チートが無いのに聖女様~なぜだか囲まれてます~

深郷由希菜

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魔王城への道(四天王サイド視点)

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あ、ありのまま今起こってることを話すぜ。

俺は誇り高き第23代魔王様の四天王と呼ばれた男だ。

名はディヴィルデ、属性は水。『魔氷まひょうのディヴィルデ』という二つ名を貰ってたりする程度には水や氷に秀でた魔族だ。

けれど、元々はきれいな部屋に散乱する破片や赤い液体、焦げた黒が混在する場所で、俺と同じくらいに強いはずの『炎獄えんごくのサマンドラ』や『暴嵐ぼうらんのジェリッカ』は既に地に倒れ伏している。

そして、最後に残った俺にも、ほぼ喋らない人族が持っている剣が向けられようとしていた。

いや、その後ろにいる人族の魔法使いもこちらに目を向けているな。あれは剣が防がれたら放つ気だろう。

しかし他の女人にくっつく男と、そのそばにいる人族は参加する様子はないな。

そして俺は、近づいてくる人族を見ながら回想することになった。






それは、残りの四天王、『無限土むげんどのゴーノン』が勇者パーティというやつらに倒されたという話が聞こえてきた日。

未来ではボロボロになっている部屋の主、体を鍛えるのが好きそうな体で暑苦しい顔つきのサマンドラ。

四天王の紅一点で背中まで伸ばしている髪、大きすぎず小さくない胸の怒ると物理的に手が付けられなくなるジェリッカ。

そして顔立ちは悪くないと思うが(人族の街へお忍びで行ったらかっこいいと言われたのでいけめんと言うのだろう。)、筋肉はついているが服を着るとわからないと言われる体つきの俺、の3人で一つのテーブルを囲んで話し合っていた。

「それはそうと、ゴーノンがやられたようだの」

「あれは四天王の中でも最弱、ただのゴーレムなぞが四天王に入るということが嘆かわしき事よ」

「ただの、って言うにはいろいろ混じっているけどな」

「なんじゃ、我ら初期四天王メンバーが後釜なんかに劣るとでも言うのかえ?ディヴィルデ」

「そんなことは言っていない。ただのゴーレムと言い放ったが、あれはいろんなものでできているだろう?」

「ふん、何でできようが結局は石材ばかりじゃ。には関係ない。ゆえにただのゴーレムじゃ」

「焼き尽くせば石でも解ける、つまり炎が最強だの」

「次は順番的に俺か。どんな奴らだろうな、勇者パーティってのは」

「さぁての、嫌でもそのうち会うじゃろうて」

「て、敵襲です!」

話をぶった切ったのは、サマンドラの配下の魔物。

その言葉から少しした時には、あの惨劇を引き起こした集団の人族がやってくることを嫌でも知ることになった。

そして回想が終わった瞬間、俺は何もできずに頭と胴体が離れることとなったのだった。
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