チートが無いのに聖女様~なぜだか囲まれてます~

深郷由希菜

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四天王を倒して

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「・・・ねぇ、よかったの?こんな戦い方で」

もっとこう、1人1人と戦ってどうこう、っていうお約束はないの?と思っていたら、勇者からひと言。

「固まっている方が悪い」

あ、はい。

四天王の名乗りも聞かないままに倒しちゃったから、ちょっとごめんなさいて感じ・・・。

でも、3人は明らかに他の魔物たちとは全く違う強さだとわかる。

だって、炎のヒトは見た目は40代くらいのムキムキ男性だったし、
風のヒトは多分エルフだと思うけど、20代後半にしか見えない美人だったし、
首がサヨナラしたヒトは、同じくらいの爽やかイケメンだった。

人間に近いほど強いって言うのがよくわかる見本だったなぁ。

でもまさかゴーレムが四天王だとは思わなかったな。

落とした色んな鉱石を精錬して売ったら大金持ちになれるよ・・・。

というか。

「なんでヴィックスは私のそばを離れなかったのよ。3人で戦えばイーブンでしょうに」

「だって任せても大丈夫ってわかるからさー。なら聖女ちゃんにくっついている方が安心でしょ?」

「いやいや、逆に近くにいなくてもいいからね?すぐ来れる距離でしょう?」

でもー、とか言い出す人はスルーして、バーニャを見る。

「勇者様凄いですね。四天王倒しちゃうんですから」

記録係としての役割をちゃんと果たしていた。

私は聖女なのに、負傷に回復がまだ追い付いてない。

まだヒール重ね掛けから抜け出せないよ。

「いーじゃん、聖女ちゃんは聖女ちゃんなりにがんばってるじゃん?回復魔法使えるだけですごいんだから、自信持ちなって!」

甘やかすのがここに1名。

「聖女っていう肩書きで能力を左右されるほど愚かなことはない」

勇者はそんなことを言ってくる。

「要するに、勇者も心配しておるのです。重圧で繊細だろうルルーナ殿が落ち込んでしまわないかと」

ファルゴットさんは本当に優しい。でもちょっと近づけないかな。

「聖女様は皆様に愛されていらっしゃるのですね。羨ましいですわ」

笑顔で言うバーニャだけど、なんだか茶番はさっさと終わらせろって言う心が見えた気がする・・・。

「さて、四天王を倒したので、あとは魔王だけです。道のりはあと少しですぞ皆さん」

そっか、魔王城で魔王を倒したら終わりなんだ。

「寂しくなっちゃった?聖女ちゃん。俺は君が望むならいつまでもいっしょにいるよ?」

「えー」

「えーってなに?!」

そんな茶番がさらに繰り広げられて、それでもヴィックスのおかげで少しは心が軽くなった。

ちょっとだけ、感謝、かな。
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