チートが無いのに聖女様~なぜだか囲まれてます~

深郷由希菜

文字の大きさ
13 / 23

衝撃

しおりを挟む
思えば、違和感があったんだよね。

でもそれの正体を知った時、私は驚きを隠せなかった。

「ジロジロ見てんじゃねぇよ、平民聖女」

そう言い放って地面に組み敷かれている私を見下ろすその人は、大人しいショートヘアになっただけのバーニャ。

でもその顔は、どう見てもきれいではあるけれど、のそれだった。

「俺が男なのは一応黙っとけよ。とはいえあのシーフは知ってたみたいだけどな」

かわいかったあのバーニャからは予想できない声と表情で言われることを聞きつつも、私はなんでこうなった!?と頭を回転させていた。






バーニャと出会って3日目。

私たちは近くにあったダンジョンに来ていた。

「パーティの連携の訓練のために軽いダンジョンへと来たのですが、危険がないとは言えない。そこを了解するよう」

ファルゴットさんの声に頷くヴィックス以外のメンバー3人

そして魔物たちを倒したり、罠を外したり(毎回褒めてとシーフが言いに来る)する私たち。

「!危ない!」

叫ぶ声が聞こえたと思ったら、私は何かに突き飛ばされた。

そして、冒頭の状態に戻る。


「ったく、なんだよ。崩落なんて聞いてねぇぞ」

悪態をつく人物は、本当にバーニャ?

「あぁ、はバリンデルと呼べ。様付けしてもいいぞ」

にやっと笑う女装男子、バリンデルは目の前の岩をどうにかできないかと考えている。

「・・・水流ウォーターフロゥ

岩に向けて手をかざし、そう唱えるけれど。

最初の勢いは岩へ届く前に失速し、岩をどかせなかった。

もちろん、大の男数人がかりでもどかせなさそうなものがごろごろしているから、バリンデル君一人では到底力業でどかせない。

だからこそ魔法で、となったんだろうけど。

意外にも弱い威力だったのに驚く私を見て、すっ、と目を細める。

「忘れろ。さもないと・・・」

どんどん近づいてくる姿を見ても、私は動けなくて。

そして、顔が近づいて、触れた。



「そんな多くねぇんだな、聖女様の魔力って」

ま、なんにせよゴチソウサマ、と言って離れた姿を見ても、私は動けなかった。

唇を舐め、そしてもう一度放った水流は、最初の威力を保ったまま岩を崩した。

「よし、出るぞ。あ、ちょっとだるいだろうけど自分で動けよ?支えくらいはするから」

少しぼーっとする頭で、肩を貸してもらう状態でされるがまま歩き出す。

そして、みんなと合流した後は、私はそのまま意識を失ってしまって連携を見るどころじゃなかった。

ファーストキスを奪われたとか、そういう驚きを感じる間もなく、その日は終わってしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

処理中です...