チートが無いのに聖女様~なぜだか囲まれてます~

深郷由希菜

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出発!

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次の街へ出発する私たち。

途中、ヴィックスの言った通りモンスターが出てきたけど、あっさり倒して到着。

連携の確認する間もなく勇者の手によって葬られました。

そして宿の手続きしてるファルゴットさんを待ってる間に勇者が私の所へ来て一言。

「ルルーナ、あいつと付き合うの?」

「今は聖女としての役割を果たさないといけないから無理」

「そっか」

・・・ん?なんか嬉しそう?なんで?

相変わらず表情筋がほぼ仕事しない勇者だけど、少しだけわかってきた気がする。

これは通常の人の微笑みに相当する言い方だ。でも、本当に何で?

もしこれが他人同士なら、気があるんじゃないのー?とかちょっとツッコミたいところだけど、私自身に起こると全然なんとも思わないものなんだなぁと実感した。

まぁまだ私10歳だし、そこまで必要ないかな?

・・・前世の年齢含めたら考えたくないけどね。


と、そこで丁度ファルゴットさんが終わったみたいで終了した。

?と思っていると、部屋の案内をされた。

男性3人と、女性(中身男性含む)2人の分け方だった。

バーニャとして振る舞い、隣の部屋に入って行く3人を見送る彼の中身を知っている私としては、複雑だったりする。

「おい、平民聖女。俺を知ってるからって不安そうな顔すんじゃねぇ」

部屋の中に入った後の第一声がそれですか・・・。

「大体、お前くらいの貧相な奴をどうこうする趣味なんざねぇよ」

ふんっ、と鼻で笑いながらバリンデル君はことっ、と何かをテーブルに置いたけれど、それよりも私は女としての尊厳がけなされた気がしてイラッとした。

「貧相ってなによ!少しだけどあるものはあるんだから!それにまだまだ成長するからあんたがいつか悔しがるような美人になっても知らないんだから!」

「へっ、弱い犬ほどよく吠えるってな。まぁ素体は悪くないだろうけど、平凡聖女は平凡なやつと平凡に暮らしてんのがオニアイだろうな?」

「ふざけんな!平凡だけど夢見たりするのが女の子だから例えば王子様と、とかってのも考える子だっているんだから!私はあんたが王子とかだったとしても絶対にお付き合いとかしてやんないんだから!」

「ほう?王子様と、なぁ?そうなったらお前の意思とは関係なく結婚させられたりするんだろうけどな?」

「そしたら私消えてやるんだから!」

「それは困る。お飾りでも聖女が王子の伴侶にとか王族の考えそうなやつらだ」

「あと、聖女聖女って言うのやめてよね!バーニャの時は呼んでくれるのに!」

「俺が認めたらこっちでも呼んでやるよ、ちっぱい聖女」

「ちっぱい言うなー!」

叫んでいても苦情が来なかったのは、さっきテーブルに置かれたもののおかげだと聞くのは、もう少し後のお話。
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