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魔王・・・えっ、魔王?!
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それから何日か後、私たちは今、魔王城の前にいる。
魔王城は黒く、禍々しいけれどちゃんとしたお城だった。
「小物はルルーナ殿の回復技で倒せると思うが、それ以外のは任せてもらおう」
頼もしい背中なのに魔法使いのファルゴットさんがそう言うと、城の出口から一斉に小物がわらわらと来た。
「キキッ、アソコニおんなガイルゾ」
「魔王様ニ献上スルノダ」
「おんなハ2人イルガ、ドッチヲハコブ?」
などと言い合っているので、さっさとエリアヒール連発で浄化していく。
本当は浄化の魔法があるんだろう、だって回復技が攻撃手段ってどうも違和感があるからね・・・。
まぁ倒せてるからいいか。
そしてある程度の小物が片付けたら侵入する。
そのまま魔王のところまで行こうっていう作戦なんだけど・・・。
「わ、もしかして君たちが今代の勇者パーティ?初めまして、僕が魔王だよ!」
え、今いるのホールだよね?
黒い壁と薄暗い赤の絨毯で彩られた広々とした空間で、とてて、という音がしそうな走り方で自称魔王の少年は近づいてきた。
ショートカットの黒い髪、くりくりとした大きな黒い瞳、白のシャツに黒のサスペンダーで吊られた同じく黒の半ズボン。
頭の左右にあるツノと、引きずりそうなマントがなければただの10歳くらいのあざとい少年にしか見えない子は、無邪気に聞いてきた。
「そ、そうだが・・・本当に魔王?」
疑わしいのとその見た目で口調がいつもよりおかしくなっているファルゴットさん。
「そうだよ!つい数十年前に魔王の座を譲り受けて、僕が魔王になったんだ!」
数十年を『つい』で片づけちゃうのね、さすが魔族だわ。人間との差が激しい。
「ねぇねぇ、そこの人族、僕の子産んでみない?」
・・・はい?
私を見て、にっこりと笑う魔王。
「あ、でも魔力量少ないね。それなら、僕の側にいたら楽に魔力量増やすことができるよ?」
お気楽にそんなことを言っているけれど、私はそれどころじゃない。
会って私に向けた第一声が産んでみない?ってどうよ。
「ちょっと、魔王だかなんだか知らないけど。俺たちの聖女ちゃんにちょっかい出さないでよ」
すかさずヴィックスが前に出て庇ってくれるけど、すぐにその体は崩れ落ちる。
「邪魔しないでよ、僕はこの・・・聖女?に話しかけてるんだから」
ね、どうどう?って聞いてくるその姿は、全く動いた様子がなかった。
だから私は背中に流れる冷汗を感じつつも何も答えられなかった。
魔王城は黒く、禍々しいけれどちゃんとしたお城だった。
「小物はルルーナ殿の回復技で倒せると思うが、それ以外のは任せてもらおう」
頼もしい背中なのに魔法使いのファルゴットさんがそう言うと、城の出口から一斉に小物がわらわらと来た。
「キキッ、アソコニおんなガイルゾ」
「魔王様ニ献上スルノダ」
「おんなハ2人イルガ、ドッチヲハコブ?」
などと言い合っているので、さっさとエリアヒール連発で浄化していく。
本当は浄化の魔法があるんだろう、だって回復技が攻撃手段ってどうも違和感があるからね・・・。
まぁ倒せてるからいいか。
そしてある程度の小物が片付けたら侵入する。
そのまま魔王のところまで行こうっていう作戦なんだけど・・・。
「わ、もしかして君たちが今代の勇者パーティ?初めまして、僕が魔王だよ!」
え、今いるのホールだよね?
黒い壁と薄暗い赤の絨毯で彩られた広々とした空間で、とてて、という音がしそうな走り方で自称魔王の少年は近づいてきた。
ショートカットの黒い髪、くりくりとした大きな黒い瞳、白のシャツに黒のサスペンダーで吊られた同じく黒の半ズボン。
頭の左右にあるツノと、引きずりそうなマントがなければただの10歳くらいのあざとい少年にしか見えない子は、無邪気に聞いてきた。
「そ、そうだが・・・本当に魔王?」
疑わしいのとその見た目で口調がいつもよりおかしくなっているファルゴットさん。
「そうだよ!つい数十年前に魔王の座を譲り受けて、僕が魔王になったんだ!」
数十年を『つい』で片づけちゃうのね、さすが魔族だわ。人間との差が激しい。
「ねぇねぇ、そこの人族、僕の子産んでみない?」
・・・はい?
私を見て、にっこりと笑う魔王。
「あ、でも魔力量少ないね。それなら、僕の側にいたら楽に魔力量増やすことができるよ?」
お気楽にそんなことを言っているけれど、私はそれどころじゃない。
会って私に向けた第一声が産んでみない?ってどうよ。
「ちょっと、魔王だかなんだか知らないけど。俺たちの聖女ちゃんにちょっかい出さないでよ」
すかさずヴィックスが前に出て庇ってくれるけど、すぐにその体は崩れ落ちる。
「邪魔しないでよ、僕はこの・・・聖女?に話しかけてるんだから」
ね、どうどう?って聞いてくるその姿は、全く動いた様子がなかった。
だから私は背中に流れる冷汗を感じつつも何も答えられなかった。
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