チートが無いのに聖女様~なぜだか囲まれてます~

深郷由希菜

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VS魔王君

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「ルルーナは渡さない」

言われた言葉に反応する魔王君。

でも、勇者の目には多分動きが見えていた。

「へぇ、この僕のスピードについてこれるってことは、君勇者だね?」

「それがどうした」

2人の力が拮抗してい同等である事が、私に見えない速度で動かれている剣の音でわかる。

ファルゴットさんが詠唱をしようとすると、意外な方から声がした。

「だめ、手出ししないで」

勇者が1人で戦おうとしているのだ。

「いいね、1対1ってかっこいいし。じゃあ周りの人に手出しさせないように結解張っておくね!」

ノった魔王君が薄紫のドーム型に膜を出現させる。

触れても何もないけれど、声を掛けても叩いても届かない。

そんな中で、2人は思う存分に戦っていた。


「ねぇ、僕が勝ったら聖女ちょうだい?君が勝ったら諦めるからさ」

「断る、ルルーナはモノじゃない」

「えー?でもあの子しか女の子いないじゃない?僕の世継ぎの問題が早くも来てるんだよ。僕を助けると思ってさ?」

「嫌だ。今でもライバル多いのにさらに増えるのは誰であれ嫌だ」

「えーじゃあ僕の嫁にしたら君も好きにしていいからさー」

「それもだめ。ルルーナに振り向いてもらうためには正攻法じゃないと」

「むー、ニンゲンってめんどくさいねー。魔族の女性は魔力の強い魔族に戦いで負けたらその人と結婚しないといけないっていう簡単な感じなのになー」

「負けたらどんなに嫌いな奴とでも結婚しないといけないのか」

「でも、それで魔族のみんなは強さを求めるからどんどん成長していく。そして、それは人族よりも強い魔族を育てることにもつながるんだ。・・・僕との前座くらいにはなってもらわないとね」

「そうか。なら、ルルーナを守るためにもお前に、勝つ」

「いいね。僕を楽しませてよ!」

そんな会話を繰り広げられているとは知らない私含めた他の面々は、決着がつくのを待っていた。






そして、魔王君と勇者の勝負は。

勇者が勝った。

「やるじゃん、勇者。久しぶりに楽しませてもらったよ」

お互いボロボロで、疲労困憊こんぱいの2人に、ヒールを掛けた。

「ちょ、聖女止めて。僕を範囲に入れないで。痛い痛い。ヒールの癒しが痛いから」

どうやら魔王君にヒールは毒みたい。

「君にわかりやすく言うと、服のタグがちくちく刺さる感じなんだよ」

なるほど、それはイライラしそう。

人によっては気にしない人もいるだろうけど、私は気にしてたんだよね。

「というかここにもタグあるんだ?」

「ないよ?」

「へ?」

「ないよ。君が着た服にもなかったでしょ?」

「確かに・・・」

「さて、僕疲れちゃったから一回部屋に戻るね。いろいろはその後で話そうね」

そう言って、さっさと魔王君は瞬間移動してしまった。
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