐としてででもくるだろう」
「お義父さん・・・。そうならないと、いいのですが」
長い髪を揺らし、寂しそうに伏せた優しい瞳。あれも息子も優しさが強すぎてこの世界では生きられん。
十四将組は儂が守る。
そこに厄介者が一人おったとしても、組は変わらん。
と、そこで儂はふ、と笑った。
本当にあれは儂の言った事を守りおったのか。
「何笑ってやがんだ!仇を取らせろ!」
「させるわけないだろう!長は俺らが守る!」
黒服に身を包んだ組の1人が孫を抑えている。
本当に強くなった暁には、儂は孫に殺されても問題ないがな。
それまでは、儂が守らねば。
この復讐に囚われた小さき若芽を、な。
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