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1章
8 山中の死闘 3
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山中に広場のような場所があり、そこだけ木が生えていない。やわらかな日差しは差し込んでおり、足首程度の草が生え、広場の中央には茸が輪を描いている。
その中央にイムは降り立ち、ガイへと振り向く。
「ここに来て」
イムの手には破れた葉っぱの破片が握られていた。
イムの意図はわからなかったが、彼女は今まで数々のレア素材を見つけてくれたし、ガイに迷惑な行為をした事もない。
だから黙って彼女に従う事にした。
茸の輪の中へ足を踏み入れる。
イムは葉の破片を地面に近づけた。そこから雫が一滴、輪の中央に垂れ落ちる。
すると茸の輪がぼんやりと輝いた。
それに呼応し、幾条もの光の筋が輪の外から向かってきた。ほんのりと輝く光の軌跡が、人の歩く程度の速さで周囲の森から迫ってくるのだ。
光の軌跡が茸の輪に届くと、その度に茸の輪が一瞬だけ輝きを増す。
何が起きているというのか。戸惑うガイの見ている前で、茸の輪の中央が僅かに動いた。
地面から小さな芽が顔を出す。イムが雫を垂らした地点で。
(あれ? イムは種なんか埋めなかったよな。じゃああの芽はもともとここに埋まっていた種から発芽したって事か?)
ガイの疑問を他所に、芽は見てはっきりわかる早さで大きくなってゆく。
小さな葉が開いて双葉になり、葉が増えて四葉になり、そこから段々と上に伸びる。
樹皮に覆われて小さな木になった。
ガイの背丈と同じ程度まで大きくなり、そして……
そこで止まった。
イムがふらふらとガイの肩に戻ってくる。降り立つやへなへなと崩れ、ガイにしがみついた。
「もうダメぇ。今はここまで」
ガイは気づいた。
茸の輪から輝きは消え、光の軌跡も走ってこなくなっている。
(あの光を呼び出したのはイムか。この木にパワーを与えるために?)
疑問と好奇心、イムが誘った場所に危険などないだろうという信頼から、ガイは数歩先の木へと近づいた。
種類は……よくわからない。ガイの知識の範囲だとトネリコの一種に思えなくもない。
高さはまだガイの背丈より僅かに高いぐらいだが、既に枝も葉も備えて茂っている。
特に太い枝が一本、ガイの目の前に突き出ていた。
(この木も何か貴重な素材になるのかな?)
ガイは期待しながら枝に触れる。葉か樹皮でも採れないか、と。
だが意外。
ガイが触れると枝が取れたのだ。
「!?」
ほとんど手応えもなくポロリと手の中に落ちてきた枝を、ガイは反射的に握りしめる。
枝から小枝と葉がばらばらと落ち、腕より少し長いぐらいの棒になった。
しかも樹皮がぼろぼろと落ちる。結果、ガイの手に残ったのは——
「木刀?」
大きさといい、形状といい、まさにその通りだった。
なぜこうも綺麗に形が整ったのか、ガイにもわからない。
「これ、何か特定種族のモンスターに特効でもあるのか?」
「わかんない」
イムに訊いてみても、疲れた顔でそう言うだけだ。
だが普通の品物では無いだろう。ガイはこの木刀を持っていく事にした。手持ちの短剣よりリーチが長いので、刃物があまり効かないモンスター相手に鈍器として使えるかもしれない。
――ガイは隠し畑へと戻った――
作業は大方終わり、皆が一服していた。
「おやガイ殿、長めのトイレ休憩でしたな」
村長のコエトールが何か勘違いして声をかけてきたが、詳しく説明したものかどうかガイは少々悩む。なにせガイにも何がなんだかイマイチわかっていないのだ。
しかしその時。
畑の傍の鳴子が揺れて音を立てた。
「はて? 村の衆には既に踏板の事は教えてある筈。間違って誰か踏みましたかな?」
「ならいいけどさ。そうじゃないとしたら……」
