フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

文字の大きさ
26 / 147
1章

6 商売開始 3

しおりを挟む
 一歩、また一歩と、ガイの方へと近づく女魔術師のララ。
 身構えるガイ。
 ずんずんとガイへ近づくララ。
「?」
 戸惑うガイ。
 そんなガイの横に来ると、ララは「ほっ」と溜息をついた。

「やっと人類側に戻れた」

「「!?」」
 面食らうガイとマスターキメラ。
 そんな二人にララはいけしゃあしゃあと言う。
「ここまで来れば、ガイにキメラを倒してもらえば私は自由」


「あっー!」
 己の失態に気づいたマスターキメラ。
 ララは初めから魔王軍に協力する気なんて無かったのである。


「わ、私もそっちに‥‥」
 呆然としていた女神官のリリが慌てて切り出したが、構わずにマスターキメラが怒鳴った。
「ええい! 見せしめだ、やれ!」
 一瞬、顔を見合わせた後、魔王軍の兵士達が捉えていた人間どもを叩きのめした。
 売上泥棒どもと、ついでにリリも。
「ぎゃーす!」
 ゴブリンの棍棒で殴られたリリが悲鳴をあげて、先に倒れていた売上泥棒達の上に倒れた。

「あー酷い」
 顔色一つ変えずに呟くララ。
「お前もな!」
 思わず叫ぶガイ。


 捕虜どもを殴らせておいて、マスターキメラは怒りの視線をガイに向けた。
「クソッ、やはり私が戦うしかないようだな。さっそく貴様が造ったアイテムの威力を貴様に‥‥」
 そう言って風呂敷包みをまさぐり、掴んだ物を引っ張り出す。
 それは一升瓶だった。

「‥‥ポーション?」
 首を傾げるマスターキメラ。
 酒瓶に見えるが、確かに魔法道具の袋から出てきたのだ。

 ガイが顔をしかめる。
「あ、俺が一番売りたい奴じゃねぇか。あれ残ってたのかよ」

 それを聞いたマスターキメラ、どう見ても酒瓶だがその中身に口をつける。
 意を決して一気飲み。
 ごくごくと中身を空にすると‥‥くらくらと頭を抑え、ふらふらとよめろめくと、路地に寝転ぶ浮浪者のごとくぱたりとその場に付した。

「倒れたけど」
 指さすララ。
 頭を掻くガイ。
「別に強い酒じゃないけど、一気飲みは流石にな」

 一升瓶はやっぱり酒だった。ジャバラから作った果実酒である。
 風呂敷包みは行商で売る品であり、別に魔法道具に限るなどという決まりはなかった。というかガイにしてみれば労働が己の肩にのみのしかかる珠紋石じゅもんせきの売れ行きは生活に足る程度でよく、村で造る飲食物の方が売れて欲しいのだ。
 マスターキメラはそこちょっと勘違いしていたのだ。


 マスターキメラは酒瓶を握ったまま、泣いてるかのような鼻声で喚く。
「ふぇー、ふぇー、ちくしょう、やれ、やれやれやっちまえー」
 酔っ払いが喚いてるように見えるし、まぁ事実そうなのだが、それでもそれはだった。


 河の中から巨大な生物が現れ、鳴き声が響き渡った。
 扁平な体のずんぐりした怪獣が現れたのだ。
 バンザイするかのような両手、水かきのついた両足、三角形の頭をした両生類が‥‥ガニ股でどしどしと歩く巨獣が。

「あんな遠くに出現させて何がしたいんじゃ」
 鍛冶屋のイアンが言う通り、村のすぐ側ではなく、はなれた位置に上陸したのである。
「まぁ酔っ払いのやる事ですからのう」
 村長のコエトールは半ば呆れていたが‥‥

 怪獣はくるりと背中を向けた。
 そのには蓮画像のごとく無数の穴があいている。
 その穴から白い弾が撃たれ、放物線を描いて村の側に着弾した!
 次々と起こる爆発! 轟音と振動が村を揺るがす。

 揺さぶられながらなんとか踏ん張るガイ。
「遠距離攻撃型か!」
「ならばガイ殿!」
「ああ!」
 鍛冶屋に促されてガイは頷く。
 二人は走った。村の工場へと、そこに置いてあるケイオス・ウォリアーを出撃させるために。


 ガイは大砲を肩に担いだ重装甲機・Bカノンピルバグに乗り込んだ。二足歩行の甲虫が工場から、そして村から出る。
 それを見たカエルの怪獣は一声鳴くと再び背を向ける。
 その背から再び無数の弾が撃ち出され、ガイの乗る機体の周囲に炸裂した。
 爆風に揺さぶられる操縦席でガイは敵のデータをモニターに出す。


クラスターフロッグ
ファイティングアビリティ:130
ウェポンズアビリティ:140
スピードアビリティ:90
パワーアビリティ:120
アーマードアビリティ:140


(こっちの量産機とは比べ物にならない火力だな。撃ち合いじゃ勝ち目なしか)
 というわけで肩の妖精に声をかけた。
「頼むぜ、イム」
「うん、やってみる」
 イムはふわりと宙に浮き、翅を輝かせた。

 カノンピルバグの前方に虹色の渦が生じ、そこから白く細長いえいの花吹雪が吹き付けた。
 甲虫の機体は緑の追加装甲をその身に纏う。
 両肩に竹の葉のような巨大な肩当てが装着され、胸部装甲には稲穂のような模様が彫られていた。

 変化した自機のアビリティレベルがモニターに表示される。


パンドラピルバグ
ファイティングアビリティ:120
ウェポンズアビリティ:150
スピードアビリティ:110
パワーアビリティ:110
アーマードアビリティ:150


 さらにガイは現在の武装を確認する。
「こいつは‥‥?」
 モニターの表示には、本来なら無かった装備が追加されていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜

Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。 だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。 赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。 前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、 今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。 記憶を失ったふりをしながら、 静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。 しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。 ――これは復讐でも、救済でもない。 自由を求めただけの少年が、 やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。 最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。 重複投稿作品です 小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...