村長とガイが顔を見合わせる。
タゴサックが竹槍と鎌を握って叫んだ。
「侵入者というわけですかな!」
まぁそういう事なのだ。
その中央にイムは降り立ち、ガイへと振り向く。
「ここに来て」
イムの手には破れた葉っぱの破片が握られていた。
イムの意図はわからなかったが、彼女は今まで数々のレア素材を見つけてくれたし、ガイに迷惑な行為をした事もない。
だから黙って彼女に従う事にした。
茸の輪の中へ足を踏み入れる。
イムは葉の破片を地面に近づけた。そこから雫が一滴、輪の中央に垂れ落ちる。
すると茸の輪がぼんやりと輝いた。
それに呼応し、幾条もの光の筋が輪の外から向かってきた。ほんのりと輝く光の軌跡が、人の歩く程度の速さで周囲の森から迫ってくるのだ。
光の軌跡が茸の輪に届くと、その度に茸の輪が一瞬だけ輝きを増す。
何が起きているというのか。戸惑うガイの見ている前で、茸の輪の中央が僅かに動いた。
地面から小さな芽が顔を出す。イムが雫を垂らした地点で。
(あれ? イムは種なんか埋めなかったよな。じゃああの芽はもともとここに埋まっていた種から発芽したって事か?)
ガイの疑問を他所に、芽は見てはっきりわかる早さで大きくなってゆく。
小さな葉が開いて双葉になり、葉が増えて四葉になり、そこから段々と上に伸びる。
樹皮に覆われて小さな木になった。
ガイの背丈と同じ程度まで大きくなり、そして……
そこで止まった。
イムがふらふらとガイの肩に戻ってくる。降り立つやへなへなと崩れ、ガイにしがみついた。
「もうダメぇ。今はここまで」
ガイは気づいた。
茸の輪から輝きは消え、光の軌跡も走ってこなくなっている。
(あの光を呼び出したのはイムか。この木にパワーを与えるために?)
疑問と好奇心、イムが誘った場所に危険などないだろうという信頼から、ガイは数歩先の木へと近づいた。
種類は……よくわからない。ガイの知識の範囲だとトネリコの一種に思えなくもない。
高さはまだガイの背丈より僅かに高いぐらいだが、既に枝も葉も備えて茂っている。
特に太い枝が一本、ガイの目の前に突き出ていた。
(この木も何か貴重な素材になるのかな?)
ガイは期待しながら枝に触れる。葉か樹皮でも採れないか、と。
だが意外。
ガイが触れると枝が取れたのだ。
「!?」
ほとんど手応えもなくポロリと手の中に落ちてきた枝を、ガイは反射的に握りしめる。
枝から小枝と葉がばらばらと落ち、腕より少し長いぐらいの棒になった。
しかも樹皮がぼろぼろと落ちる。結果、ガイの手に残ったのは——
「木刀?」
大きさといい、形状といい、まさにその通りだった。
なぜこうも綺麗に形が整ったのか、ガイにもわからない。
「これ、何か特定種族のモンスターに特効でもあるのか?」
「わかんない」
イムに訊いてみても、疲れた顔でそう言うだけだ。
だが普通の品物では無いだろう。ガイはこの木刀を持っていく事にした。手持ちの短剣よりリーチが長いので、刃物があまり効かないモンスター相手に鈍器として使えるかもしれない。
――ガイは隠し畑へと戻った――
作業は大方終わり、皆が一服していた。
「おやガイ殿、長めのトイレ休憩でしたな」
村長のコエトールが何か勘違いして声をかけてきたが、詳しく説明したものかどうかガイは少々悩む。なにせガイにも何がなんだかイマイチわかっていないのだ。
しかしその時。
畑の傍の鳴子が揺れて音を立てた。
「はて? 村の衆には既に踏板の事は教えてある筈。間違って誰か踏みましたかな?」
「ならいいけどさ。そうじゃないとしたら……」
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「侵入者というわけですかな!」
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